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愛とキモさのネット・ノスタルジー
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URLを入力すると昔のWEBを復元して見れるサイトというのがある。
https://archive.org/web/
ここでふと思い立ち、20年前に我が家に初めてインターネットがやってきた当時見ていたサイトのログを見てみた。
あまりのノスタルジーに震える。
よく出入りしていたのはガメラとか特撮の個人サイトで、皆さん怪獣とか女の子の絵をアップしてた。
自分のイラストとかサイト作りとかの原点はここにある。
特にコメントしたりはしなかったけど、影響を受けた絵描きさんはたくさんいた。
今でこそ私にはセクシーな女性の絵ばかり描いてるイメージがあるだろうけど、この頃見てたサイトがなければ女性の絵を描くこと自体なかっただろう。
つまり、今のメインビジュアルも先日の展示もなかったわけだ。
そう考えると、自分がネットにあげてる作品も、知らないうちにどこかの誰かの人生に影響を与えているかもしれない。
その頃のサイトはもうどこも残ってない、当時、自分が作ったサイトも消えてる。
中にはやりとりしてた人もいたけど、みんな今はどこで何をしているのか、生きているか死んでいるかもわからない。
まさに「あなたは今どこで何をしていますか? この空の続く場所にいますか?」という気持ちになる。
好きな映画は何かって話をよくするけど、単におもしろいとか出来がいいとかじゃなく、観たタイミングや自分の精神状態とかも重要だと思う。
自分のナンバー1映画は「ガメラ3」だけど、これはゴジラ・ガメラに育てられエヴァンゲリオンにはまりオカルトブームを経た後に中学2年という多感な年頃に見たからというのが大きい。
それにプラスして、ネットがやってきた時期と重なってたのも重要だった。
小説「天使の囀り」の中でインターネットを蜘蛛の巣に例えていたけど、私も初めて触れる電脳世界の蜘蛛の糸に捕らえられてしまった。
School Days.もう一度君に来てほしい。夢がかなうあの教室へ……
ガメラやギロンや女の子のサイトから、リンクをたどってUMAやイラストのサイトを延々と巡り続けて。
今とはまた違う独特の雰囲気を持ったネットのコミュニティ。その仲間に入りたくて、絵を描いたり、サイト作りを勉強したりした。この時期がなければネットで仕事をすることもなかったから、タニヤマ・キネマすら存在しなかった。
※当時、描いてた絵
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紆余曲折ありながらも未だにネットでガメラや怪獣について語っているとは思っていなかったけど。
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これだけじゃなく、この映画があったから、役者を目指したり、女性の絵を描くようになったり、巡り巡ってガイナックスに入ったりしたんだよなぁ。
さてさて。今もそうかもしれないけど、当時のオタクというものは自分の好きなキャラクターに好きなかっこうさせたファンアートを描いたりしてた。
当時、10代のワイ少年は銃や「バトル・ロワイアル」にもはまっていて、比良坂綾奈はじめとしたガメラ等のキャラクターが銃持ったり軍服着てるイラストを描いていた。
そんな中、なんと主演、前田愛さんで「バトル・ロワイアル2」の制作が決まり、公式で軍服で銃を構えた綾奈(違うw)の姿が。歓喜の声を上げる。
※「前田愛inバトル・ロワイアル2」より
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思い出すとあまりにもキモ過ぎる。まさにファインディング・キモ。
ただ、そういうキモさに満ちてる頃の方が創作意欲と行動力に溢れていた気がする。
これでも歳と共にだいぶ丸くなったけど、創作面で言うと攻撃性やキモさが強いほど良いものが作れるから困る。
スイッチで切り替えれるようになれたら。
当時は、このキモい激情を“パッション”と呼んでいた。
パッション……そう表現すると何やら良い感情のような気がする。
調べてみると、キリストの受難という意味らしい。
これは神聖な感情……っ!
最近はパッションが足りない、ああいうキモい激情が足りない。
このままではいかんと思って、ちょっとあの頃の精神状態を取り戻そうと思って当時のようなファンアートを描いてみた。
「怨念女子」
10代の自分にとってのアイドル、「ガメラ3」の比良坂綾奈と「リング」の山村貞子。
山村貞子は初代テレビドラマ版。
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何で全然違う作品の二人がセット? そういうことはどうでもいいんだよ!その意味わからなさが大事なんだよ!
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おかげでパッションを取り戻し良いものが撮れた、気がする。
※着色完成
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愛とキモさに満ちていたネット・ノスタルジーの日々。それから約10年後、好きな女性のタイプは山村貞子と言い比良坂綾奈に似た目付きをした、黒髪の乙女に出会うのは、また別の話……。
もう一度、できるなら、ここに戻ってあの姿を……
※ブログから追記
最近、自分が大昔に作った作品に人生に影響を受けたというお言葉を頂き、とても嬉しい。
一人でもそういう人がいたなら、やってて意味があったと思える。
自分がかつて、ネット上の色んなサイトや作品に影響を受けていた、あの頃の自分みたいな、名も知らぬ誰かに届けばいいなと思い、自分の作品や思想や性癖を吐き出し続けています。
SNS時代、顔も知らぬ者同士が、知らない内に、発言や作品で影響を与え合うということは、あの頃よりももっともっと多いでしょうね。
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