粉雪の中を・・ホーリーナイト
お気に入りの傘をさして歩いています。
今日はクリスマス。
真っ白な粉雪がさらさらと降っています。
メリークリスマス
ホワイトクリスマス
この街に今年最初に降る雪が、この日、クリスマス当日だなんて。
ロマンティック。
何気なくそのことを話し合うことができる人が今ここにいたらどんなに楽しいだろう?
そんなふうに思うのだけれど。
一人ぼっちの心の中に冷たい風がスーッと吹きこんできてさみしい気持ちが膨らんでいく。
悲しいな。
クリスマスに一人でいるのが嫌だから誰かを見つけなくちゃなんて間違っていると思うの。
でも、なんてさみしいんだろう?
こんな日に一人だなんて。
冷たい空気に体を硬くしながら分厚いニットと分厚いコートを着て水を通さないレインブーツをしっかり履いて、どれもがそこそこ重たくて、おまけに荷物まで持っていてるからゆっくりとしか歩けなくて。
ため息しか出てこない。
数少ない友人はみんな恋人と一緒に出かけてる。
誰か紹介するよ♪
って言ってくれた人もいたけど、一人でいるのが嫌だからってほんとに好きでもない人と付き合うなんて考えられない!
どうしてもこの人じゃなきゃダメ!っていう気持ちがないのに男の人とつき合えません!
キラキラのはずのこの夜に冷たい雪が降る中を震えながら歩くなんて本当は嫌だけど一緒にいてくれれば誰でもいいなんて思えないから仕方ないよね。
ビューン!
冷たい風が吹き抜けて行った。
分厚いニットの帽子をかぶっているから髪が乱れることはなかったけれど、寒いよ!!
手袋も二重だぞ!!
なのに寒さを完全に防ぐことができないの。
もう! いったい何なのよ!!
ちょっとだけキレちゃった。
いいよね、一人だもん。
別に誰も私のことなんて見てないもん。
この道を今歩いているのは私だけ。
静かです。 本当に。
また風が?
と、思ったけど大丈夫でした♪
よかった♪
寒いのやだもん。
それにしても重たいな。
手に提げているエコバッグの中には、チキンとケーキと小さなブーケと小瓶のワイン、サラダもパスタも入ってますよ♪
奮発してローストビーフも買っちゃった♡
チーズもね!
一年に一度しかない夜だもん。
大切にしたいでしょ♪
今日だから許される特別なごちそう。
思い切り食べちゃうぞ!
なんてね。
寒くてとってもつらいけど頑張って出てきてよかったな♪
でもすっごく寒いよ。
早くおうちに着きたいよ。
☆
傘に積もっていた雪を外で振り落としてから自分の部屋のドアを開けて中に入った。
しんとした部屋の中には冷たい空気が私の帰りを待っていて早くあたためてって言っているようだった。
ファンヒーターのスイッチを入れてそっと手をかざしたら噴き出してきた暖かい風が指先を温めてくれて、じんわりとしたものが指先で動くのを感じて寒さのせいで硬くなっていた体に入れていた力がふっと抜けていった。
それでからだの中の深いところからふーっと息を吐き出すことができた。
そうして胸の中に溜まっていた重たいものを息と一緒に外に出したら、涙がにじみだしてきて、ちょっとだけしんみりとしてしまった。
とても静かなこの夜に優しい涙を流せたことは多分かわいらしい思い出になるはず。
きっとそう。
☆
買い物に行く前にテーブルの上に飾っておいた小さなツリー。
そこでチカチカ点滅している小さな灯り。
可愛い色と形のそれは今年どこかのお店で見つけてすぐに買ってしまったもので、ささやかな自分へのご褒美なのです。
ふふっ💕
大人になるって嬉しいね♪
なくしてしまうことも物もたくさんあるけれど、こういう嬉しいこともあります。
小さなツリーの横に置いておいたオルゴールのふたを開けると、大好きな曲が可愛い音で流れてくれて心を優しく癒してくれました。
嬉しいな♪
静かな静かなこの夜のどこか遠くの向こう側には私の知らない世界があって今とは違う生活がきっとあるとは思うけど、今この時を大切にして自分を抱きしめてあげたいです。
他の誰とも違うひとりっきりの自分のことを心から愛してあげて、いつかのどこかに届くまで守り続けていてあげたいです。
サイレントナイト
ホーリーナイト
どうか沢山の人たちが温かい部屋の中で満たされた優しい心でこの夜を過ごしていてくれますように。
悲しい思いでいる人に救いの光が届きますように。
真っ白な粉雪が何もかもを白く染めあげて透明な空気の中でひっそりと光っています。
雪はまだ降っています。
しんしんと降っています。
こちらの企画に参加させていただきました。
百瀬さん、声をかけてくださって本当にありがとうございました。
とても楽しかったです。
どうか素敵な今日をお過ごしください♡
では。