ただの谷崎潤一郎ファン。

ただ、谷崎潤一郎が好きなだけ。

ただの谷崎潤一郎ファン。

ただ、谷崎潤一郎が好きなだけ。

最近の記事

谷崎潤一郎「磯田多佳女のこと」

思わず息を呑んだ思い出を語ろう。 谷崎のエッセイ「磯田多佳女のこと」を 読んだときの話である。 そもそも磯田多佳は実在の人物であり、 明治時代の芸妓である。 芸妓をやめたあとは京都市の四条通に 九雲堂という陶器屋を開いたそうな。 私には作中で取り上げられている磯田多佳の俳句が なぜだろう、心に突き刺さる。 とくに印象に残ったものを三句挙げてみる。 紫陽花や見る見る変わる爪の色 だまさるゝ身はおもしろし宵の春 死ぬといふ女のくせやほとゝきす とくに 「死ぬといふ女の

    • 谷崎潤一郎「法成寺物語」

      私は谷崎の「歴史モノ」は 正直あまり得意ではない。 目は通すが、自身の教養のなさも相まって 読みながら眠くなることもしばしある。 とはいえ、最初から最後まで眠い話だけではなく、 ポツポツと面白い場面のある話や 途中から覚醒したかのように読みふける話もある。 今回触れる戯曲(演劇の台本)の「法成寺物語」なんかは、 読者側が途中から覚醒するタイプの作品である。 書き出しとオチのギャップが激しい。 「法成寺物語」は、法成寺の工事の場面から始まる。 この工事現場の会話や描写が私

      • 谷崎潤一郎「赤い屋根」

        私には恥ずかしながら 不倫や浮気、略奪愛に憧れていた時代がある。 当時は恋人いない歴=年齢であり、かなり夢みがちでもあった (ちなみに今はそういった「道ならぬ恋」には一切憧れない)。 その当時、わりと好きだった話のひとつに 谷崎潤一郎の「赤い屋根」が挙げられる。 「赤い屋根」が好きだった理由は主に2点ある。 1つめは、何股もかける主人公の宮島繭子について 「多くの男にモテてて羨ましい」「恋多き女は素晴らしい」 と、当時はいい印象を抱いていたから。 2つめは、 宝塚沿

        • 谷崎潤一郎「刺青」と教員時代の黒歴史

          このnoteの2本目の記事を書こうと 谷崎潤一郎の「刺青」の本文を読んだが、 なかなか書くことが浮かばない。 私にとって「刺青」はつかめない作品のひとつである。 「刺青」が大好きな方、「刺青」を大絶賛したい方には 非常に申し訳ない。 その代わり、といったらなんだが、 「若気の至り」「黒歴史」と名付けて 永遠に葬り去りたい過去についてあえて晒してみる。 私には「全体の奉仕者」という言葉を知らないで 生意気にも公立高校の教壇に立っていた時代がある。 当時、「今日の谷崎潤一

        谷崎潤一郎「磯田多佳女のこと」

          谷崎潤一郎「おしゃべり」

          『谷崎潤一郎讀本』という本をパラパラとめくっていると 「なんだかコレ面白そうだぞ」「ぜひとも読んでみたい」 と思った作品がある。 それがこの「おしゃべり」である。 この「おしゃべり」はなんといっても 話の筋が面白い。 『谷崎潤一郎讀本』に掲載されていたあらすじを下に引用する。 「欧米人はまわりにほかの人がいても平気で人妻を口説く。 どこまで真剣なのか冗談なのかわからない。 大晦日の夜ホテルに泊まったとき、 家族同士でつきあっているアレンが部屋まで送ってきて、 キスして

          谷崎潤一郎「おしゃべり」