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コミュニティーカレッジの授業風景 1

いよいよ私のコミュニティーカレッジでの授業が始まりました。が、レギュラー(正規の学生)に決まったのが授業始まりのギリギリ前だったせいでほとんどの科目が満員でフルタイムの学生としての最低取らなくてはならない12単位に足りません。仕方なく取ったのが「消費者教育Consumer Education)」というクラスでした。
 
この担当の先生ミスフィリップは博士号も持っている小柄だけどスタイルのいい黒人の女性でした。内容は興味深いものでしたが、話題は日常生活に関する事がほとんど。日常生活の一般常識がわからない私にはものすごいハンディでした。まずデパートの名前を知らない単語だと思ったり、日常に使っているものの名前がわからなかったり。授業をテープに取らせてもらって家で聞いても良くわかりませんでした。
 
ミスフィリップはアメリカ人も驚く合理的な考えの持ち主で「60になったら仕事をきっぱり辞めて自分のしたいことをやる。そのためにしっかり節約と貯蓄をしている。例えば卵の等級は一番低くても食べられれば全く構わないからそれでいい」というような話をしてくれました。
 
生徒の一人が話した経験談でびっくりしたのが、返品の話でした。その地域には靴専門店からデパートになったお店(高級デパートのNordstrom)がありました。その店で子供に靴を買ったけれど9ヶ月後に合わなくなったので返品を申し出たら受け入れてもらったというのです。9ヶ月も経てば子供の足は大きくなって合わなくなるのは当然です。それでもクレームを受け入れざるを得ないお店は大変だとお店に同情してしまいました。
 
このクラスで今でも付き合っている友達ができました。彼女はヨーロッパのオーストリアから来た3歳年下の女性です。ヨーロッパで紳士服仕立てのマイスターを持っていましたがアメリカに来て勉強し直していました。彼女の家がたまたま私たちのアパートの数軒先だったので休みの日などは一緒に食事をしたり、バーベキューをしたりしました。私がわからない授業の手伝いもしてくれました。
 
彼女はある日「鼻を低くする手術を受けたい」と言いました。私に言わせれば羨ましい鼻の高さです。ところが彼女が言うには「私の鼻を見て子供が泣くんだ」というのです。彼女はまだ結婚していませんでしたが子供を持った時の心配をしていたのでしょう。ところで日本語では「鼻が高い」と言いますが、英語では「鼻が長い」と言います。彼女とはそれからも連絡取り合い、彼女がオーストリアに帰国してからは彼女のいるインスブルックに数回会いに行き、今でも連絡を取り合っています。
 
消費者教育の中間テストではミスフィリップは復習用のプリントも作ってくれました。一発勝負的にテストを受けていい点数を取るより学ぶ過程や何を学んだかを大事にするのです。それでもテストの結果があまり良くなかったので当時のブッシュ大統領に手紙を書けば9点くれると提案されました。ホワイトハウスに消費者保護局の新設を嘆願する文を書くのを勧められ、私もそれは良いアイディアだと思ったので書くことにしました。

後日この手紙にはきちんと返事が来ました。「検討して見る」と言うお決まりの文言でしたが一介の学生の手紙に返事をくれるだけでもいいことなのかもしれません。日本でそんな行動をしたことがないので比較することはできませんが。

続きます。

(写真はコミュニティーカレッジの卒業式の時、アンさんと子供達です)

 

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