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第38回前編_衆議院議員総選挙当日にて カレル_チャペック「ロボット」(1920)2024.10.27

片倉洸一の耽楽的音声記録
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先週日曜の衆議院議員総選挙当日に思う事。

・歯医者ついでに投票
・月曜に結果が出てから録音

耽楽的即興感想:チャペック「ロボット」(千野栄一訳 1920)
・世界初「ロボット」という造語を発明、使用した画期的SF戯曲。
・孤島にあるロッスム社のユニバーサルロボット工場にて…
序幕
・社長、幹部役員とロボット人権活動家の令嬢ヘレナの対話が起こる序幕
・本作のロボットは機械に非ず―老ロッスムが孤島で発見した「生きた物質」から様々な生物を生成できる可能性が明らかに。老ロッスムは人間を作り出そうとするが、果たせず死。甥の若ロッスムは一方で効率性を重視し、より簡素化した人工生物「ロボット」を生み出す事に成功した。
・そして現在、ロッスム社社長ドミンらによってロボットは量産化されて世界中に配備。労働は人間よりできるが感情も生きる意味も持たない。
・ロボット普及の先―ロボットがあらゆる生産を代理して、ついには物の値段がなくなり、貧困も仕事もなくなり、人間は労働から解放される!
・唐突なヘレナへの求婚とドン引き、唐突に終了。
第1幕、第2幕
・急に10年後。ヘレナはドミンとあっさり結婚して島で暮らしていましたとさ。
・この10年でロボットは…さらに普及して戦争に利用されるようになり、ついにはロボット達は自分達の方が人間より優れていると目覚めて暴動、革命が発生。世界各地で人類は殲滅され、包囲網が孤島にも及んでいましたとさ。
・ドミンらの「切り札」―ロッスムが記したロボット製造方法の書類は世界でここにしかないためロボットは手を出せないはず。さらにこちらは人間と同じく皮膚や言語が違う「民族ロボット」を生産して争わせ、選ばれし世界貴族を人間から作り出したい、とのたまう。しかし…
・ロボットの宣言「全世界のロボットよ、人類を絶滅することを汝らに命令する。男を容赦するな。女を容赦するな。工場、鉄道、機械、鉱山、資源を確保せよ。その他のものは破壊せよ。その後労働に復帰せよ。仕事はやめてはならない」
・狭まるロボットの包囲網。人類の切り札であるロボット製造の書類は知らないうちにヘレナが燃やしてしまいましたとさ。
・ロボットが突入、建築家でロボット製造に懐疑的だったアルクビスト以外は皆殺し。
第3幕
・アルクビスト以外の人類が滅亡してさらにその後の世界―ロボットに囚われて製造法の復元を命令されたアルクビストの苦悩
・ロボットの製造方法が復元できないならば寿命が2,30年に設定されたロボットが絶滅する番に。
・アルクビストのもとに妙に人間らしい男女のロボット(ヘレナとプリムス)がやってくる。アルクビストは二人を解剖させてほしいと二人を試し、人間性を確信。二人を新たなアダムとイブとして希望をもって送り出す。
「行きな、アダム、行きな、エバ。彼の妻になるがいい。生命は不滅なのだ!それはふたたび愛から始まり、裸のちっぽけなものから始まる」

作品の画期性
・既に104年前の時点でポストアポカリプス的物語構造、人類滅亡、その次の段階までのパターンを網羅。
・チェコ語の「robota(賦役)」を名詞っぽくすればいいじゃんというチャペック兄の造語「robot」という誕生
・何となく連想したアランパーソンププロジェクト「I wouldn`t be like you」(https://www.youtube.com/watch?v=qOwFVowEugQ)では下から人間を諷刺。それに対して「ロボット」においては上から人間を蔑視。

後編https://note.com/tanraku_record/n/n6b6498157c7f

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