ちがう環境の力 その2
当時日本の私たちの地域の成績の評価(通信簿につける)は1〜5までの5段階でクラスの人数の5%が1と5、2と4は何パーセント、残りが3と決まっていました。つまり相対評価です。いくら頑張っても優秀な子が多ければ評価は下がります。東大に行った生徒が3人もいた長女が6年生の時のクラスで国語や算数で5を取るのは至難の業だった訳です。
一方アメリカではテストで90%以上取れば A、80%はB…と絶対評価でした。ですから人と比べるのではなく、決まった基準と自分を比べるのです。テストの成績だけではなく内容が良いなどの理由を先生が高く評価すればA+等もあり得るのです。そういう意味では自分の頑張りが(人とは比べられずに)評価される訳です。(日本も今では絶対評価かもしれませんが)
そう言えば、長女の通信簿に1から5まであったことがありました。長女の小学校4年の時です。1は体育で5は音楽でした。父親は1から5まである子は珍しいと面白がっていましたが、私は体育の1に異常に反応して長女が持久走大会でビリだったせいだと思い込み、早速マラソンの練習を始めさせました(苦笑)。それでも早くはなりませんでしたが。
その後の長女は体育だけじゃなく、色々なことに挑戦するようになりました。日本では算数が苦手だったのに、中学になってもまだ分数をやってたアメリカで一躍算数が得意な子とみなされるようになり、算数が出来る子供が集まるクラブに入ったくらいです。居場所によって長女の価値が変わったのです。よって、ずっと日本では体育で1だった長女も、アメリカでは頑張りが認められ、Aを取る事ができました。
環境が違えば評価の基準も違う。自分と今の状況が合ってないとか、気に入らないなら環境を変えるのが一番手っ取り早いし楽だと実感しました。外からの力で自分を変えざるを得なくするという受け身のやり方ですが、それが有効な時もあります。我が家の場合はそれでうまく行きました。
最近の世の中の変化はすごい。でも以前の価値観から逃れられない人も多いようです。先が見えないことが不安で、今の状態にいれば少なくとも先の予測はつく気がして変わりたくないというのは分かります。でも変わらないことの方がリスクがあるかもしれません。変わらないことから生じるリスクを取ることもある意味チャレンジだとは思いますが、変わって見たことのない景色を見るというのも旅行をするのと同じで面白いのではないでしょうか。