高校生活動レポート「マラウイの子どもたちに給食を!プロジェクト」編
盛岡という星でBASE STATIONでは、探究活動支援の一環として、高校生や大学生をはじめとする若者と、地域とのマッチングに取り組んでいます。
そのなかの1ケース、「マラウイの子どもたちに給食を!プロジェクト」をご紹介します。このプロジェクトに取り組んでいるのは、盛岡第一高等学校の1年生4人組。1月7・8日には、株式会社川徳に販売場所をご協力いただき、アフリカ・マラウイの子どもたちへの給食支援のためのコーヒー販売会を実施しました。
今回は、このプロジェクトがどのようにして開催までに至ったのかをレポートします。
テーマ「アフリカの支援で最も効果的なものはなにか」
プロジェクトメンバーの数人がフェアトレードや海外支援に興味があったことから、先輩が取り組んでいた「アフリカの支援で最も効果的なものはなにか」というテーマを引継いで活動を始めた4人。
コーヒー販売という活動にたどり着いたのは、リサーチを進めるなかで、「最も効果的な支援=子どもへの給食支援?」という仮説をたてたことがきっかけなのだそう。盛岡の高校生という立場からできることを考えるなかで、「Warm Hearts Coffee Club」というコーヒー販売ショップの売上利益がマラウイの子どもたちの給食支援にいかされるという取り組みを知ります。そこで、盛岡で「Warm Hearts Coffee Club」のコーヒー販売を実施して盛岡の人にマラウイの現状を知ってもらうと同時に、売上利益を「Warm Hearts Coffee Club」に寄付することで、マラウイの子供たちの給食支援に役立てるプロジェクトに発展します。
プロジェクトの実現を目指すうえで最初の課題が、どこで開催するかということ。さまざまな人が行き来する場所、フェアトレードや海外支援といったキーワードに敏感な人が立ち寄る場所など、生徒の皆さんが考える「多くの人にプロジェクトを知ってもらう」という目線で、開催場所を一緒に検討しました。そこでたどり着いたのが、盛岡の百貨店・川徳です。
生徒の皆さんからは「是非川徳で」という要望がありましたが、川徳に場所を借りて外部の商品を販売する、というのはなかなか高いハードル…。しかしながら、川徳のご担当の方が「高校生がマラウイの給食支援につながるコーヒー販売をおこなうこと」に賛同してくださり、若者も含めた多様なお客さまが立ち寄る6階ロフト前のスペースを無償で提供いただけることになりました。このことで、売上利益が100%支援につながることになります。さらにはどんなものを準備する必要があるか、販売するときにどんな声がけがいいか、など販売の極意もアドバイスいただき、開催を実現できることになりました。
事前準備スタート
ここからさっそく準備がスタート。BASE STATIONでは、探究の相談・マッチング以外にも、活動場所としてスペースを利用することができます。「マラウイの子どもたちに給食を!プロジェクト」の皆さんも、状況に応じてBASE STATIONスタッフにも広報の方法などを相談しながら、打ち合わせや販促ツールの作成の際にスペースを活用して、準備を進めました。準備をしながら、当初予定していた仕入れの個数では足りないかも?という話題が挙がり、追加発注をおこなうことも。販売会の1週間前には、コーヒーの味の試飲や、販売場所である川徳6階の下見もおこない、あとは当日を迎えるだけ…、だったのですが!直前でプロジェクトメンバーの半数が体調不良になり、当日参加できないことに。
当初、販売会の2日間は4人のメンバーが交代で回すことになっていましたが、急遽助っ人を探し、プロジェクトメンバー2人に加えて、申し出てくれた助っ人3人で当日を迎えることになりました。
1/7、8 コーヒー販売会当日
販売会当日はコーヒーを提供した「Warm Hearts Coffee Club」の皆さんも応援に駆け付け、マラウイの現状やコーヒーの特徴について、直接レクチャーしていただきました。
10時に川徳が開店すると、さっそくお客さんがやってきます。休日ということもあって絶えず通り過ぎていくお客さんに、なんと声をかけたら立ち止まってもらえるのか、実践にうつすのは想像以上に難しかったことだと思います。しかしながら、事前に作っておいたPOP広告などを用いて少しずつお声がけしたり、ブースの中で固まらずに近くのエスカレーターまでお声がけに行ったりと工夫を加えることで、徐々にコツをつかんでいった様子でした。
通りかかったお客さんも、「高校生がアフリカ支援」と聞いて、どんな活動をしているのか、コーヒー販売がどのように支援につながるのか関心をもってきいてくださったり、マラウイに詳しいお客さんが逆にメンバーにマラウイのことを教えてくださったり。お客さんとコミュニケーションをとるうちに、両日ともに想定していた時間よりも早い完売となりました。
販売会を振り返って
販売会後、BASE STATIONでおこなった振り返り会では、「はじめは戸惑いもあったけど、2日間続けるうちに、来てくださった方に対する声のかけ方が分かってきて、楽しかった」「ブース前だけでなく、エスカレーター前でも声がけをするよう工夫したことで、活動を知ってくださる方が増えた気がする」という感想があがり、開催したことの意義を感じられた様子。
「Warm Hearts Coffee Club」代表の山田真人さんからも、「声がけの仕方なども含めて、プロが販売する場所で販売・接客を体験できたことはいい経験になったのでは」という感想をいただきました。直前にメンバーが参加できなくなるというアクシデントもありましたが、助けてくれた助っ人メンバーの力を借りながら、皆さんの力で実現できたのだと思います。
とはいえ、良かったことだけではありません。情報共有が円滑にできなかったことや、お客さんの質問に答えられなかった、一高生による販売会だということを伝える工夫ができなかったことなど、初めての挑戦だからこそ反省もいくつか残りました。そんな改善点にプロジェクトメンバーの皆さん自身が気づけたことで、反省を伸びしろに変えて、今後に生かしていけるのではないかと思います。
「マラウイの子どもたちに給食を!プロジェクト」の活動は、今後も続いていく予定だそう。アフリカの支援につながるような情報提供ができるよう、HPやSNSでの情報発信に力を入れたり、アフリカに関するテーマでワークショップを開催したりなど、振り返り会でも複数のアイデアが挙がりました。今後の活躍に期待です。
盛岡という星でBASE STATIONでは、このように高校生と地域とのマッチングをおこなっています。今回の紹介したプロジェクトは、アフリカ・マラウイの子どもたちに対して、遠く離れた盛岡から、川徳や地元の皆さんの力を借りて、活動にうつした事例です。このように、来場する皆さんの探究テーマや活動内容に応じて、活動をより盛り上げられるようなフィールドワーク先を一緒に検討することで、高校生や大学生の皆さんが地域への関心を高める取り組みをおこなっています。
プロジェクト活動を進めるうえで専門家や経験者の力を借りたいという高校生、大学生などの皆さん、是非BASE STATIONをご活用ください。
また、若者への知識提供や共創など、ご協力いただける方がいましたら、BASE STATIONまでお知らせいただけますと幸いです。