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東北旅行の蜃気楼

 2月のある日の朝、本来であれば、駅弁を食べながら東北を目指す新幹線に乗っているはずだった。しかし、前日に職場で予期せぬトラブルが発生した結果、有給を取得し旅行予定だった金曜日はいつも通り職場に出勤し、トラブルの対応をする事になったのだった。

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 新幹線で行く予定だった東北旅行は、1ヵ月前から計画していて、自分1人で行く予定だった。JRから発売されている平日新幹線乗り放題キャンペーンを最大限活用出来る範囲で入念に計画をし、新幹線の席も粘りに粘って自分の希望に沿うように確保した。新幹線の片道2時間半ぐらいをどのように時間を使えばいいかと考え、東北地方は雪で路面が滑るかもしれないと簡易チェーンスパイクだって購入した。勿論、職場の業務も滞らないよう調整し、有給休暇取得の準備も完璧だった。だが、日常には、いつだってトラブルが付きものだ。

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 職場で発生したトラブル自体、確率的に1年に1回あるかどうかの事案だった。当日トラブルの受付した自分は信じられないぐらいパフォーマンスを発揮し、有給休暇を取得出来るぐらいに上手に対応した。また、そもそもこのトラブル自体が本当に些細なもので、なぜこのような対応をしないといけないんだと思うほどのことでもあった。またこのトラブル自体なければ、これに付随する2次トラブルも発生しなかった。1次トラブルを上手に処理した自分は「さて上手く対応したし、明日は心置き無く休めるぞ。」と思っていた矢先、1次トラブルに起因する2次トラブルが発生した。登山で言うと小さな落石の発生みたいなものであろう、小さい落石が影響し、大きな岩崩れを誘発されるようなものだ。この2次トラブルが発生していなければ、自分は旅行に行っていただろう。本当に順調に行けば旅行に行く予定であったが、この2次トラブルに対処するために、旅行は泣く泣く中止することになったのだ。

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 楽しい旅行の予定が急遽のトラブル対応に変更する事象があってから、しばらく感情的に落ち込んでいたが、ずっと落ち込んでいてもしょうがないので、この書きしたためた文章でなんとも形容し難い苦い気持ちを供養出来ればと思っている。      
 呂布カルマの曲、Voice of TUNKの歌詞でも「間違いも間違いだと歌えば 間違いじゃないんだって誤魔化せた。」と唄ってるように辛い出来事も話の種に出来るぐらいなタフなメンタル面で乗り越えていくしかない。次こそは、ひとりで気で兼ねない旅行時間が作れるように仕事を頑張るか。

部屋の片隅に転がっている旅行鞄