歌を詠んで添削会!
前回まででひと通り、穂村弘さんの「短歌という爆弾」を読みまとめたので、勉強した知識を踏まえてアウトプットもやっていこうという試みです。
2人が1つずつ詠んだ短歌を持ち寄って、2人で講評し添削していきます。
(タイトルなんか無いかなあ。笑)
まずはひなから。
コト)親知らずのことだろうなとは思った
第一印象はかたい。歌として(事実の描写だから?)
親知らずを抜いたんだなあとはわかるが、その人の感情までは読み取れない。
ひな)割と具体的な描写を出すことでリアリティを出そうとした。
これは親知らずを抜いてすっきりしたはずなのに、あった場所に穴が空いてて、それをいつもあった時の癖で舌でいまだに触ってしまう、後髪をひかれるような寂しさを表現したかった。
歯があったところに穴が出来て、心も空虚な感じでぽっかり穴が空いたような心情だけど、それを直接的に歌にしたくなかった。
コト)"歯を抜いた"って言ってしまうのは良くないのかな。
これを詠んだ時に寂しさを感じなかった。
[は(ha)]というのが音的にも直接的という意味でも スパッとした感じ。
抜けてすっきりしたような。
歯を抜いた→ぽっかりと
ぽっかりと 一番奥の右の下 舌で触る癖だけが残る
ひな)ぽっかりっていう音が良い。
確かに、ぽっかりという擬音を使うだけで、具体的にはなり過ぎないけど、描写も心情も同時に感じられる気がする。
あと、自分で今改めて詠んでみて、"下 舌"って続くの、音として詠みにくいなと感じた。
コト)"舌で触る"を違う言い回しにすると、"舐める"かな。
ぽっかりと 一番奥の右の下 舐めてしまう癖だけが残る
続いてコトの短歌。
コト)自信がない短歌を。
ひな)”手を叩く”…?
紅茶につられてるせいか、手を叩く場面が食卓で想像できない。
コト)そこにひっかかるのは意外。
思い浮かぶ場面とかは?
ひな)うーん、なんとなく”手を叩く”は拍手かなと。
でも”解けて”じゃなく”解いて”なのがなんか文脈として引っかかるのと、
なんとなく紅茶で食卓をイメージしたけど、”浸せ”って急に命令形になってるのが突拍子もない感じで。
コト)これは言ってしまうと、アメリカのボストンのティーパーティーのこと。
"聖書を浸す"行為は冒涜。
"古の魔法"はイギリスの支配のようなものを表現してる。
ボストンのティーパーティー事件はイギリスからの解放を喜んだ時のもので、"手を叩く"は拍手で喜びの表現
自信がなかったのは、自分は想像して詠んだけど、他の人には場面が伝わらないだろうなと。
ひな)”聖書を浸せ、紅茶の海に”この部分は流れがすっきりしてて好きかも。
でも画像(上記URL参照)を見てから詠むと、”紅茶を”じゃない?
コト)事実描写をしたくなかったのと、昔 歴史の先生が「紅茶の海になる」という言い方をしたというのが記憶に残っていたから。(それってどんな味だろうって当時思っていた。)
ひな)言い回しを変えようとしたのを詰め込みすぎて、ごちゃっとしている。その違う言い回しというのが少し描写の具体性があるから、全体として詠み解きにくい。
一部気になるところをまず変えると、
古の魔法が解けて 手を叩く 聖書を浸せ、紅茶の海に
”古の魔法”が(示唆するものが)広過ぎるから、”古の”を変えた方がいい
コト)イギリスを直接的に言うのはアレなので、象徴をいれてみる?
ライオンの砦を壊し 手を叩く 聖書を浸せ、紅茶の海に
ひな)ライオンの手綱千切れて 手を叩く 聖書を浸せ、紅茶の海に
コト)ライオンの手綱千切って 手を叩く 聖書を浸せ、紅茶の海に
[て(te)]が続く。
自分が獰猛な生き物を飼っていたと捉えられそう。
ひな)固かった鎖が朽ちて 手を叩く 聖書を浸せ、紅茶の海に
言葉としてあんまりいい響きじゃないし、朽ちてって変だなあ。
コト)因縁の鎖を断ちて 手を叩く 聖書を浸せ、紅茶の海に
ひな)さっきより575のとこはすっと入ってくる。
でも解放からの喜びの後に”聖書を浸せ、”ってなるのは唐突感があるかも。
コト)因縁の鎖を断ちて 手を叩く 自由が浮かぶ、紅茶の海に
因縁の鎖を断ちて 手を叩く 自由よ浮かべ!紅茶の海に
紅茶の海に”自由よ浮かべ!”の方がいいかな?
ひな)”自由よ浮かべ!紅茶の海に”こちらの方が流れとしていいし、紅茶の海を象徴させたいならこちらの方がよりインパクトがある。
”浮かんだ”を使いたいなら
因縁の鎖を断ちて 手を叩く 自由が浮かんだ紅茶の海
コト)因縁の鎖を断ちて 手を叩く 自由を讃える紅茶の海
バリエーションが増えて逆に難しい…。
ひな)因縁の鎖を断ちて 手を叩く 自由よ浮かべ!紅茶の海に
やっぱりこれがいいかな。
コト)私も、アメリカっぽさも感じるしこっちがいい気がする。
結構いい議論が出来たので、次回もこれをやっていこうと思います。
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