避暑地を探してワーケーション(準備)
令和6年3月2日のこと
朝、何の気なしに新聞をめくっていると、真ん中らへんに、北海道旅行のツアー商品の広告が挟まっているのを発見した。
釧路~網走5泊6日 夏の長期滞在プラン
毎年、年年歳歳夏の暑さが過酷さを増す中、外気温とともに体温が上がり、簡単に熱中症になる私にとって、「避暑」は夏場の業務にとって深刻な課題だった。
ひょっとして、1週間でも釧路だの網走だのにいれば、夜は快眠、日中も涼しく快適に過ごせるのではないか。だって最近はwebで期日も出られるし。
しかし、そのプランの値段がすさまじくて、一人25万円くらいしたと思う。いくらなんでも、夫婦で50万円かけてすることじゃないよな…
と思いながら夫に広告を見せて、「こういうところで避暑しながらさぁ、温泉つかりながら執筆とか起案とかできたら、夏場楽かなぁ。でも値段がなぁ」などと話していた。
すると、「全部自分で組んだら半額くらいになるんちゃう?」と言いながら、夫はサクサクとホテルやら飛行機やらを調べ始めた。
夫「あ、飛行機、もうないで。」
フーン
夫「帰りの飛行機は9月4日、行きは…8月29日。」
え、それ何泊よ。長くない?
夫「あ、あと2席しかない!どうする!?どうする!?」
え、あ、そ、それなら取
夫「取った」
・・・私、まだ返事してなかった気がするが。
というわけで、晩夏の道東ワーケーションツアーが決まった。
秒でな!
令和6年8月のお盆過ぎ
手帳に書いた「8月29日釧路空港」が迫ってくる。
あの時、何の気なしに、言われるがまま飛行機を取ったものの、指折り数えると6泊7日。どこの新婚旅行やねん。私の新婚旅行、何泊だっけ? スイス~ドイツへ行くのと同じ期間、自宅から離れて釧路~網走って、私は大丈夫なんだろうか。
健康な人には信じられないだろうが、私は旅行へ行くときはつい、行先の医療体制を調べては、「副腎が壊れた時に何とかしてもらえるだろうか」と心配になってしまう。1泊2日でも怖いのに、なんで6泊も取ってしまったのか、と、お盆を過ぎたあたりから不安で仕方がなくなってきた。
一方で、そうは言っても楽しみな気持ちもあり、1週間抜けるので詰めまくった仕事もあり、心身ともにぐちゃぐちゃだった。
いろんな意味で天気が悪すぎる
台風10号”サンサン”
ところが、出発の1週間前、台風10号が南の海上に発生する。
当初、紀伊半島あたりを8月27日ころに直撃する予報円だったので、「これは26日から低気圧で寝込んでそのまま出発コースかな」と、気が気じゃない気持ちに拍車がかかっていた。
ところが、いつまでたっても”サンサン”はやってこない。
日に日に予報円の到着日が遅れていく。
ついに8月29日でもまだ近畿へ届かない予報円になり、何なら「あれ、帰ってくるときに巻き込まれる?」くらいの鈍行台風だった。
それでも、関西空港へ行くのに神戸空港から海路(ベイシャトル)を選択したところ、チケット売り場で「本日は大きく揺れます」と宣言され、実際出発後15分を過ぎたところで上へ下へと波にもまれ、飛行機に乗る前から船酔いになるところだった(ならなくてよかった)。もうベイシャトルは使わないぞ・・・
釧路の天気はよろしくない
さらに、台風10号が生まれる前から、釧路、網走の長期予報がすこぶるよろしくなかった。Yahoo!天気の2週間予報に出始めたころは、「ひょっとして、晴れる日ゼロ!?」くらいのノリだった。あとで気づいたが、このころの道東は秋雨前線が来る時期で、そもそも日照時間が少ない地域であるのに加えてとにかく雨らしい。
そんなこと、3月の段階で知る由もなかったので、テンションだだ下がりだった。ところが、台風10号が近づくにつれて、「ひょっとしてワンチャン台風一過あるか?」と期待させてくれる予報に代わってきた。さすが、山岳地帯の新婚旅行を全行程晴れにした晴男、夫氏。
ちなみに、釧路に上陸する日は「釧路空港視界不良につき、新千歳行き又は関空引き返しの可能性あり」の条件付きフライトになった。しかも、離陸前からCAのアナウンスで、「当機は途中、前線の影響により、揺れます(断言)。上空でベルト着用サインが消灯しない可能性があるので、お手洗いは離陸前にお済ませください。」と言われる始末だった。
釧路上陸後、台風と全然関係ないのにとんでもない暴風雨に見舞われ、1日かけて根室へ行こうと思っていたのに北海道中の電車が止まって行けなくなってしまうなど、それなりに悪天候だった。しかも、行った後も毎日どこで雨が降るか予報がコロコロ変わり、いつ遊んだらいいのかようわからん感じだった。ツアーだったらスケジュール変更できないので、えらいことになっていたはず。
どこで仕事するか
3月に予約をしていた段階では、なんとなく「ホテルで仕事したらいいでしょ」くらいに思っていた。しかしよくよく考えてみると、ホテルってそんなにちゃんとした椅子と机があるわけでなし、しかも夫婦で行くのだから一人は部屋の机から放り出さざるを得ない。
そこで、コワーキングスペースを探してみることにした。
すると、釧路市は、市を挙げて全国からのワーケーションを推奨しているらしく、中心部にいくつかのコワーキングスペースを見つけることができた。
中でも、ここなら裁判所のTeams期日でも、追加料金なしで対応できそうだった。
ちなみに、結果的に、やっぱりホテルで仕事をするのは無理な部屋だったため、「コワーキングスペースで仕事する」という選択が大当たりした。なぜか知らないけど、このコワーキングスペースったら滞在期間中私たち以外に誰も来ない!!
すんごい広くて、追加料金が要らない会議室も複数あり、HDMI対応の大型ディスプレイ完備、ホワイトボード完備、建物1階には釧路ラーメン完備と、至れり尽くせりだった。監視カメラとスマホキー開閉で管理人はいないものの、建物全体が市の公共施設みたいなもので、教育委員会が入っていたり、隣の空間はアリーナだったりと、人気がないわけでもない。
まぁ、経営がやや心配になるが、とにかくすばらしい。
何なら毎日ここで仕事したい。帰りたくない(おい)。
そんな感じで、私史上ほとんど経験したことのない長さの旅行が、不安だらけの中始まった。