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31歳、自分を捨てる旅

 2023年の年末に膝の病院に行った。相変わらず膝の調子は良くない。MRI等色々検査して貰った結果、1年前の状態からあんまり変わっておらず、手術しても痛みが取れるかも分からないと言われた。医者の結論としては、このままスポーツしても大きくいきなり変わることはないと思うし、日常を過ごして大きく状態が変わるようであれば、また病院に来て下さいとの事であった。自分からするとこのままの状況は良くないけれど、今の現実を嘆き続けるのはきっとよくなく、配られたカードで勝負するしかないだろうと考えた。だからこそこの診断を受けてから、身体が動けるうちに久しぶりに雪山に行こうと思ったのだ。

 仕事は相変わらず忙しいが、2024年は月1回は休むことを目標にしてる。1月も有給をとることを目標にせこせこと仕事を頑張って調整し、平日になんとか休みを取得することに漕ぎ着けた。

 雪山に久々に行くために先々週から、ジムで斜度があるルームランナーで負荷をかけてトレーニングした。準備は万端である。前日には、高速道路で雪山に向かうためのプレイリストも作った。

 当日の天気は曇り。自分が行こうと考えていた山は群馬県にある谷川岳だ。休日は人気の山で、人が多くあんまり山に来た感じがしないので、なんとしても平日に有給を取って登りたかったのである。

 高速道路を走り、目的地周辺のインターでは全然雪がなかったが、山に近づくと徐々に雪が増え、目的地直前では道の除雪が全然行き届いていなかった。そして、久しぶりの雪道の運転は緊張した。車の運転をしながら、そういえばポパイの雑誌に雪道を運転出来る男はモテると書いてあったなと呑気に思い出したりしてた。

雪道の運転は苦手だ

 事前にSNSで登山の登り口があるロープウェイの運行情報を見ると強風のために運行見合わせと書いてあったので、JR土合駅で車を止め、少し様子を見た。そして、駅のベンチで考えた後、この強風だと自分にこの山は登れないし、登ったとしても見晴らしも良くないので、今回は残念だけど、登山を見送ることにしたのだった。

日本一のモグラ駅、土合駅

 せっかく群馬県まで来たので、近くにあるみなかみ町に立ち寄ってから帰ることにした。ここは、色々と思い出がある街だ。 商店街の中心にある駐車場に車を止めて、JR水上駅まで歩くことにした。

川の近くに既に廃業している旅館が立ち並ぶ
スマートボールやってみたい
BAR AOIはやっていなかった
雪を溶かすための散水を見ると雪国に来たのだと思わされる
大きな構造物が好きだ
ここにもきっと賑わいのあったホテルなんだろう


 少し歩いて水上駅周辺に到着。人はまばらで、駅前にあるお土産やさんにも人は入っていない。

JR水上駅
駅前のまんじゅう屋さんの湯気に引き寄せられる
まんじゅうがとっても美味しかったので、お土産も購入。

 お昼頃、お腹が減ったので駅前でラーメンを食べる事にする。磨りガラスで店内が見えず、中はガラガラかと思いきや、かなりの人が入っていた。自分は、味噌ラーメンとチャーハンを注文、寒い身体に温かい味が滲みる。店内に灰皿があり、食後にタバコを吸っている人がいるところにローカル味を感じた。

 ラーメンを食べた後は、水上駅から駐車場に戻る。戻る最中に学生の頃合宿で水上に来た際、廃墟を見た場所に立ち寄る。長年、放置されていた廃墟は跡形もなくなくなり、綺麗な旅館が立っていた。

当時は、大きな廃墟が残っていた。

 また、2022年の秋に廃墟マルシェが行われていたところにも足を運んだ。当然のように人はいなかった。なかなか人がいなくなった街を再生させるのは難しいみたいだ。自分は好きな街なので、是非また賑わいが戻ってきて欲しいなと思った。

2022年に開催された廃墟マルシェ
当日は、閑散としていた

 
 過去に訪れた場所で時間の経過の早さを改めて感じ、当時の思い出に浸りながら、駐車場に戻っていると雪が徐々に強くなっていった。そういえば当日は、強い寒波が来ているのであった。駐車場に到着後、車に乗り込んで、少し身体を温めたあとにハンドルを握って長い帰路についた。

大粒の雪が降っていた
過去の自分を捨てる時もときには必要だ
春を待つ静かに待つ冬芽を見つけた