見出し画像

#呑みながら書きました フライングしちゃいます。ポキンと心が折れた日に。

 ポキン!

 聴こえないはずの音がはっきりと聴こえて、呆然としました。

 そうして時間が止まってしまって、どうしたらいいのかわからなくなってしまいました。


 必死だったんだなぁ、と感じて、自分を労わってあげたいと思いました。

 そうして力が抜けた後、悲しくなってしまいました。
 苦しかったことをごまかしながらいた時間が巻き戻ってきたからです。

 辛かった。

 本当に苦しいことばかりでした。
 でもその中に大切なきらきら光る小さな小さな粒のようなものも混じり込んでいて、それを拾い集めて大切に磨いてあげる、そんなことの繰り返しで日々をしのいできたような気がしています。

 静かに紅茶を飲みながら、秋が深まってゆくのを見つめるような毎日です。


 こんなに季節に向き合いながら生活するのは今までの人生の中で初めてのことなのかも知れません。

 子どもと暮らしていた時は、その時々の目の前の現実に目一杯向き合うことで精一杯で、他のことを考える余地なんて全然ありませんでした。母といた時もそうでした。

 俳句に向き合うようになって深く考えるようになったことは、『季語を入れることの意味』でした。

 季語を入れることは初心者の私にはなかなかに難しく、季語を入れて、五七五の字数にまとめるだけで精一杯、というのが正直なところで、きちんと詩を盛り込むところまで持っていくことがなかなかできず、俳句を詠むことは本当に難しいと思うことばかりでした。

 短歌も難しいけれど、俳句の難しさはそれ以上に感じられて、始めてしまったことを後悔することもしばしばでした。

 まだまだ。
 本当に、まだまだだと感じています。


 足の膝の骨が折れ、心もポキンと折れてしまって、身動きができなくて落ち込みながら日々を過ごしているうちに、父や母の自分への不器用だけど温かい愛情に気がついて、更に落ち込んでしまっています。

 私は何もしてあげられなかった、と、感じて、悲しい気持ちだけしか残っていないからです。後悔も気持ちだけが重たく残っているからです。

 ポキン。


 柔軟性を失った心が折れてしまった音です。



 今年、念頭にかかげた目標に、『展覧会をなるべくたくさん見に行きたい』というものがありました。そうして昨日、見に行った展覧会の絵のことを短歌と俳句にして記事を公開しました。

 絵を見て言葉で描写することの難しさは格別です。
 そうして、本当にその絵のことを自分の内側で理解して咀嚼ができていて、実感として何かを感じ取れていないと書ききることって難しいとも思います。

 でもそれにどうしても挑戦したくて実物の絵を見に行くことをしていました。

 言葉で絵を描写するのは本当に難しく、なかなかできることではないと書く度に感じます。


 本当に難しいです。


 今年見に行くことができた数少ない展覧会の中に、メトロポリタン美術館の絵を見せて下さるものがありました。

 その中に、ルイ15世の愛妾であったポンパドゥール夫人の所有していた絵が何枚か展示されていました。子どもの頃読んだ『ベルサイユのばら』という漫画の中で、マリーアントワネットが自分から挨拶をしないことで圧力をかけられて苦しんだというエピソードを作った相手の人だと思い、不思議な気持ちになりました。その絵を見ることで、その人が実在の人物であったことをつよく実感できたのです。

 ずっと昔の時代の外国の、自分とは何の関係もない歴史の中の人物が確実にいたという実感、というか。

 それは不思議な感覚でした。

 愛妾、という立場って、その時代ではどういうものであったのか、私にはわかりません。ただ、その絵が存在するということはかなりの権勢を誇る立場にいたことは確実なのだと感じました。

 社交界って大変な場所だったんだろうなぁ、ということも、その絵を見ていて感じました。

 マリーアントワネットが小さな田舎家のような建物をつくらせて、そこで過ごす時間を大切にしていたのは、自分を取り戻すためにどうしても必要なことだったからなのだと思うと、彼女の孤独とさみしさを感じて悲しくなってしまうのです。

 
 どうしようもない状況の中で生きるしかなかった人ばかりなんだな、歴史を紐解いていく時にいつでも感じることです。

 そうして時代が変わっても人の思いや心って同じなのかも知れないとも思います。


 折れてしまった心のままで生きるしかないけれど、骨折は直るものみたいです。

 こないだ見たテレビ番組に91歳で現役の介護職をされていらっしゃる方が出演されていました。その方は、二年くらい前に自転車に乗っている時に転ばれて大腿骨を折ってしまわれ、仕事を止めようか?と考えられたそうなのですが、入院している時に感じたことに触発されて、もう一度職場に復帰してそれまでできていなかったことをやり直したいと感じ、実際に戻ってまた、入院中に自分が介護される立場になって実感されたそれまでの自分がしてきた介護では足りていなかったことを改めて、利用者さんにもう一度向き合うことをされていました。

 私はそれに圧倒されてその番組に夢中で見入ってしまいました。
 こんな素晴らしい人がいたなんて…。

 心がポキンと折れている今の私には雲の上のような人です。
 
 足も心もきれいに治ってもう一度頑張ることができるのか、今はまだわからないけれど、あったかい紅茶を飲んで元気を取り戻したいと思っています。



 フライングしちゃいました💦

秋ですね。

 

  




いいなと思ったら応援しよう!

竹原なつ美
ありがとうございます。 嬉しいです。 みなさまにもいいことがたくさんたくさんありますように。