#俳句でぽん! 銀木犀てのひらポトリ星落ちて
riraさんの俳句で参加させていただきます。
riraさんの魅力的な記事はこちらです(╹◡╹)♡
真っ暗な夜だった、
曇っている夜空には、月も星も見えない。
けれども空に掛かった雲はなぜだか薄く透けていて、かたちがほんのり見えていて、夜空は書き割りのようにのっぺりとしている訳ではなくて果てしなくどこまでも続いている空間なのだった。
もしも星の見えている夜だったら、もっともっと遠くまで奥行きのある宇宙が見えて、地球が宇宙に浮かんでいる小さな星であることがはっきりと感じられたのかも知れない。
「今日は大変だったな」
振り返るまでもなく、まだはっきりと耳の中に残っているあの人の言葉。
残像とは言わないよね。
こういうのどういう言葉で説明すればいいんだろうか?
いつも顔をこわばらせて信じられないような言葉を浴びせかけてくるあの人にどんなふうに対応したらいいのか全く分からなくて、心の中がフリーズして固まってしまっている。
そのどうしようもない痛みをさらりと流してしまうことができずに、空気の冷えた夜の道をひとり静かに歩きながら反芻し、その気持ちをどうするべきかを思い悩んでいた。
星の見えない夜の空は素っ気なくもあり、意味深くもあり、一言でこうだとは言えない雰囲気を持っていた。
外の空気は今の僕には有難いものでしかなかった。
あの人の圧力がたまらなくまだ僕のからだを圧迫している。
何か物理的にされたわけでは決してないのに、僕のからだは説明のできないダメージを受けている。
その時ふと、どこかからほのかに甘い花の香りがそっと漂ってきていることに気がついた、
そっか、だからか。
冷たい夜気がそんなにつらくないように感じられるのは。
真っ暗な夜なのになんとなく柔らかな気持ちでいられるのは。
香りってすごいな。
この香り、今までもきっとこの辺りに漂っていたはずなのに、どうして気づかなかったんだろう?
少し湿って風のない夜気の中でないと気がつけない程の淡い香りなんだな。
歩き続けているうちに足元に黄色みがかった白い小さな何かが散らばているのに気がついた。
?
ひとつ拾い上げてみると花だった。
小さなかわいらしいかたちの花が零れ落ちている黒い道を、僕は見つめた。
涙みたいだ。
小さな星のようなかたちをした花が、涙みたいにこぼれている。
僕はそれをいくつもいくつも拾い上げて、広げたハンカチの上に乗せた。
濃い青色のハンカチに黄色みがかった白色の花。
夜空に浮かんだ星みたいに見えて、なんだか少し嬉しくなった。
淡い香りはまだ柔らかく漂っている。
真っ暗な夜道にまだ残っている零れ落ちた小さな花を踏まないように気をつけて僕はまた歩き出した。
riraさんの、
銀木犀てのひらぽとり星落ちて
という俳句から作らせていただきました。
この句を読んだ瞬間に、てのひらの上に銀木犀の花が乗っている情景が見えた気がして、どうしても何か書きたくなったので、riraさんに許可をいただいてこのお話を書いてみました。
いかがだったでしょうか?
検索して調べてみたら、銀木犀の花はとても淡い香りで、その花言葉は『初恋』『高潔』等なのだそうです。 色は淡い黄色みがかった白かオレンジ。金木犀科の常緑樹とのことでした。
どこかで見つけた時は、riraさんの句を思い出してみて下さい(*^-^*)
読んで下さってありがとうございました✨
七田苗子さんのこちらの企画に参加させていただきました(*^-^*)
いろんな方が参加されて、素敵なお話が沢山公開されています。
そちらもぜひ、読んでみて下さい✨
十六夜杯、参加してみて下さい!
ありがとうございます。 嬉しいです。 みなさまにもいいことがたくさんたくさんありますように。