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Mo#42 結果発表「奇跡」

Tanka Place Moでは
新月と満月の日に歌会を更新しています。
今回は「奇跡」の短歌への投票結果とコメントを発表いたします。


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1.
夢声に満ちた心や薔薇の様促すのです愛の奇跡を
Sakay 1点

すーさん@ヘタレドライブ「夢声に満ちた心や薔薇の様促すのです愛の奇跡を
美しい。絵画のようです」1点
乙女「ゆめごえなのかむせいなのか?夢精と読んでしまったよ。言葉に寄りかかっていて解釈に導かない。」
田中大貴「韻律に惹かれる作品。夢心地に誘われた。」
猪之丞「夢で見た景色でしょうか。上の句の「や」と、下の句の「です」により、文法の誤りではないのですが、文体が途中で急に切り替わったような印象を受けます。「夢の声に満ちた心は薔薇の様である」の歌意であれば、前後の文脈を掴みにくく、何故それが「愛の奇跡を促す」のかも不明な感じがします。この場合は因果の流れを明瞭にしたほうが各アイテムの効果を引き出せると思いました。夢であればどこを切り取るのか効果を考えると良いかもしれない。」


2.
昨春と同じ樹に咲く違う花
去年の君に似ている奇跡
すーさん@ヘタレドライブ

すーさん@ヘタレドライブ「去年の花と今年の花は、正確に言うと違っているはずなのに、あれ去年も会ったぞ君。という気になることがあります。何でしょうかこれ。気のせいでしょうか、誰かの思いが伝わってきてんのでしょうか?」
乙女「花の解釈が欲しい。イメージが湧かないから君に直結しない。」
田中大貴「三句と五句が体現の歌。いくつもの君が思いおこされる。」
猪之丞「同じ樹に咲く花でもよく見ると一つ一つの表情は違います。小さな差異を見逃さない繊細さを感じるのですが、「去年の君」が花を指すのか、特定の人物を指しているのか曖昧です。梶井基次郎の「櫻の樹の下には」を思い出しました。」


3.
卵かけご飯のひかり 朝六時、まいにち奇跡を戴いている
ゆかり 5点

Sakay「続ける又は続けられる奇跡に」1点
南さよ「多くの卵の中から1つの命を選ぶのは奇跡かも」1点
福良 椋(ふくら・むく)「お気に入りのものがあるという奇跡。」1点
陀弥阿「上句のインパクトにやられた。奇跡が毎日起こるならそれは奇跡とは言わないのではと思ってしまうが、そんな理屈呑み込まれた。
どこかの鶏の命が誰かの命をつないでいる。考えてみたら卵かけご飯なるものも奇跡?毎日でもたしかに奇跡だ。」1点
さゆりん「何気ない朝の光景をていねいに詠まれていると思いました。」1点
乙女「素直に毎朝のたまごかけごはんの感謝が伝わるが、「朝六時」で遮断せず詩的に繋げたらいい。ぶっきらぼうの無味乾燥が残念だ。」
田中大貴「この歌は卵かけご飯にひかりを見出していて美味しそうなのがいい。」
猪之丞「卵かけご飯は大好きです。奇跡をテーマにするならば、物に意識を集中させるのではなく「今この宇宙の中で全てが噛み合って成す不思議」など、現象へ視野を拡げた方がより奇跡に接近できるような気がします。」
純「僕も最近よく卵かけご飯を食べます、美味しいですよね~」


4.
またしても奇跡が起きた!またしてもそれはあなたの口癖だから
陀弥阿

乙女「二つ目のまたしてもに「またしても」とかぎかっこをつけるといいなあ。」
田中大貴「!のあとの〈またしても〉の繰り返しは勢いがある。〈またしても〉ではなく〈奇跡〉が口癖だろう。」
猪之丞「繰り返しにより「またしても」が強調されて「奇跡」は弱い印象となり、結果的に「あなたの口癖」が主題に見えてしまいます。散漫な感じがしますので、奇跡へ重心を戻すもう一工夫が欲しいと思いました。」
陀弥阿 「奇跡なんて本当の意味で言ったら殆どの人が起こせないものなのに自分含めてよく言ってるよなぁ〜って思って歌にしました。」


5.
奇跡的!良く言っちゃう日常語
そんな自分にほくそ笑んでる
無名の歌人
あふろひめ

乙女「軽いなあ。」
田中大貴「〈良く言っちゃう〉と〈日常語〉の意味が重なっている。そして〈奇跡的!〉もそれらと重なっているのだ。いっしょにほくそ笑みたいな。」
猪之丞「ハイテンションで面白いのですが、内面に切り込む表現も欲しいですね。「ほくそ笑む」は「思惑通り事が運んで人知れず笑みを浮かべる」などの、ややネガティブな関係性を含んでおり、上の句の裏表のなさと「ほくそ笑む」のニュアンスが異なるように感じます。」
無名の歌人 あふろひめ「振り返ったら最近良く言ってる事が判明(笑)
「思いがけない良いこと」が起きてる証拠!」


6.
どこからか桜の花びら舞い込んでこの世の仕組みの奇跡を想う
福良 椋(ふくら・むく) 1点

しゅくるん「桜の花びらが舞い込む様子、
綺麗な句です。」1点
乙女「軽いなあ。もっと重厚にもっとつやつやしくもっと詠えるよ。」
田中大貴「〈桜の花びら舞い込んで〉と助詞をぬいているのがいいと思う。どうやら、定型と言葉のすきまに私がみえるらしい。」
猪之丞「分かり易いけれどオーソドックス。バランスを敢えて崩すための言葉や視点の転換もあると刺激的です。花の精として夢の中へ現れて、「貴方との出会い、それは奇跡」と万物がめぐり逢うこの世の奇跡を悦び、夜明けとともに草木国土悉皆成仏と唱えながら消えてゆく、なんて如何でしょうか。能楽みたいでやり過ぎですか・・・」
福良 椋(ふくら・むく)「この時代・この場所に生きていること自体にないものねだりかもしれない「奇跡」を感じていたい。」


7.
生命は奇跡のもとに誕生しデジャブのような出会う人々
野口

乙女「デジャブのよう「に」がいい。」
田中大貴「〈デジャブのような〉がここで現れてくることに驚く。たしかにその通りだ。」
猪之丞「偶然と分かっていても何故か既視感があって、「ひょっとしたら前世からの繋がりかな」などと思ってしまう不思議。この場合は因果律よりも「デジャブの不思議としか言いようがない感じ」を拡大しては如何でしょうか。
さっちゃん「もしかしてMOAさんですか?」
野口「迷子になってます。」


8.
今生に 出会えたことが 奇跡なの 母のひとこと 沁む気持ち
ゆめこ

乙女「しむきもちと読むんだよね?字足らずが落ち着かない。」
田中大貴「表現がうごいているので、一字あけを減らしてみてはどうだろうか。」
猪之丞「上の句の「今生に 出会えたことが 奇跡なの」と、下の句の「母のひとこと」は意味重複に思えます。「滲む気持ち」は説明的な感じがしますので、上の句、下の句の全部をお母様の台詞書きにして、言葉に全てを滲ませた方が面白いかもしれないですね。」


9.
もし神がプールに浮かべたがらくたでできた時計を選んでいたら
冬不純黄昏 9点

Sakay「何やら神秘的かつ奇跡に感じました、神がプールにおちたがらくたの時計をえらんたなら。時計、則ち時間、時空を戻したり進めたり平穏な時を選んだならば」2点
南さよ「神がガラクタ時計を選んでいたら地球は全て違っていたろう」2点
福良 椋(ふくら・むく) 「考えさせられる、このifは。」1点
田中大貴「いずれにしても奇跡が起こりそうで、面白いぞ。」1点
猪之丞「「神が時計を運ぶ」の意味は不明ですが、不明なところに面白さを感じます。「ガラクタで出来た時計がプールに浮かんでいて、その時計を神が運んでいる」のか「プールに浮かんでいたガラクタで、出来上がった時計を運んでいる」のか良く分かりません。句読点一つで謎が解けてしまうなら余り面白くないけれど、詩歌は分からない所があるから面白いのでしょう。どういう意味だろう、しかし。」1点
陀弥阿 「そうか!選んでいたから奇跡みたいな事が起こるのだなと納得。」1点
無名の歌人 あふろひめ「神秘的で不思議な感じで
惹かれてゆく・・・・・」1点
乙女「帰着するところが分からない。」
純「「プールに浮かべたがらくたでできた時計」という光景が不気味であるが神秘的で、選んでいたらどうなるのか、と想像が働く、印象に残る歌です」
冬不純黄昏 「神が、地球に生命が誕生するのにに必要な分の奇跡エネルギーを、全て、プールに浮かべたがらくたを混ぜて時計ができることに使用していたら、僕たちは全て無かった。ただ私は無神論者なので、私にとっては生命誕生率は100%です。」


10.
赦し合う時機はあえかに不知火のいつかあなたと見たような街
花曇り 2点

花曇り「幻のように不確かなものを、信じてみたいと思うことが奇跡なのかもしれない。」
田中大貴「歌が光っている。その時がどこまでも続いてしまう気でならない。」1点
すーさん@ヘタレドライブ「赦すってのがもう奇跡。」1点
乙女「とても詩的に描いている。言葉をひとつひとつ解釈してゆくと、弱弱しいあえかな無数の光が明滅する夜。漁火いさりびが異常屈折による光像をあなたとみていた昔。」
猪之丞「昭和演歌の香りがするぞと。「まだムカついてるの。互いに許し合える時が来るのか来ないのか不確かで分からない。てか、こんな事、前にもあったよね。なんか思いだしてきた。街が揺らめいて見える、私たちの不確かな関係みたい」の様な歌意でしょうか。奇跡とあまり関係ない流れが好いのか悪いのか、どうなんだろう。」


11.
今朝起きて生きていること確認す これも奇跡か妻も生きてる
伊藤茂 3点

しゅくるん「生きてる奇跡、いまわたし入院中なので、その奇跡痛感します。」2点
冬不純黄昏 「二乗の奇跡に相当する出来事が毎朝起きていてすごい。」1点
南さよ「毎日生きていることも奇跡のひとつ」
田中大貴「〈生きている〉と〈生きてる〉のちがいはなんだろう。〈生きている〉より〈生きてる〉にぼくは〈生〉を感じる。」
猪之丞「息をしているかどうか確かめるために鼻の穴にティッシュを翳したら怒るでしょうね。」
伊藤茂「今現在私が71歳で妻が62歳で子供たちは独立して二人暮らしです。これからの生活が年々不安が募るなかこんな時が来るのではと思いつくりました。」

12.
足の裏みずみずしい日溜まりとなり奇跡を誤読した夜のこと
純 6点

斎川都「太陽が登れば全部うそだったと思ってしまう」3点
花曇り「「奇跡を誤読」とは何のことだろう。独自の世界観があり◎。読みやすさ的には「足裏+助詞」でもよかったのでは。結句で着地がきれいになり過ぎた印象があり「こと」の安定感が歌の世界観から微妙にずれたように感じる。好きな歌です^^」1点
猪之丞「読むほどに意味不明。「奇跡を誤読した夜」は何を読み違えたのか。誰かと足の裏をくすぐり合って、出会えた幸せを噛み締めながら眠りに就いた・・・違うか。足の裏の瑞々しい日溜まりとは何か?そもそも日溜まりって瑞々しいのか?それが足の裏にあるってどういう事?う~ん、何だろう。分からないから1点付けておこう。」1点
ゆかり「12は普段は見れらない足の裏を見ることが出来た夜に、少し足裏が白いんですかね?日溜まりなので。少し土踏まずも思わせます。ねころんで足を揃えて伸ばしているのかな。そんな特別な夜を奇跡と思ってしまったのかと思いました。」1点
南さよ「奇跡の誤読を知りたい」
乙女「これもさっぱり分からない。水虫の足の裏が太陽に焼かれて水虫が治ったのかね?」
田中大貴「主体は寝そべって奇跡を読んでいたのかな。〈足の裏/みずみずしい日溜/まりとなり/奇跡を誤読/した夜のこと〉とリズムをつけて声にだした。」
純「誤った踏み出しが後に活きることもあるかもしれないしあったら嬉しい」



13.
空爆はいちご大福だったため悲鳴がいつもより美しい
田中大貴 13点

伊藤茂「空爆という悲惨な・・・見事な奇跡にやられました。」3点
シモムラ アキラ「ガザに大福が降ればいいのに」2点
福良 椋(ふくら・むく)「この組み合わせが奇跡的。」1点
乙女「ふふふふ。童話的で楽しい。落ちてくる爆弾が無数のいちご大福ではじけて、降り注ぐあんこの雨、雪のようなおもち。口を開けてみんな待ってゐる。」1点
花曇り「いちごでも大福でもない、いちご大福の空爆という発想が面白い。」1点
猪之丞「明け方の夢で見た景色ならば着想が面白いです。この場合、お題の「奇跡」を使わない方針も良いですね。説明的な印象のある「ため」「美しい」を他の言葉で描写しては如何でしょうか。夢を詠んだ歌集は東直子さんの「青卵」などがありますよね。短歌俳句は「嘘は駄目」が常識になっているけど、マンネリの生活詠だけでは詰まらない。朝起きて短歌で夢日記なら面白そうです。「空爆のイチゴ大福あめあられ悲鳴サクレツ鼓膜突き刺す」などで御不満ならば更に更に考えて下さい。」1点
陀弥阿 「戦火と血の海になるより、苺と餡子まみれの甘くて酸っぱい悲鳴、真白な餅が顔にひっついて窒息死する惨劇を想像したら、たしかに美しくて恐怖を忘れて見守りそう。」1点
アーイ・アイ「ファンタジーな感じ。」1点
冬不純黄昏 「瞬間はハッピーな詩に見えるものの、「いつも」という言葉のせいで、いちご大福以外が降る残酷な「いつも」が示唆されていて恐ろしいです。次も、水饅頭あたりが降ればいいですね。その次はゆべしあたりが。」1点
ゆかり「13は嬉しい悲鳴かな。いちご大福が降ってきたら、嬉しいな♪」1点
純「「いちご大福」で血を想起してしまう。現実の悲惨に紐付く事象を、仮に歌でフィクションを形作るとしても、このように「美しい」と言ってしまうのはどうなのか、別の言葉の選び方、描き方があると私は思います」
田中大貴「〈今〉に違和感を感じているからこういう生き方しかできない。すると、歌がうまれる。」


14.
信号はことごとく青(やめてくれ)奇跡みたいな朝の駅前
さゆりん 3.5点

花曇り「これは好ましくない奇跡ということか。流されていくことの不条理を感じる。」1点
シモムラ アキラ「(やめてくれ)がイイ」1点
ゆかり「14は望んでいない奇跡。や、スムーズであることは、朝嬉しいことだけど、出勤なのかな。嬉しくないですね、やっぱり。」1点
乙女「行き先を自由に選べる。どこまでも信号は青なんだ。素敵じゃないか?ゆきたいところに行こう。止めるな!」0.5点
南さよ「たまに青信号が続くとラッキーと思える。朝の通勤時間でなければもっと良いのに」
田中大貴「どうして(やめてくれ)なのだろう。もうすぐ信号は変わってしまうのだろうから、その感情はあなたにとって価値がある。本当に、信号は変わってしまうの?」
猪之丞「「今日は全然気が乗らないのに信号だけ全部青かい!」の様な状況は伝わってくる。説明的な下の句を「これはもう、人知を超えた力に背中を押されているとしか思えない。押さないで、だから押すなって」という(やめてくれ)の気持ちで強調したら如何でしょう。」



15.
僕が夢を諦めかけてるその横で君は奇跡を信じてくれる
シモムラ アキラ

シモムラ アキラ「心から信じれば奇跡は起こる」シモムラ アキラ
田中大貴「この歌、すきです。そのような関係性をすてきだとぼくは思います。」
猪之丞「「信じてくれる彼女の為にもう一回だけ頑張ってみようよ。一回ぐらいなら出来る。きっと。ねっ、大丈夫だから。やってみようよ。」「いや、限界かも知れない…二回も三回も無理」そんな心の葛藤が聞こえてきました。まあ、他所の話は関係ありませんけれども、そのような歌意に受け止めました。君と僕の双方の状況を書くよりも、どちらか一方の心の内を書いた方が効果的かもしれません。」


16.
奇跡の子 ひらひらと舞う未来のゆめ微笑み咲かせ命の息吹
アーイ・アイ 1点

さゆりん「産まれたばかりの赤ちゃんが寝ている姿を想像しました。」1点
田中大貴「初句の切れが活きていて、二句からは標語になりそうだ。この歌を詠んだひとは未来をしめす力があると思う。」
猪之丞「「子」は「子ども」の意味ではなく「夢に見ている何か」なのでしょう。言いたい事が盛り沢山で散漫な印象を感じます。」


17.

億ションに
海外旅行に
贅尽くす
奇跡信じて
宝くじ買う
しゅくるん 2点

しゅくるん「当たったこと一度もないんだけどね( ̄∇ ̄*)ゞ
夢見るのは自由~(*^^*)」
すーさん@ヘタレドライブ「俗っぽい奇跡だ、だかそのどこが悪い。僕は支持しますよ」1点
無名の歌人 あふろひめ「奇跡に対する捉え方完璧で最高(笑)」1点
南さよ「宝くじ=奇跡はありきたりかも」
田中大貴「欲のふかい主体を演出していて好感がもてる。」
猪之丞「分かり易いけれど詩情に乏しい感じがします。欲望に焦点を絞ってはどうですか。場合によっては目を背けたくなるネガティブな感情だって歌になるのですから。」


18.
一晩の逢瀬にうろこ落しゆくあの娘の道を閉ざすな海よ
乙女 2点

アーイ・アイ「最後の海という言葉に想像が膨らみます。」2点
花曇り「上の句が詩的で惹かれる。全体的に創作感があるので下の句は解像度をもう少し上げてもよかったのではと思う。」
田中大貴「物語が読み取れる。結句の詠嘆が心地いい。」
猪之丞「むむむ、さては彼女は人魚だな。尻尾を足に変える薬と引き換えに失ったのは美しい声。ああ、愛を告白できない悲しさよ。そして王子を刺し殺せずに海の泡となって消えていった優しさ。この哀しさも詠って欲しい。」
純「少し切ない物語を想像します、後半力強い言葉になるのがいいですね」


19.
医者からの叱咤激励受け止めて奇跡信じて少し精進
りんごジジィ

田中大貴「その言葉を受け止めることが大切だとおもう。〈奇跡信じて〉が切ない。」
猪之丞「朝散歩をしましょう。光の刺激が奇跡を齎してくれるはずです。」
純「シンプルな歌なんですが、「奇跡」を信じて進む忍耐に心打たれます。」


20.
二千年前なら奇跡と呼べただろう君が癒した熱も痛みも
斎川都 3点

斎川都「大概の事象には理由がつけられて奇跡は減ってしまったけれど、君は私の救い主」
田中大貴「苦難すら愛おしくなる。それは奇跡です。」1点
冬不純黄昏「この詩すごく好きです。これからも人類の医療が進歩することを思い浮かべると希望が湧きます。奇跡が当たり前になったことがすごく嬉しく感じます。」1点
純「医療の話であるかとも思ったのですが、「癒す」だからそこまで重くはないのかな?例えば、熱や痛みを直接快復に向かわせるのは薬や寝床での安静など、「君」が直接熱や痛みを取り除いたというのは現世では考えにくい、薬や快復に向かわせる事物を「君」と名指しているのかもしれないし、もしかすれば人が人を直接癒せるように進化した未来の話であるかもしれない。今の、病の快復の過程に関わる人の話であるとすれば、その人はどこか呪術者めいた姿をしている」1点
南さよ「原始時代の呪術か、はたまた長い結婚生活で君の癒やし力が減った?」
猪之丞「どんな感じで癒してくれたのか気になります。おでこにチュッとお呪いでしょうか。余計に熱が上がりそうで・・・」



21.
秒殺で取れぬ先行前売りの会場入りは奇跡のひとつ
南さよ 3点

さっちゃん「チケットを勝ち取るのは奇跡の賜物ですよね。」3点
田中大貴「〈秒殺〉と〈奇跡〉が歌にアクセントを与えている。」
猪之丞「チケットをゲット出来た時の感情の爆発、会場に入った時の足が浮いてしまうような高揚、家に帰っても明け方まで眠れない、そんないつまでも醒めない興奮を文字に変えて欲しい。」
南さよ「人気のある津田健次郎と伝統文化のコラボの券はあっと言う間に売切れ。ダフ屋が出るかも。」


22.
キセキってどんなのだっけ隅っこに仕舞ったままの笑顔のことかな
猪之丞 4.5点

純「すごくハッとした歌で、笑顔が仕舞われたままになっているのを苦しくも感じるのだけど、きっと素晴らしく光る笑顔であろうと想像します」2点
猪之丞「今回も議論の活発化を目的に掲出全歌へ初学ながらコメントを申し上げます。さて、お題が「奇跡」と知って困ってしまいましたが、YouTubeで或る詩人の朗読を聴いて考えた事を詠んでみました。その朗読は活舌も良くないし、多分練習もしていない。内容も大して頭に入らなかったけれど、朴訥な声は言外に色々な事を教えてくれました。「背伸びしなくてもいい」「下手でも十分」「人を目指すな」と。「言われてみれば色んな事を忘れていたな」と自分に気付きを齎してくれる朗読でした。言葉ではない声に出会えたから、それは自分の奇跡かも知れない。まあ、しかし奇跡とは結局、何でしょうかね。」
さゆりん「なにかかなしいことがあって、でも笑顔をつくり奇跡を信じる、そんな姿が浮かびました。」1点
無名の歌人 あふろひめ「キセキ=笑顔がとても素敵☆」1点
乙女「なんの技巧もない素直さがいいね。」0.5点
田中大貴「この歌は一隅を照らしているよ。」


23.
おのが齢を
弾いて洒落っ気整える
愛の奇跡があるやも知れぬ
村上春樹

村上春樹「年齢を弾き跳ばすのも健康を維持する為には必要です」
乙女「弾くのはピアノか?バイオリンか?自分の年令を軽く笑いながら愛の奇跡を待つ心意気。いいなあ。新しい愛がさんさんと降りますように。」1点
田中大貴「〈おのが齢を/弾いて〉がおしゃれですね。〈洒落っ気整える〉はかわいすぎた。」
猪之丞「「とにかく話をしっかり聴いてくれる人」が良いと言っていたけど、詳しく聞いて見ると要するに「話を聴いてくれるなら誰でも良かった」らしい事が分った時がありました。抑々そんな事には一切期待もしていないという事実。「あるやも知れぬ」に反する意識のズレがどこかに潜んでいるならば、それも探し出して対比すると面白いですよね。」


...

「奇跡」の歌会に参加いただきありがとうございました。
次のテーマは6月6日(木)に発表を予定しております。
どうぞよろしくお願いします。

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