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そろそろピア・サポート始めませんか?
なぜ今,ピア・サポートプログラムなのか?
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ピア(Peer)は仲間のこと.
ピア・サポートは,仲間との支え合いの活動.
つまり,ピア・サポートプログラムは,”ピア・サポート=仲間との支え合い”の風土を創造するための教育プログラムのことです.
ピア・サポートプログラムはカナダで生まれましたが,日本のように「学級」という単位が学校生活のベースとしてある日本の教育にこそ,とてもぴったりくるものだと思います.
もともと日本の学校には,運動会,文化祭,遠足,野外活動,修学旅行などなど,集団づくりを目的とした様々な行事がたくさんあります。これまでも日本の学校では子ども達同士のつながりや支え合いを大切にしてきたのです.
ところが,最近はどうでしょう?
人と関わるの苦手…
友達にどう思われるか心配…
学校や教室にいると息苦しい…
集団が苦手…
スマホやSNSの発達,コロナの影響,塾や習い事で多忙な日々などの状況もあって,子ども達の対面でのかかわりは減り,学校行事は縮小され形だけのものになり,忙しさから親子のかかわりすら希薄になっています.
おかげで子ども達は,人とどうつながればいいか,思いやりをもって人に接するにはどうすればいいかということがわからなくなっているのです.
最近大学生に授業をしていると,「グループワークは苦手です」「授業を通じて人とのかかわり方を学べました」(大学生にしてはじめて??)などというコメントをよく聞きます.
こんなことでいいのでしょうか??
そろそろ本気でピア・サポートプログラムに取り組み,子ども達に”他者を思いやること”,”仲間と支え合うこと”を学ばせませんか?
ピア・サポートプログラムの進め方
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ピア・サポートプログラムは,図のように練習,計画,活動,振り返りの4つの過程をサイクルのように循環させることで,子ども達に他者を思いやり仲間と支え合うことを学ばせます.
練習(ピア・サポートトレーニング)にはとても楽しいワークがたくさんあります.子ども達に楽しみながら様々なスキルを教えていきます.
例えば私がおすすめのワークに「私のハート」というものがあります.これは,ハートの絵に今の自分の気持ちを色を塗って表現する(できればクレヨンが気持ちイイ!)というシンプルなワークです.
自分の気持ちを色で表現し人に説明(自己開示),それに対してまわりの友達は関心を持って聞きポジティブにフィードバック(他者への関心・他者理解),そしてコメントに対して気づきや感想を述べる(自己理解)というものです.
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自由に色をぬっていこう!はみ出してもOK
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このトレーニングは,他者への関心,自己理解,他者理解の力を身に付けさせることを目的としていますが,トレーニングのねらいは他にもあり,基礎から応用まで順序性をもって学ばせることがポイントです.
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ピア・サポートトレーニングは,あくまで練習であり,”他者とのかかわり方”や”仲間を支えるということ”を学ぶ場なので,学んだことを実践する活動を行なってこそ”支え合い”が自分ごととして身についていきます(練習をしても試合をしないと強くはならない!)
効果的なピア・サポート活動を行なっていくためには,まずどのような機会に誰をどのようにサポートするのかを計画します.
ここでは学校に元々ある既存の行事や取り組みが使えます.例えば,6年生が1年生をお手伝いする活動や縦割りのグループでの活動,中学生が小学生に行う部活動体験などなど,探せばたくさん見つかると思います.
そして,大切なのは活動後の振り返りです!
何かしらの活動を行えば,うまくいくこともあれば課題が残るのもあたり前のことです.しかし,その課題を振り返ることなくやりっぱなしにしてはあまりにももったいない!
どのような行動が良いサポートになったのか?
どうすればもっと良いサポートになるのか?
しっかりと活動を振り返り,教師はそれを適切にスーパーヴァイズして,次の活動への目標やモチベーションを創っていきます.
ピア・サポートは生き方
さて,ピア・サポートプログラムが何をねらいとしていて,どのように進めていけばいいのかがわかっていただけたでしょうか?
ピア・サポートは生き方です
子ども達が仲間とともに学校生活を楽しく有意義に過ごすことはもちろん,他者とつながり仲間と支え合うことの楽しさや大切さを学ぶことを通して,将来にわたって人と適切につながり支え合って,人生を幸せで豊かなものにすることがピア・サポートの目指すところです.
社会が大きくそして急速に変化する時代,いつ何が起こるか予測不能な未来において,人とつながり支え合うことはますます大切になってくるでしょう.
子ども達が学校生活を通じて,ピア・サポートの精神を身につけられるように,夏休み明けの不安と心配とおそれの高まる今こそ,ピア・サポートを始めてみませんか?