「ショートショート」納豆ご飯。「#2000字のドラマ」参加作品。
今日は3度目のデートの日。
ネットでの情報によるとだいたいの男は3度目で勝負に出るそうな。
「ーーパンチにかけるんだよな。告白されたらごめんなさいかな?」
時計を見ると朝6時半。
駅前に11時。車で来るそうな。
彼は私より二歳年下。
ベットでゴロゴロした後、起き上がりシャワーを浴びる。髪を乾かし、アイロンでセット。
着て行く洋服は前日に用意済みの白のシャツにヒラヒラのロングスカート。こう言った格好が好きみたいだからとの事。
リップ以外のメイクを済ませて朝ごはんの準備をしようとキッチンに向かった。
時間は8時前。
「11時なら昼ごはんが先かな?それとも水族館がさきかな?…まっ。しっかり食べるか」
豆腐を一口サイズに切って、ネギも細かく。
出汁をとった鍋にに豆腐を入れて、味噌を入れた後に味見。
「味噌汁はやっぱりミスらないな。我ながら天才」
ネギを入れた後に蓋をして寝かせる。
フライパンに油を敷いて卵を入れてオムレツを作る。
「…崩れた」
オムレツなら失敗だけどスクランブルエッグなら成功。菜箸でかき混ぜた。自己肯定感高めるのは我ながらうまいな。
ウインナーは焦げたくらいが美味しい。
美味しく育て。フライパンでコロコロ育てる。
お皿にスクランブルエッグと育ったウインナーを入れ緑のブロッコリーを添え、味噌汁を注ぎテーブルへ。
冷蔵庫を開け納豆を手に取るが「ーー車って言ってたし…匂いが」戻してオクラを手に取り刻んで鰹節をサラリ。
セットしておいた炊飯器からご飯を注ぐが「ーーお腹でちゃうかな」っと半分戻す。
テーブルに座り味噌汁を一口。
オクラに麺つゆをかけて混ぜる。
「朝は納豆がいいけど…仕方ない」
オクラを一口。これもこれで美味しい。
携帯を確認するが、連絡がない。
「こう言う所なんだよな。パンチがないな」
返事は早くて三日に一回。遅くて一週間。
スクランブルエッグにケチャップを掛ける。
ブビっ。白のシャツに赤いシミ。
「あー。やってしまった。これが良かったのに」
落ちないと困るからっと白のシャツを脱いで上だけ部屋着に着替え直す。
時刻は9時過ぎ。
朝ごはんの続きを食べる。
緩くなった味噌汁を啜る。
固まったスクランブルエッグを食べ、白ごはんを食べる。
テーブルには小さなサボテン。
「…いつもなら朝ごはんは好きなアニメを観ながらだけど」
背筋を伸ばして食べる朝ごはん。
少し疲れる。
「いつもならお茶碗一杯のほかほかご飯に納豆をかけてほうばっているのに。何か構えているな」
オクラを掻き込み、スクランブルエッグに育ったウインナーと味噌汁を食べ終わる。
「自分作ってるな。相手のペースだ」
お腹はまだまだ空いていた。
テーブルから立ち、炊飯器へ。
ご飯をお代わりし、冷蔵庫から納豆を取り出す。
余った味噌汁を温め直し注いた後テーブルへ。
納豆に付属の出汁を入れ、追い醤油。
適度にかき混ぜ、ホカホカご飯の上へ。
一口食べる。
「うまい」
口の周りにこびりつくネバネバ。
気にせずほうばる。
熱々の味噌汁を啜ると強張った身体の芯がほぐされへにゃりとなる。
熱々の納豆ご飯と味噌汁を食べ終わるとお腹は膨れていた。
そして、部屋着のTシャツとヒラヒラのロングスカートを脱ぐと、白の襟なしシャツとジーンズに着替え直す。
「ここまで、私を作らせるとは歌舞伎よる。見定めてくれよう。これが私だ」
着替え終わると、口をティッシュで拭きお気に入りのリップをつける。
時刻は10時前。
駅まで歩いて20分。
「少し早いけど、出るか」
玄関へ行き、彼が好きな靴底が高いハイカットブーツを蹴ると私お気に入りのスニーカーを履き出かけた。
おしまい。
-tano-
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