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サイババとミカエルはかく語りき 6

前回からのつづきです。

パンチャカルマを通して、不思議なこともいろいろと起き始める。

今年の京都での個展で20点つくったクリスタルをモチーフにした作品群のタイトルを「バルド」としたのだが、この「バルド」とは「チベットの死者の書」の原題である「バルド・トェドル」から引用した。

説明するまでもないが、念の為、「バルド・トェドル」の概略を・・・ひとの死んだ意識の状態を表したチベット仏教ニンマ派の仏典。

ひとの死から次の生に生まれるまでの時間は49日間。

その間には3つのバルドの段階がある。


まずチカエ・バルド('chi kha'i bar do, 死の瞬間のバルド)で生命の本性であるまばゆい「光」が現れる。

次にチョエニ・バルド(chos nyid bar do, 心の本体のバルド)、最初の7日に慈悲に満ちた優しい寂静尊が四十八体、次の7日に人骨を身につけた血まみれの恐ろしい憤怒尊が五十二体現れ、死者の意識は最大の危機にさらされる。

しかしながら、これらは心の作り出した幻影に過ぎないと経典は語る。

そして最後の段階、シパ・バルド(srid pa bar do, 再生のバルド)。

それぞれの世界を示す薄明かりが現れる。解脱させようとした努力も甲斐なく、ここまで来てしまった死者の魂には次善の策として六道輪廻のうちより良い世界へ生まれ変わるかのチャンスが与えられる。(ウィキペディア参照)。

この意識が肉体を離れた後の中間領域での状態が「バルド・トェドル」で著された意識の中間領域なのだが、それに似た意識状態で絵を描くとどうなるか・・という実験的な作品がクリスタルをモチーフにした作品群のタイトルを「バルド」シリーズだった。とても小さいサイズの作品群でだが、ことの他来場者の方々には好評だった。

で、それ以来、なぜだかずっとこの肉体の死後の中間領域について考えつづけてきた。


それは、ひとは死んだ後、意識の混沌を体験するわけだが、その中心的なビジョンが生きてきた時間の逆再生だということ。

さらに対人関係における感情のテーマがその混沌を生み出すということ。

対人関係において、死後、後悔、罪悪感、怒り、悲しみ、絶望といった未消化の感情がとても強いエネルギーで意識の渦の中に浮上してくるのだ。

ここ数年間、わたしは体調悪化により、似たような感情をずっと体験していた。

そして、パンチャカルマを行ったことで、その感情の渦がよりはっきりとした輪郭を伴って浮上してきている。

それはまさに死後体験するチョエニ・バルドのようだとも言えるだろう。

これはどういうことなのか、なぜそんな感情の追体験を今まだ肉体的に生きている状態で体験しなければならないのか、それが大きな疑問でもあるのだ。

そんな状態に呼応するように今年、100冊近く購入して読んだ書籍群の中でダントツで面白いと感じた本が、同じようなテーマの本であったのだ。

著者はルドロフ・シュタイナーである。

つづく

※画像はpetr valekによるものを転載しました。



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