少しずつ読んでいる本。
少しずつ読んでいる本があります。
夢枕獏さんの『仰天・俳句噺』。
獏さんの面白い話口でするすると読むことができます。
この本を買ったきっかけは、用事があって出かけた時に入った本屋さんでなんとなく見つけたのと、ほんの帯が夏井いつきさんだったこと。そして、帯の言葉の中に、『季語は縄文の…』というくだりがあったことがきっかけでした。
その文言にすごく惹かれて、この本を躊躇なくすぐに購入しました。
そして ちょっとずつ読み進めていたのですが、そんな場合ではないことが次から次に起こってしまい、仕方なく読むのが先延ばしになってし舞いました。そして今、ちょっとずつ読み始めました。
本当はなんとなくぱっ!と開いたところをちょっとずつ、ちょこちょこ読んだりしていたので、読み進めるうちに読み終わった箇所に到達して、「あ、読んだとこだ」と思ったりして、それも楽しかったりしています。
獏さんの軽妙な語り口が軽やかでとても楽しい本というのがこれまで読んできた感想ですが、この本を書かれた時の獏さんはガンにかかられていて大変な状況だったのだそうです。
ガンの治療のためにそれまでに決まっていたお仕事をほとんどお休みされていらっしゃった時にそれまでなかなか取り組めずにいた俳句を書こうと思われたこととそれへの躊躇も書かれていました。
獏さんほどの方でも俳句を書くことはなかなかに難しいものだったのだそうです。五七五の定型で言葉がすんなりかけるようになかなかならなかったとも書いておられました。そして、『プレバト』という番組の事にも触れられておられました。
私自身も『プレバト』という番組で俳句に興味を持ちました。
番組を見ているだけで自分にも素敵な俳句が書けてしまいそうな錯覚を覚えますが、実際に俳句を作るのはものすごく大変な作業だと、自分も書くようになってひしひしと感じ続けています。俳句は本当に難しいです。
十七音という字数がまず、難しい。
こんな少な字数で何かを表現できている人は天才だと思います。
それと同時に季語を必ず入れないといけないという決まりがあって、季語というのも歳時記で調べないと始めたばかりの私にはわからない世界です。
それ以外にもたくさんの決まりがあり、そのどれもがわかっていないといい加減なものになってしまうという難攻不落の文芸です。
短歌の三十一文字の半分くらいの字数しかないのに、状況も時間も五感も詩情も入れて書くなんて至難の業です。
でも獏さんがこの本の中で、十七文字で描く短編小説、と言っておられたように、ものすごく難しいけれど成功したらどんなに嬉しいか、ということと、書く時間が極端に少なくても作ることのでき得る文芸だとも思いました。
獏さんは編集者さんに紹介された金子兜太さんの『おおかみに蛍が一つ付いていた』という句に『ぶったまげ』られて、感動されたのだそうです。
金子さんの俳句も素晴らしいですが、獏さんの感受性も素晴らしいですよね。
まだ読み直し始めたばかりなのでこれからまた読み進めていく中でいろんなことを感じてnoteに書くかもしれません。
その時はぜひ、読んで見ていただけると嬉しいです。
読んでくださって本当にありがとうございました(*^-^*)