「ボス雀王決定戦」が商品PRとして非常に優れている秘密【麻雀・Mリーグ】
こんばんは。
場末フリー雀荘出身の田ノ倉です。
サントリーさんとMリーグのコラボ商品販売を契機とする下記のような動画が公開されていました。
サントリー✕Mリーグコラボということで、
下記画像のようにサントリーさんの缶コーヒーにいずれかの麻雀牌がデザインされた特別バージョンが販売されるということです。
そして今回の
「ボス雀王決定戦」
では、その特別デザインの缶コーヒーを使って、
実際に麻雀を打ってみよう!
というのを本当にやってみた
という内容です。
専用のセットをつくり、
実況は日吉プロ、解説に土田プロを起用、
打ち手として多井プロ・伊達プロ・黒沢プロ・鈴木優プロという人気Mリーガー4名を迎えるという豪華仕様。
さすが大企業サントリーさんといったところ。
中小企業や個人で動画制作に携わったことのある人なら、
「これ面白そうじゃね?」
って思ったことをここまで贅沢に実行できるということがいかに羨ましいことか共感してもらえると思います。
1局限定ですが、この限定デザイン缶を使って実際にMリーガーたちが対局を行います。
牌山はないですが、その代わりに各選手の後ろに自販機があり、
配牌やツモはそこから持ってくる仕様です。
王牌については、コンビニのレジのところにあるような透明のケースに入っていて、
ドラ表示牌だけこっちを向いており、残りは全部後ろ向きで何の牌かわからないようになっています。
このように細かいところまで抜かりなく作り込まれており、
制作に携わっていたことのある人間からすると、
「これ絶対、企画会議から撮影までずっと楽しいやつやん・・・」
と直感しました。明らかに楽しんでる缶がにじみ出ています。
上記は選手紹介のテロップ。
Mリーグは基本的に初心者や見る雀勢にも優しくという方針が感じられますが、たまに突き放すような瞬間が見られます。
これでいうと、
Q:コーヒー飲むなら?
A:アリアリ
ってこれ雀荘行かない人にとってはナンノコッチャって話ですよ。
サントリー(イーソー暗刻)もなかなかです。
カッコの中身は「イーソー暗刻」だけでは足りません。
ダジャレだってわからないと、サントリーでなんでイーソー暗刻やねん、
と普通はなります。
まあ別にわからない人がいても問題ないような部分なので、
このあたりはやはり楽しんで作っているなという感じがします。
それにしても伊達プロは演技力が必要な声優という顔をもつこともあり、
こういう企画モノでたびたび出てくる小芝居も無難にこなし、
立ち回りは非常に安定してますね。
鈴木優プロは対局シーンはいいんですが、
小芝居が入るとやはりあやしさが出てきます。
このへん、やはり麻雀にステ全振りって感じでいいです。
黒沢プロはなんか普通の対局かと思うくらいいつも通りな雰囲気で、
優雅に缶を摸打し、さらっと和了を決める様は、
ちょっといつもと違う他3名との対比で逆に面白かったですね。
多井プロはやはりこのような企画には無くてはならない存在で、
もう↓この表情だけでも大仕事をやってのけた感があります。
こんな表情、演技が本業じゃない人になんて指示出したら生み出せるんですかね?
台本のト書きになんて書けばいいんでしょうか?
これだけでも十分面白いんですが、
Mリーグ本編での自分の顔芸もセルフパロディでぶち込んできたりして、
他のMリーガーより明らかに1枚上手です。
これでいて本業の麻雀の実力もトップレベルというんだからとんでもないですね。
さて、前フリが非常に長くなりましたが、
この作品が商品PRとしてとても優れている点。
それは、手牌にガイドをつけなかったことです。
一応、麻雀の対局というテイなので、放送上では各選手の手牌がこのように映されます。
これだと、一見して各選手の手牌構成がよくわかりません。
これが対局をメインに据えた放送であれば、
おそらくMリーグの放送チームなら、この映像はそのまま写しつつ、
別画像でちゃんとした麻雀牌の画像を使って、
手牌を見やすくするガイドを表示するはずです。
そのほうが対局内容に集中できるからです。
しかし、この放送ではあえてそこをすっ飛ばしています。
これによって何が起こるかというと、
基本的にMリーグファンが見るコンテンツなので、
視聴者は麻雀が好きという前提とすると、
対局の内容を把握するために各選手の手牌をしっかり把握したくなります。
となると、手牌の映像をしっかり見ます。
しっかり見ないとよくわかんないので、ちゃんと見ます。
めちゃくちゃ見ます。
それすなわち、コラボ商品それ自体をめちゃくちゃ視聴者が見てくれるということです。
これは商品PRのうえでは非常に大事なことで。
いくらコンセプトが面白かったり、
トガッていてターゲットに刺さりそうな内容だったとしても、
実際の商品購入に繋がらなければ意味がありません。
そのためにはその商品自体の認知を強く意識する必要があります。
今回はコンセプトもコンテンツも面白い上に、
何度も何度もその商品自体を見なければならないという建付けになっているため、
商品自体の認知を強く得ることが可能になるのです。
そもそも、缶コーヒー市場は飽和状態で、
なかなか差別化できるような状況ではありません。
そして、缶コーヒーを選ぶ際は、自販機にしてもコンビニにしても、
商品名というよりはその商品のラベル(外見)を見て、
ブラックか微糖かカフェオレ系かを判断したうえで、
あとは最終的になんとなくでパッと選ぶ、
みたいな傾向が強いと思います。
そんな中で、商品の外見を強く認知できるというのは、
缶コーヒーの広告としてとても価値があります。
一見するとふざけた思いつきみたいな企画と思わせて、
実は商品のPRとして優秀な仕掛けが施してあるこの動画。
ぼくがクライアントの立場だったら大満足です。
そういえばサントリーさんとMリーグのコラボ企画が発表されたときに、
「ついにサントリーがMリーグのスポンサーになるか?」
みたいな噂がちらほらありましたが、
実際どうなんでしょうか?
サントリーさんまでスポンサーにつくとなればMリーグはさらに盛り上がってくると思いますので、
今回のボス雀王決定戦をきっかけに、これが噂ではなく現実のものとなることを期待しています。