日本共産党系のチラシ向けの映画コラム連載開始「キューポラのある街」
日本共産党の後援会向けのチラシで映画コラムを書き始めることになりました。不定期連載になる予定です。党創立100年の年にこういう機会をいただき、本当に光栄です。
ネットに掲載する許可を得たので、noteとFacebookに書き写していきます。
字数800字と割とたっぷりなので、複数作品を串刺しのように書いたり、一人の映画監督に絞るという手もありましたが、一作品をたっぷり書くことにしました。ネットと違って必ずしも映画に興味がある人が読むわけではないので、書き方は悩ましいです。ちなみに、記憶に頼らず再見して書いてます。
趣旨は以下の通り。それでは以下に転載します。
「社会を照らした映画に、いま学ぶこと」
「キューポラのある街」(浦山桐郎監督)
映画の中で社会や政治的なもののある側面を描いた映画を取り上げたいと思います。何の映画にするか悩みましたが、見終わった後に幸福感に包まれるこの映画にしました。それと実は、私は吉永小百合演じるジュンがラスト近くで言うセリフを履歴書に書いて、内定をもらったことがある特別な映画です。
鋳物工場が並ぶ「中小企業の町」埼玉県川口市が舞台です。イタズラな子ども達が「所得倍増」と言う時代です。新しい命が産まれるところから映画は始まります。
物語を順に並べるように書いても新味が無いので、注目すべき点や学ぶべき点について書きたいと思います。この映画は今見ても特に学ぶべきことの多い映画だと思います。
まずこの映画には労働組合の存在が背景にあります。頑固な職人気質のジュンの父は組合を嫌悪しています。しかし、労働組合の存在がラストに意味を持ってきます。父が職人の意地を張ると、ジュンが「職業に上下は無いんだよ」と言う場面は白眉のひとつです。
そして、朝鮮半島との関係を考えることもできます。ジュンは朝鮮の友達と仲良くしています。朝鮮に対する差別意識が見え隠れしている事もわかります。父が「朝鮮なんかと」みたいなことを言うと、ジュンが「朝鮮の子と付き合って何が悪いの」と言い返す場面があります。なお、この朝鮮の友達との関係が物語の大きな要素の一つになっています。北朝鮮帰国事業が描かれているのです。この描き方には今見ると反応が分かれるかもしれません。もし引っかかるようなら、2012年の「かぞくのくに」(ヤン・ヨンヒ監督)あたりを一緒に見ると、点と線で繋がるかもしれません。貧困と労働と教育、パチンコ屋で内緒でバイトしながら勉強するジュンは進学できるのか。是非見てみてください。
1962年キネマ旬報ベストテン第2位。
以上です。次回は外国映画を取り上げようかなと思います。
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