【読書メモ】 「ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。」 幡野広志
読んだ。「 ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。 」
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・ほんとうの強さとは、愛する誰かに対して「助けて」と声を上げられることを指すのかもしれない。
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・がん患者の多くは、過去の自分を責める。しかしぼくは、がんになった自分を一度も責めたことがない。これは達観というより、うすい「あきらめ」だ。
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・子どもの年齢に自分の余命をプラスする。「子どもが何歳になるまで一緒にいられるか」を考える。
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・ブログでがんを公表すると、たくさんのメッセージをいただくようになった。応援メッセージの主語は「あなた」で、感謝のメッセージは「わたし」だった。みんな自分の話を聞いて欲しかったのだ。
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・いまでも患者本人へのがん告知は家族の要望で差し止められるケースがある。しかし思いがけずバレてしまうケースが多いのだ。そうなると「みんなから騙されていたこと」のショックの方がはるかに大きい。
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・多くの人が考える「がんの恐怖」とは「死」と「痛みや副作用」のふたつではないかと思う。しかしがんという病気の恐ろしさは今まで取り繕っていた人間関係のたがが一気に外れてしまうところにある。
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・患者は「苦しみたくない」、家族は「悲しみたくない」、医者は「諦めたくない」と思う。三者三様の思いが交錯するなかで手を結びやすいのは家族と医者。患者は「理想の患者」を演じ、命の限界まで闘病生活を強いられる。
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・お医者さんは結局患者のことを点でしかケアできない。でも家族は線で繋がっている。複雑に絡み合う糸はいつしか家族全員の身動きを取れなくしてしまう。
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・親を選んで生まれて来ることは誰にもできない。でもパートナーを選ぶことは誰にもできる。家族とは親子の単位で始まるものではなく、「夫婦」の単位から始まるものなのだ。親子関係が破綻していたら、関係を断ち切るしかない。
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・自分が死んだあとに家族に残したいのは、生きた証としての「写真」と「ことば」。
反対に残したくないのは、「余計な人間関係」と「つらい記憶」。
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・善意やら妬みやら憐れみによって介入してこようとし、結果として残された妻や子どもの自尊心を傷つけていく人たちとの人間関係は断ち切る。
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・今ぼくは真剣に安楽死を考えている。
「安楽死に必要な4項目」
①耐え難い身体的な苦痛がある
②死が避けられず、死期が迫っている
③苦痛を緩和・除去するための方法を尽くし、代替手段がない
④患者本人が安楽死を望む意思を晃かにしている
日本では安楽死は違法だが、尊厳死や鎮静(セデーション)は認められている。
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・生きるとは「ありたい自分」を選ぶこと。死に方の選択も、どのような気持ちでどのようにして最期を迎えたかという生き方の問題なのだ。
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