フグタ社長業務日誌『ご挨拶の猛特訓』
フグタ社長業務日誌(巻4-2):1月7日(月)
新年会のパーティーが重なる。あっちへ出てこっちは出ない・・というわけにもいかないので、掛け持ちで走り回ることになる。
午後1時50分、東京・紀尾井町のホテルニューオータニ着。午後2時、ホテルニューオータニ内の宴会場「鶴の間」へ。同2分から同25分まで、経済3団体主催の新年祝賀パーティーに出席。非常に晴れやかである。知った顔も多い。もう少しゆっくりしていたいが、そうもいかない。
一旦会社に帰って、今度は違う業界団体の新年会へ顔出し。4時過ぎに会社を出る。車は赤坂でも銀座方面でもなく、北へと向かう。上野を過ぎ、気づけばあたりは、どことなくうら寂しい。
日暮里駅前のホテルラングウッド着。聞いたこともないホテルの宴会場で、そそくさと挨拶を済ませる。売れない演歌歌手のキャンペーン気分である。10分ほどで退席。
会社に戻ればもう5時半だ。口直しにどこか飯を食いに行きたいのだが、恐い顔で秘書が立ち塞がっている。
来週、会合でスピーチをするので、今夜はそのための「勉強会」をすることになっているのだ。
台本は土曜日に社長室のニハシ課長が届けてくれて、ほぼ九分どおり出来上がっている。それを読みながら、手直しをして完成に持っていく。いわゆる、通しリハ。
午後6時54分、社長会議室へ監禁される。鍵がかけられ、秘書がディレクター役となりマンツーマンでリハーサル開始。
・・・・う〜ん、ちょっとそこ噛みました、口もぐもぐしないで! もう一度
・・・・下向いちゃダメです、原稿棒読みしない! しっかり前向いて!
・・・・そこはもう少しゆっくりいきましょう、感情込めて、滑舌に気をつけて
・・・・時々テレビカメラ見ましょうね、赤いランプついてるとこ、 はい、目線こっち!
・・・・「とうやこ」です、洞爺湖にルビふっておきましょうか? 読めますか?
・・・・全体で2分押しです、少し巻いていきましょう
秘書から再三ダメ出しされる。日ごろの鬱憤を晴らそうとでもいうのか・・。午後10時6分、疲れ果てて「勉強会」ようやく終了。隠し芸大会の堺正章さんのご苦労がよくわかる・・。
ほっとしたところに、秘書が言う。
「明日、午前中、総務の担当も交えておさらいしますから、ちゃんと覚えてきてくださいね」
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