見出し画像

本「仕事に縛られない生き方」|自分を客観視する

テルマエ・ロマエでおなじみのヤマザキマリさんの本を読んだ.

絵画を勉強するために,ヨーロッパに飛んだり,日銭を稼ぐために露天商したり似顔絵書いたり,テレビのリポーターをしたら大人気になったり,夫婦喧嘩が理由でキューバに飛んだりとめちゃくちゃ刺激的な人生を送られているのにも関わらず,文章はどこか淡々としていて,達観されているような雰囲気だった.文中でも,人生の大事な場面において自身を客観視することを心がけているようなので,それが文体にも出ているのかも.自分自身を改めて客観的に見て落ち着いて考える機会を与えてくれた,とってもとってもいい本だった.

刺さった文章

若くて経験値が低い頃は,どうしたって過剰なし理想を描きがちだと思うんです.失敗すれば,失敗しただけ,なんだ.自分はやろうと思えば何でもできるぐらいに思っていたけど,そういうわけにはいかないんだなってことや,あいつあんなことで失敗してバカなやつだと思っていたけど,いやいや,うっかりすると自分も同じことになっていたかもしれないってことが,ごく当たり前のこととして腑に落ちるようになる.要するに,失敗して何が一番良かったって,単に自分自身の経験値が上がるというだけではなくて,痛い思いをした分,自分以外の人間のことを簡単に見くびったり馬鹿にしたりはできなくなるって事だと思うんですよ.

仕事に縛られない生き方-p209

失敗した人をバカにする人は,成功し続けている人ではなくて,挑戦をしたことがない人だろう.真に成功している人ほど,挑戦することの尊さとその失敗の苦しさが身にしみているからだ.仮に,挑戦して失敗したことがない人だとしても,挑戦することの苦しさは必ず体感しているからこそ,同じ境遇の人を貶めたりはしない.逆に言えば,自分の身の丈をちょっと超えた挑戦を繰り返すことで,自分の視野を広げて人の行いに対してもフラットな価値観でおおらかに受け入れることができるのだろう.

人間というものは,自分の価値観が全てだと思い込んでいるうちは,それ以外の価値観は間違っていると思うから,とにかく偉そうになり,下手をすると自分が高慢になっていることさえ気づきません.若く未熟な人間ほど,根拠のない自信があり,どこまでも傲慢になれるのはそういうわけです.

仕事に縛られない生き方-p210

成功体験が強ければ強いほど,自分のやり方に対する自信はますます高まっていく.受験勉強のやり方,就活の立ち回り方,出世のための仕事術 etc..
自分にあったやり方を極めていくことそれ自体は正しいが,その方法のみが正解であると信じ込むのは非常に危険だ.自分が成功した理由は,「たまたま」そのやり方があっていただけで,他者にとってそうではないかもしれないという当たり前の事実をいつの間にか忘れてて,他者のやり方・価値観を無意識に否定する.自分と相反する他者のやり方・価値観を受け入れることは決して負けでもなんでもないのに.自分のやってきたことにしがみついてしまうのは,価値観の狭さゆえなのかもしれない.「自分と違う価値観を受け入れる」言葉で言うのは簡単だけど,真に実現するのがこれほど難しいことはないかも.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?