SF小説-民営自衛隊㈱ #9:国会審議・法案成立
Chapter9:国会審議・法案成立
20XX年4月、第XXX回通常国会が開会した。大泉総理は、世界平和の更なる促進のため、自衛隊の民営化を実現する、及び民営化に伴う関連法の成立を今国会で目指す旨の施政方針演説を行った。新防衛基本法案(平安法)は、衆議院特別委員会で審議が始まった。
自衛隊民営化については、すでに最大野党である民主党が基本的に賛成の意向を示しているので、論議の焦点は主に民営化以降の問題に集まっている。多岐にわたるが一例を示す。 --以下は政府答弁骨子。
◎日米安保条約との整合性についての米国協議
--総理府及び外務省は、米国との協議開始について早急に検討する
◎当面の装備更新に係わる政府補助について
--段階的に予算規模を縮小し、10年後には50%削減を目指す(相見積もり、競合コンペの徹底)
◎各都道府県警察との行動連携協議
--特にテロ対策について情報交換を密にするために連絡会議を開く
◎災害派遣要請の手続き簡略化
--災害対策基本法第68条(災害派遣の要請の要求等)に関わらず、市町村長からの要請で派遣を認める方向で検討
◎自衛隊社員の公務員年金の離脱について
--民営化に伴い自衛隊社員は厚生年金に加入する
◎自衛隊社員の健康保険の取り扱いについて
--従業員500人以上を対象とする組合管掌健康保険に加入(JR、NTT等と同じ扱い)
◎自衛隊車両に係わる道交法規定
--民営化後も引き続き緊急自動車として指定し、赤色回転灯の使用を認める
◎海外派遣自衛隊社員のパスポート申請の簡素化について
--自衛隊社員証で申請確認し即日発行、政府が認めた場合は申請費用免除とする
◎自衛隊のテレビCM等広告制限の解除
--ゴールデンタイムに自衛隊の企業CMを入れられるようマスコミ各社に申し入れ
◎自衛隊社員の男女雇用均等法の遵守
--厚生労働省と調整済み
◎外国人社員の受け入れ枠を法律で定めるべきか
--基本的には必要ないと考える旨総理答弁 (など以下略)
特別委員会では関連法案などを一括審議し、自公民3党の賛成で可決。衆議院本会議でも賛成多数で可決(社民党は欠席、共産党は反対)し、同日参院送付。参院でも可決し、ここに自衛隊民営化が実現した。
尚、同時に省庁改変が行われ、防衛庁は国土交通省と合体し、新たに国土交通防衛省(略称:国防省)となった。
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※この記事は2005年5月21日にブログ『tanpopost』に掲載したものです。
内容はフィクション(SF)であり、実在の団体・人物等とはまったく関係ありません。
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