コーヒーについて語ろうか。 その1
はじめに
「コーヒーは何のために飲みますか?」と聞かれると、「目を覚ますため」、「健康のため」、「集中するため」など様々な種類の回答が得られるだろう。では「コーヒーってどんな味?」と聞くとどうか。十中八九「苦い」と回答が得られるだろう。
コーヒーの効能としては、「覚醒作用」「利尿作用」「抗がん作用」が成分的にはっきりわかっており、日常的に3〜4杯飲む人はそうでない人と比べて〜などの効能はよく聞くことだろう。では、味についてはどうだろうか。
我々が感じる苦味成分のほとんどは元々コーヒー豆に含まれていない成分であることをご存知だろうか。酸味は低品質であるからと勘違いしていないだろうか。そして、ブラックコーヒーを飲んで「甘い」と感想を覚える人もたまにいるが、コーヒーの成分に「甘味成分」に該当する成分を含んでいることが研究で証明されていないことをご存知だろうか。
コーヒーというものは日常生活では身近な存在にも関わらず、いざ向き合ってみると、意外にわからないことだらけであることにハッとしていただけたなら、このnoteの7割は伝わったと言えよう(だからと言ってブラウザバックしてはいけませんよ)。
今回のnoteはコーヒーのことをより深く知り、あなたのフードリテラシーの一助になるようにつらつら書かせていただきました。先日の投稿した『コーヒーマシンの選び方』で述べられなかったのコーヒーの知識補完としての立場のnoteですが、コーヒーの基本的なところから現代のコーヒーの評価方法、コーヒーの今後についての持論など盛り込ませていただきましたので、最後まで目を通していただければ幸いです。
コーヒーが飲食用として認知されたきっかけ
そもそもコーヒーの原料は豆ではなく、種子である。
もっと言うと、アカネ科のコフィア目のコーヒーノキから収穫される果実から取れる種子です。スイカの種のように普通に食べても美味しくないため、かつては飲食用としての認知度はありませんでした。コーヒーは飲食用として認知されるようになったきっかけは諸説ありまして、ここでは有力な2つを紹介します。
1つは修道院の話です。ある修道院では徹夜当たり前なパワフルな僧侶がたくさんいるという話を聞いて秘訣を探ったら、コーヒーの種子を食べていたという話です。もう1つは羊飼いのカルディが謎にハイテンションな羊をみて不思議に思い探ってみたらコーヒーの実を食べていたという話です。後者の「カルディ」はあの女性店員しか店頭スタッフをしてはいけないことで有名な『KALDY』の店名の由来となったそうです。
余談ですが、『ドトール』の由来はブラジルの「博士(Doctor)通り」から、スタバはメルヴィルの著書『白鯨』が由来で『エクセルシオールカフェ』は「より良く」のラテン語が由来です。さて、スタバの人気にあやかって生まれた『エクセルシオールカフェ』は「何に対してより良く」を求めたのでしょうかね。
コーヒー豆の種類について
世界で流通しているコーヒー豆は大きく二種類に分類されます。1つはロブスタ種、もう1つはアラビカ種です。一般的に前者は工業用、後者は嗜好品という認識で問題ありません。他にも希少品種としてゲイシャなどがあります(芸者が由来ではなく、ゲイシャ村という地名が由来です)。
ロブスタ種は害虫や気候などの障害に強く、生産コストが低く比較的育てやすいことからベトナム等で生産がよく行われています。一般的に風味が立たないことから、缶コーヒーやインスタントコーヒーなど工業製品への加工が多く、ハンドドリップのような豆としてはあまり流通しておりません。どちらかと言うと、みなさんが想像している「苦いだけでいい」を求めている人、カフェイン入っていればそれでいいみたいな場所で好まれます。ちなみに、カフェイン含有量はアラビカ種より多いです。
一方で、アラビカ種は害虫や気候などの障害に弱く、気温が安定している標高が比較的高い場所で育てられます。産地の気候によって様々な風味を持ち合わせる品種であり、それを生かした加工や、ハンドドリップなど個性を味わえる飲まれかたをされています。みなさんがよく耳にするエメマン、ブラジル、ハワイコナはだいたいアラビカ種です。
マクドナルドが自身のコーヒーについて、「アラビカ種100%」と謳っていますが、これは、「工業用の安物を使用していないこだわりのコーヒーですよ」ということを示しているのです。まあ、粗悪なアラビカ種もないわけではないのですが、●●100%にはそそられますよね。
近年はスペシャリティコーヒーという言葉が認知されるようになりました。詳しくはどこかで述べますが、「高品質なコーヒー」と考えて差し支えありません。
実は、世界的に見て日本はコーヒーに対して高級嗜好をもつ国民です。日本のカフェチェーンで流通しているコーヒーのほとんどはアラビカ種であり、アラビカ100%と謳うのも日本と韓国くらいです。ブルーマウンテンは日本では最高級品種として名高いですが、他の国のブルマン流通量は日本以下です。
欧米人にとって、コーヒーは文化として体に刻み込まれています。1日3杯エスプレッソを飲む欧米人にとってはそこにコストをかけたがるはずがなく、味にうるさいとよく言うものの、日本より低品質の豆でロブスタ種がかなり入った安価なエスプレッソを飲んでいるのです。1日3杯を30日続ければ、1杯200円で18000円も出費です。安いに越したことはないでしょう。
あまり信じられない方もいると思いますので、イタリアのメーカー「デロンギ」のコーヒー豆販売サイトを見てみましょう。⇨こちら
あのトップブランドのデロンギのラインナップをみても、アラビカ種100%のラインナップがマイノリティであることから、品質より生活の一部にすることに主軸を置いていることがわかります。ちなみに、スタバとコメダとドトールは。
あ、別にアラビカ100%が悪いと言っているわけではありません。文化に根ざしたヨーロッパの飲み方と戦後に本格的に飲まれるようになった日本では違いがあるということです。
スターバックスはアメリカだから〜という意見もあるかもしれませんが、スタバが誕生する前は粗悪なコーヒーがアメリカ全土で飲まれていたと言います。アメリカンコーヒーというものがありますが、コメダのそれは普通のコーヒーをお湯で割ったものであり、また、浅煎りのコーヒー豆から抽出したものを呼んだりします。そのような不名誉な名を残すほどにアメリカのコーヒーは薄く美味しくなかったのです。そのため、スタバの誕生はアメリカにとってコーヒーの価値観を変化させる一大ムーブメントのきっかけとなりました。
コメダの話をちょっとしてしまったので、もう少しお話しましょう。
コメダのコーヒーは全店舗の味のクオリティの確保を優先としており、ほぼ全てのお店で抽出をしていません。HPに「店舗で抽出している」とは書いておりませんので詐欺でもなんでもありません。全て工場で生成され、液体の状態で店舗にやってきます。つまり、ホットコーヒーは鍋で温めて注いで提供しています。最近一部のコーヒーをお店で淹れるようになりましたが、簡易ドリッパー形式です。
コメダの商品のおすすめはバンホーテンのココアを使ったアイスココアですかね。あと裏メニューとして、ソフトクリームはホイップに変更可能です(ちなみにホイップはお店に寄って植物性と動物性があるとか)。個人的に、アイスミルクコーヒーにフレッシュを注ぐと酪農カフェオレに限りなく近くなるのでおすすめです。
今回はここまで。次回はコーヒーの味を決定づける「精錬」と「焙煎」そして近年のコーヒームーブなどについて話していきましょう。今回の内容良かったよって方、スキとフォローいただけると励みになります。
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