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Mo#51 結果発表「愛」

Tanka Place Moでは
新月と満月の日に歌会を更新しています。
今回は「愛」の短歌への投票結果とコメントを
発表いたします。
...

1.
天空を
見上げる六十余の

星に焦がれる
その名はALMA(愛)
すーさん@ヘタレドライブ 2点

猪之丞「カッコいい言い方です。」1点
さゆりん「アルマ望遠鏡のことでしょうか。66台のアンテナを持ち、遠くの星を見つめている望遠鏡に、宇宙への人の眼差しに、愛を感じると思いました。」1点
田中大貴「小学生のころクラスで天体観測をしたのを思い出しました。この歌は大いなる世界へと繋がっている気がする。」
はなもり「星に焦がれるというのは確かに存在する感覚。」
すーさん@ヘタレドライブ「チリのアタカマ砂漠に作られた世界最大の電波望遠鏡、アルマ望遠鏡のことを詠んでみました。66のパラボラアンテナが一斉に動く様は、恋する人を追う瞳のようです。」


2.
愛だった 鴨が橋の下に隠れてそこから出てこない 愛だった?
純 1点

はなもり「面白い構成だと思う。それゆえ初句から結句にかけての流れは推敲の余地がありそう。」1点
猪之丞「カモられたのでしょう。」
田中大貴「ひとり、ふたり、さんにんと、声がきこえてくる。たのしいね。」
純「鴨が泳いでいるとついつい眺めてしまう。」


3.
はんぶんこ大きい方をはいどうぞ 空腹だけど満たされていく
アーイ・アイ 2点

猪之丞「お熱が醒めないうちに召し上がれ。」1点
ゆかり 1点
田中大貴「この歌は愛という言葉をよみこまないで詠われているが、〈はいどうぞ〉は愛どうぞにも聞こえてくる。小さい方をあなたにわたす愛もあるのかな。」
はなもり「分かち合うものと相手がいて「足りない」と「満たされる」を知る。」


4.
愛のうた響き渡れば
口ずさみ心踊らせ夏の終わりに
無名の歌人
あふろひめ 2点

田中大貴「とてもあかるい。そのあかるさにぼくは寄り添いたい。」1点
すーさん@ヘタレドライブ「夏の終わりは寂しいばかりじゃないですよね
得たものも多かったはず。」1点
猪之丞「リズムは良いけれど、曖昧模糊としていませんか?」
はなもり「上の句は歌詞?4句目は心が踊る、でいいかなと。もう少し詩情を加えるなら「心を躍らせる何か」を表現した方が。」
無名の歌人 あふろひめ「突然口ずさんだ倖田來未さんの「愛のうた」
夏の終わりに推しのロックバンドが夏祭りでメインステージを飾ったのと繋がって!
人生初推しだから私は初の愛に生きている☆
今私はしっかり「愛」を所持しているのだ!」


5.
あのそらがとおくのうみとであうとき あいのゆくえにとまどうふうけい
福良 椋(ふくら・むく) 4点

福良 椋(ふくら・むく)「「藍色の愛」ってどんな形なのだろう、と考えていたらこんなん出てきました。」
田中大貴「韻律がすきです。夜、眠れなかったらこの歌をよんでね。」1点
ken「海 空 愛を詠むにはもってこいのスケールの大きな素材ですね。「この」ではなく「あの」とした所も作者の微妙な立ち位置が感じられて深いでがす。
「あいのゆくえ」を「愛の行方」「藍の行方」に重ねている所も上手。ひらがな表現が生きています。」1点
冬不純黄昏 「小さな子に歌で教えるかのような印象を、ひらがなから感じます。」1点
斎川都「出会うときなんて行き着く先なんてないかもしれない」1点
猪之丞「よく読むとよく分からない。」


6.
このブタ!に愛をみつけていけるかなプルドポークを細かくちぎる
ゆかり 4点

田中大貴「このブタ!と言われている気がしてびっくりした。そのなかで進んでいこうとする主体に惹かれます。」1点
シモムラ アキラ「ブタ野郎は愛の言葉」1点
陀弥阿 「自分には無い発想の歌。素晴らしい」1点
はなもり「このブタ!に味わいを感じる。プルドポークのように時間をかけて愛の片鱗を見つけられたらいい。」1点
猪之丞「料理中の話ですね。」
純「プルドポーク食べてみたい。食べたことあるんかな?」


7.
知らぬ間に愛されていた7年に搦めとられる足の親指
斎川都 3点

乙女「親指がなにを暗示しているのか?足の親指に口づけをしている姿が見える。セクシー。」1点
シモムラ アキラ「知らずに愛された7年に業を感じる」1点
陀弥阿 「意味ははっきり解らなかったが、最後まで気になったので1点」1点
猪之丞「適度にエロを感じる。」
田中大貴「百年の愛。すこしずつ、からだに、愛はあふれる。」
純「興味をひく歌。未練がある、ということでしょうか」
斎川都「人間の1番下にあって最も醜い部分すら愛されるようになる」


8.
愛ゆゑに
悲しみ深く
愛ゆゑに
喜び深き
愛ゆゑに生きる
ナッツ マカデミア

猪之丞「大昔の自由詩みたいだけど、文体として中途半端ではないかと。」
田中大貴「〈愛ゆゑに〉を三度繰り返し、〈生きる〉が二度省略されている。」


9.
見返りを求めずグッズは大人買い 推しへの思いは真実の愛
シモムラ アキラ 2点

無名の歌人 あふろひめ「え!?私の心情ですか!?の歌(笑)
あんまりぴったりで驚くレベルで「推しへの愛は活力の元」を感じる私の想いそのもの☆」1点
しゅくるん「推しがいないので推しへの愛がわからないのですが、はて? それは見返りを求めない愛なのですね(*^^*)
なるほど😊」1点
シモムラ アキラ「推し活は無償の愛」
猪之丞「いや、それはエゴじゃ。」
田中大貴「尊い。真実の愛がちかくにあるのは羨ましいです。」
はなもり「上の句で作者の思い(愛)が伝わるので後半は「推し」を修飾するだけでも。」


10.
これが愛?
ごちゃごちゃ考え
悩むより
感じるままに
思うがままに
しゅくるん

しゅくるん「恋に比べて愛の対象は幅広いですね。
いろんな愛に目を向けられる人間になりたい(*´︶`*)」
猪之丞「兎も角、いてまえ打線の4番に決まり。」
田中大貴「考える、感じる、思う。そのバランスが大切だと思いました!」


11.
注ぎすぎる愛は苦しみ
「サボテンに水はそんなにいらないってば」
さゆりん 8点

斎川都「その一方で枯らされそうな誰かがいるの」2点
福良 椋(ふくら・むく)「過剰な愛は常に溢れすぎるのである。」1点
乙女「ごめんよあたしンちのサボテン達。液体肥料も水もたっぷりと。」1点
阿竹亭呆然「主題を始めに掲げ、話し言葉で上手くまとめていて、とても良いと思いました。」1点
猪之丞「注がれたのはエゴだってば。」1点
陀弥阿「初句の一音字余りがハマってるのと結句の"ってば"が効いてる。」1点
無名の歌人 あふろひめ「愛には苦しみが伴うものなのだ・・・
相手に合わない愛は相手を殺してしまうものなのだ。。。
私もサボテンを殺したことがある身だから実感あるよぉ」1点
田中大貴「分かち書きが活きている。「サボテンに水はそんなにいらないってば」はだれの声?」


12.
背なで聴くラジオ懐メロ夢まじり 「愛というのに照れてただけだよ」
ken 2点

すーさん@ヘタレドライブ「ジュリーだ。子供の頃聴いた時にはなんて自分勝手な、冷たい男かと思ったけど。今は不器用すぎて共感できるな。」1点
純「勝手にしやがれ(僕にとっては稲葉浩志のカバーの方が馴染みあるんですが)の声が短歌の形にはまることで溶解し、「夢まじり」な感触になっているのが面白いです。「ラジオ懐メロ夢まじり」の語感もいいですね」1点
猪之丞「昭和の歌は耳に粘り着きます。」
田中大貴「〈ラジオ懐メロ夢まじり〉は小気味よい。下の句は沢田研二の「勝手にしやがれ」から引用されている。聴いてみましょう。」


13.
蟷螂の子も鎌を上げ威嚇する秋風吹いて博愛さらり
南さよ 4点

南さよ「博愛に絞って焦点を合わせてみました。"さらり"に込めた思いはハテさて?」
ナッツ マカデミア  2点
阿竹亭呆然「蟷螂の子の生態を詠みながら、博愛でまとめたところが単なる愛情の愛ではなく、上手く兼題を詠っていると思う。」1点
はなもり「描写が面白いのと、「博愛さらり」の意味はちょっと分からないのに響きがとても良かった。」1点
猪之丞「猛暑は何時まで続くのだろう?」
田中大貴「声に出してよむと連続するkの音につながるhの音が印象的だ。〈秋風吹いて〉がいいですね。」
純「蟷螂カマキリの子が鎌を上げてる光景が可愛らしいのと、「博愛さらり」の締めがめちゃくちゃいいですね」


14.
愛という難題を解く夜更けまでロータリーには星が流れる
はなもり 3点

ナッツ マカデミア  1点
ken「星さえも時と共に流れるのに夜更けまでそこに佇む姿が切なさを醸し出しています。悩める者とってはいつの夜も天動説か?」1点
すーさん@ヘタレドライブ「車中にてもの想いにふけっているうち夜もふけてということでしょうか?
気づくと目の端をひと筋の流星が。はっ、もうこんな時間かなんてね。」1点
猪之丞「お月見の夜は歩道が熱かった。」
田中大貴「長い時間がかかったのだろう。ぼくにとってはその数多の星々が答えでした。」
はなもり「人々の行き交う場所が好きです。それぞれにドラマがあると感じられるから。」


15.
不可視光線に分類されているために人には愛は見えず、感じる
冬不純黄昏 4点

福良 椋(ふくら・むく)「見えない愛の行き先は。」1点
ken「下2句の理由としての詞が「不可視光線」と言う例えが面白いと思いました。」1点
さゆりん「不可視光線という言葉を用いて愛を感じるものだと詠まれている、表現に関心を持ちました。」1点
ゆかり 1点
猪之丞「「見て見て!あれが愛だよ!」ってハッキリと見えたら重いだろうな。」
田中大貴「〈不可視/光線に/分類されて/いるために/人には愛は/見えず、感じる〉と読みました。初句のまえにどうやらひとつ句があるような、そしてそれが〈不可視〉なのだ。この作者にはみえないものをみえるようにする力がある。」
冬不純黄昏「ある漫画で、冷徹な登場人物が朝日を見た時、自分は家族や仲間から愛を受けていたのだと気づくシーンがあります。もし太陽からも愛という光が出ているのなら、愛は柔らかめの紫外線のようなものかもしないなと思いました。目には見えないですから。」


16.
愛を知らないので愛が燃えないしにいにのゆびはしろくつめたい
田中大貴 4点

純「なんか不可思議な感じがあり、とてもよいなと思いました。上手く言えないですが、この歌にはオーラを感じます」2点
乙女「兄(にいに)という言葉がセクシー。禁断の近親愛が見える。」1点
ゆかり 1点
猪之丞「「兄にいにのゆびはしろくつめたい」う~ん、死んでしまったとも読めるけれど、良く分からない。」
田中大貴「振り返ってみると、この歌で在り方がかわるんじゃないかな。燃えるほどに愛を知りたいの。」


17.
——愛です。と、澄ました顔でエゴが言う。それが怒りを増幅するのだ。
猪之丞 2点

猪之丞「世俗には、愛なのか恋なのかエゴなのか良く分からないものが混在していて、気が付かないうちに振り回されている事も屡々あります。無意識にこそ無限の愛があると信じていますが、改めて愛とは何か?これは究極のお題かもしれません。」
シモムラ アキラ「TVが簡単に口にする愛はほとんどがエゴ」1点
無名の歌人 あふろひめ「愛には怒りも伴うものなのだ・・・
愛の中には実に多くの感情が入り乱れるものなのだ。。。
ちょっとimageしたら笑っちゃったのだが!
伝わっちゃうんだなぁぁ、エゴの気持ちは!」1点
田中大貴「怒りは力。その力をわたしたちは正しくつかえませんか。」


18.
憤怒の形相で弓を番える愛染明王 その眼差しに悲しさを観る
阿竹亭呆然 2点

福良 椋(ふくら・むく)「愛には厳しさも必要。」1点
さゆりん「悪を射る仏様の表情を通して、善と悪、愛と憎とは何かを感じている様子が伝わりました。」1点
猪之丞「あの形相は煩悩の変換装置とのことです。」
田中大貴「上の句は〈憤怒の形相で/弓を番える/愛染明王〉と読みました。〈観る〉に一点、集中して詠まれている。」
純「思わず顔に悲しみを探してしまう。。」
阿竹亭呆然「口語自由律短歌。」


19.
愛媛から愛知までなる遠距離の二人の愛は愛に満ちたる
陀弥阿 5点

陀弥阿「2人の中には愛だらけ」
冬不純黄昏「「愛」の字が入った二県から始まるコミカルさと、ダイレクトに詠まれる二人の間にある満ちたりた「愛」の、ギャップがとても楽しいです。また綺麗に五七五七七になっていて音に出して読みやすいです。」2点
しゅくるん「“愛”がいっぱいですね(*^^*)」2点
阿竹亭呆然「兼題の愛を、地名で使い、下句で愛を繰り返していて面白く出来たと思う」1点
猪之丞「飛行機なら一時間です。」
田中大貴「いいですね。愛媛と愛知は500キロメートルを越えるそう。〈二人の愛は愛に満ちたる〉はよく考えてみると不思議だな。」
無名の歌人 あふろひめ「あぁ。安心の心温まる愛の歌。Cute!
本当は私の好きNO.1短歌なんだけどあえて今回はmessageのみで失礼します」


20.
おもかげの京都一乗寺下り松 市女笠もつお通さんゐて
乙女

乙女「正直一乗寺下り松と市女笠を持つお通さんで清らかな純愛が見えると思いました。現代のギトギトとした愛とは違う美しいものが見えて、お通さんのたたずまいと武蔵の不器用な生き方は永遠の憧れでした。

春昼の爛れのなかに二人ゐて世界は今し滅ぶを許す

現代のつまんない愛を詠うならこれだなあ」
猪之丞「お風呂に入らない人であっても気にしなかったのか。」
田中大貴「どういう心情なの?きっと、夢心地なのかな。」



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「愛」の歌会に参加いただきありがとうございました。
次のテーマは10月17日(木)に発表を予定しております。
どうぞよろしくお願いします。

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