はじめました

文章を書きたい。

目も当てられないほどのブスではないけれど目を引くほどの美人ではない。人前に出ることができないほどのデブではないけれど自信を持って颯爽と人前を歩くことができるほど痩せてはいない。人の気持ちが分からないほどのサイコパスではないけれど性格が良い訳では決してない。

全てにおいて中途半端な女にも中途半端なりに小さなプライドは備わっていて、日々この小さなプライドに生きづらさを感じて生きている。

運動はからきしダメだし勉強は好きじゃない。音楽は小さい頃から上京するまでずっとやっていたけれど、それこそ「君は下手ではないけれど上手でもないね。才能がない。努力しなさい」なんて言われたレベルだ。

それでも、唯一、人から褒められる機会が多かったのは、文章を書いたときだった気がする。

文章を書くことは不思議と苦にはならない。
筆が乗るまで時間がかかる、なんていまどき林真理子くらいしか許されないようなことを言っては鼻で笑われてきたけれど、それでも書き始めてしまえばきちんと最後までひと通り書くことができたし、何度か賞を頂いては調子に乗った。

だからこそ「文章を書く練習」というものをしたことがない。このことがずっと今の今まで私の唯一の特技に暗く分厚い雲をかけていて、今にも降り出しそうに空気が湿っぽい。

ぐるぐると色々なことを考えてはTwitterに吐き出すけれど、140文字じゃ到底足りなくて、だからこそひとり深夜のワンルームで缶チューハイをあおりながら煙草が吸いたいな、なんて寂しくなる。

「それならブログ始めりゃいいじゃん」

テレビ電話越しにおもちゃではしゃぐ犬のまあるい頭を見つめながら母を相手にひとりマイメロタイムを発動させていると、母が面倒くさそうにひとことそう言った。

「いやでもそういうの続きそうにないし」
「でも毎日呟くのは続いてるんでしょ」

それに先生、続くか続かないかじゃなくて続けるんですよ。コラムの締切いい加減守ってくださいよ。

母が始めた突然の「担当編集高塚君と作家谷崎メロ」の茶番に付き合いつつも、妙に納得をした今、私はこの文章を書いている。

長くなりましたが、要するに適当なブログを始めましたと言うことです。こちらも変わらず全てがフィクション。

暇なときのお供にでもどうぞ。


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