恋する惑星
ウォン・カーウァイ監督の5作品が4kで、WKW4K祭りが全国で始まりました。
間もなく閉館するテアトル梅田で「恋する惑星」(重慶森林)を観てきた。
昔観た映画を観直すと、今まで気がつかなかったところを発見したり、レストアしたので画面が明るく感じた。色やロフトの袋とかの小道具など細かなところも鮮明に感じられた。
4年前にサッカーの応援でパパと映画の舞台香港に旅行に行った事も大きい。世界で一番長いエスカレーター、ヒルサイドエスカレーターが映画の中で重要な役割をしているが、現地で乗れた事は大きい。映画の始まりはモウ警官が重慶大厦をさまよる所で始まるが、このマンションの側のホテルに泊まったので中の猥雑な様子を見ることができた。
『その時、2人の距離は0.1ミリ。6時間後彼女は別の男に恋をする』
2つの物語のオムニバスになっているが、警官223番モウ演じる金城武はなんて自由にしてるんだろう。演技なんてものじゃないかもしれない。街で拾ってきた若者を出演させたようだ。このモウの物語は麻薬密売人の金髪女も混じってアジアの香辛料が香る話になっている。そしてもう一つのトニーレオン演じる警官633番の物語にバトンをつなぐ。CAの彼女に振られた633番がいつも寄るファーストフード店ミッドナイトエクスプレスでフェイと出会う。CAが彼に渡してと置いて行った手紙に彼の家の鍵が入っていた。一方的に好きになったフェイは彼の部屋にこっそり入り、掃除したり模様替えしたり。そしてそれがバレてしまうのだが。
音楽のチョイスが良くて、特に「夢のカルフォルニア」「夢中人」は映画館を出てもずっと頭の中でリピートしていた。色彩は美しいというか独特で今回の4Kレストアによってより楽しむ事ができる。映画の中の時間やスピードの使い方は独特だ。早回しをして疾走感を出したりそれに重ねてゆっくり取ったり。
映画は娯楽だ。だからどこまでも楽しみたい。音楽、食事、役者の演技、映像、そして心も。ここに妙な倫理観はいらない。またハッピーエンドを押し付けなくてもいい。失恋して落ち込んで次に行かないも、辛さに浸っているのも自由だ。モウのしつこさもフェイの以上な行動も好感が持てる。
フェイの演技にとても心撃たれた。彼女は一方的に好きになり勝手にこっそり部屋に入る。クローゼットを除いたり、勝手に引き出しを開けたり、水槽に金魚を足したり、ベットに寝たり。今でいえば酷いストーカーだけど。ハラハラする一方で羨ましいぐらいに自由だ。そして彼が振り向いたとき、彼女はカリフォルニアに向かう。彼女の姿に心の骨を抜かれた気持ちになった。
残りの作品はまた後日