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ひきこもりの子に賃貸の家を残すには
60歳近い男性が、同居の高齢親を虐待している、ということで、ケース会議に呼ばれることがありました。虐待事件はある程度の解決を見て、しばらくその件の相談は来ませんでした。
ところが、1年くらいたったころ、「両親が亡くなった」とのことで久しぶりに相談が来ました。なんでも、亡くなった高齢の親が家の賃借人になっており、同居の息子が住み続けたいのだが、家主が「新たな保証人を連れてられないなら出て行ってもらう」と言って聞かないとのこと。しかし、この息子は、まぁ、高齢の親を虐待していたことからもわかるように、若干知的障害が疑われ、さらに就労歴もない、いわゆる「ひきこもり」でした。新たな保証人を連れてきて、と言われても、そんな親族はいません。
この人は、出ていかなければならないのでしょうか。
と、いう相談を、市役所にいる頃に聞きました。
高齢の親と、60代の子どもが同居する「8050世帯」であれば、親が亡くなった瞬間に直面する、よくある問題です。
この点、よく誤解されているのですが、家を借りるときにつけた保証人は、賃借人が亡くなっても基本的には保証人のままです。家主と保証人との間の保証契約は、主債務者である賃借人の死亡によって当然終了する、わけではありません。ところが、この点を誤解した大家が、親が亡くなるや「新しい保証人を連れてこないと追い出す」とまくしたて、支援者が四苦八苦して次の家を探しますが、本来、やらなくていいことなんですよね。
この時は、私は公務員なので60の息子の代理人をするわけにはいかなかったことから、家主に「問い合わせ」、つまり、「なんで保証人を用意しなければならないんですかぁ」「どの法律が根拠なんですか?」「民法だと違いますよね?」などなどの質問攻めにしたのでした。結局、大家としては、「なんかあったときの連絡先が欲しいだけ」ということがわかったので、「連絡先になるだけだから」と近所の知人を「緊急連絡先」と記載して名前を書いてもらってことがおさまったのでした。
さて、つい最近、またまた同じような相談を聞きました。
そこで、私はしたり顔で「それはね・・・」と回答しようとした、のですが、2020年4月に民法が改正したことで、事情が若干変わっていることに気付いたのです。
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