【オンライン結婚式】気楽でとても温かい時間になり、さらなる可能性も感じたので、長所短所を整理します。
5月上旬に、オンラインで結婚式と披露宴をやってみました。
そしたら、主催者・ゲストともに、思いのほか満足度の高いイベントになりまして。端的に言うと、精神・時間・金銭の負担が大幅減で、日常の延長のようなリラックスした、それでいてとても温かな時間になったように感じています。
これ、オンラインツール(今回はZoomを利用)が日進月歩なことを考えても、今後、積極的なひとつの選択肢になっていく気がするんですよ。あと、結婚式以外の、たとえば同窓会とかのイベントにも良さそう。
ということで、概要を簡単に説明したあと、オンラインだから良かったことを整理しながら考察してみます。(関連情報は随時書き足すか、別記事つくるかも。ハウツーとか、具体内容とかも、需要あれば)
※記事タイトルあらためました(5/31)。
(当日のスクショからつくった記念写真。一部さらに加工してます)
0,オンライン結婚式の概要
日時:5月のとある日曜日の午後
場所:Zoomにて(自分たちも自宅からつなぐ)
参加:約120アカウントで、たぶん180人くらい参加
方式:好きな食べ物、飲み物を用意して、各自Zoomをつなぐ。入退場自由の参加無料。
内容:ウェルカムムービーに続いて、友人に牧師をやってもらって挙式したあと、個人プロフィールや馴れ初めムービー見ながら喋る。親への手紙とか、余興的な動画も流して、最後はギターの弾き語り。計約2時間。そのあと2次会は、希望者でブレイクアクト。
準備:友人に運営・進行の協力を頼んで、ムービーを急いでつくって、進行考えて、ぶっつけ本番。
(彼に牧師になってもらい、“森の中”で式を挙げました)
なんだかんだ、笑いあり涙ありで楽しんでもらえたようで良かったです。
まず、「オンラインだからよかったこと」を整理します。
1,人の距離感は意外と近い?
多くのゲストに終わってから言われたのが、「みんなの距離が、むしろ近く感じた」「顔がよく見えた」ということ。新郎新婦が喋ってる時は画面に大写しだし、ギャラリービューならゲストの顔が一斉に見えるし。リアルに大勢呼ぶと大規模会場で物理的距離が生じてしまいますが、オンラインだと逆に「近く感じる」こともあったようです。
(Zoomをテレビで映して。挙式会場より、ある意味で近く感じる?)
2,出席者の近況(家族とか)が画面越しに見える
個人的に、一番嬉しかったのはこれ。多くのゲストが自宅からつないでいて、家族と一緒に見てくれたりしていて。
晩婚気味の私たちは、親になっている友達が多い。数年ぶりに会う友達が赤ちゃん抱えて幸せそうにしていたり、うしろでお子さんがはしゃいでいたりして。もちろん一人で出ている人にも日常があって、画面越しに垣間見える近況報告的なシーンの一つ一つが感慨を深めてくれました。
一緒に見てくれたお子さんや、懐かしい幼馴染の親御さんからの思わぬ祝福が嬉しくて。あと、バーチャル背景でさり気なく祝ってくれたりとかも。
「オンラインは、人と人ではなく空間と空間が出会う」。勤め先(建築設計の会社です)の社長の言葉を、まさに実感する時間でした。
(画面越しに見えるみんなの近況、感慨深かったです)
3,ゲストの負担の大幅軽減
ゲストとしては、周りが騒がしくなればミュートにすれば(してもらえば)良いから、親子参加でも精神的に楽。食物アレルギーや禁忌の心配もない。どこからでも参加でき、前後の時間も自由に使える。家事しながら聞くだけでも良い。多忙なスケジュールをやりくりして、仕事の合間の30分で覗いてくてれたゲストもいました。こんなふうに、各々の状況に合わせた参加の仕方ができるんです。
主催者としても、ゲストの負担(金銭、時間、精神)を軽減できるのはとても大きくて。子育て中、遠方、多忙、な友人が多い状況で、行動を制限するのではなく、「自由に気楽に、よかったら家族も一緒に楽しんでね」というスタンスを取れたので、招待の精神的ハードルが一気に下がりました。
背景には、オンラインの柔軟性があるでしょう。ミュートや画面のオンオフがコントロールできる。会場のキャパシティは実質無限で可変。席次やゲスト同士の関係性に気遣いする必要もない。そう言えば、事前の出欠確認もしてないから、ドタキャンとかという概念もない。新郎と新婦で友人の数が違ってもあまり気にならない。参加人数が増えても、オペレーション難度が多少上がる程度です(事前に確信持てていれば、もっとご招待できたんですが、呼べなかった方、すんません)。
4,チャットによる双方向性
ゲストがチャットを使って、プロフィール紹介とか、いわゆる誓いのキスとか、いろんな場面で茶々入れしてくれました。ちょっとした参加感も得られるようで、楽しんでもらえてよかったです。
このオンラインの特性は「もっと活かせたなぁ」という反省も。ムービーのプロフィールだけじゃくて、公開QA方式(チャットでの質問に新郎新婦が答える)とか、近況報告や祝福メッセージを送る時間をつくるとか、工夫すればおもしろいコンテンツがいろいろできそうです。
あとは、Zoom以外にもいろいろなツールが発展してきているので、全体に参加しながら旧知のグループで交流したりとかも、やりやすくなっていくのかな、と思います。
(結婚誓約のシーン。チャットの「むりやろ!」「あの下宿部屋見てたら無理!」は、宣誓文の「新郎は、床に服を脱ぎ捨てないことを誓います」に対するツッコミです)
5,圧倒的な低コスト
経費は、Zoomの有料アカウントと大規模会議室、アマゾンで買った格安ドレスとティアラ、自分たちの酒とつまみで、2万円程度。手伝ってくれた友人へのお礼を含めても約5万円でした。
低コストだけがオンライン挙式の魅力とは思わないけど、お金かからないのはやっぱり嬉しい。結果的に、ゲストの精神的負担も軽減するし、主催者としても背中を押してもらえて、だからこそ実施決定から5日後の開催に踏み切れたんだと思います。
(配信環境、こんな感じです)
ちなみに、準備を進めていた式場でのイベントは、コロナ理由でも本人都合の扱いとのことで(日程変更なら無料対応する、と、かなりの配慮はしてもらったんですが)。キャンセル料は、僕の感覚としては、「2ヶ月前でもこんなに取られるんだ」という額。リアルな会場を確保して予算的に大きなイベントやるって、個人が負うべきリスクを超えてるような気がしたのも、正直なところです。
6,手作りしやすいし、手作り感を出しやすい
必要な準備のほとんどはコンテンツ。手づくりが容易になります。リアル空間で”自前イベント”を実現しても良いのだけど、会場設営とか装飾とかまで自分たちでやるのはけっこう大変かなぁ、と。
コンテンツができれば、ほとんど自前で用意したことになるので、「手作り感」も感じてもらいやすい。結果として私たちの結婚式は、「自分たちが今、どんな人達に囲まれていて、どんなことができるのか」を、親族に見てもらう良い機会になったようです。
「これだけの時間をつくってくれる友達、一緒に過ごしてくれる友達を、これからも大事にしなさい」。イベントの最終盤で、両家の両親が挨拶代わりに私たちに贈った言葉が、すべてを物語っている気がします。
7,体力的負担の少なさ
実は新婦、妊娠中だったんですよ(開催決めてから5日後に強行したのも、里帰りのスケジュールがあったためです)。
マタニティウェディング、リアルでもありますが、体調のこと考えると自宅配信できるオンラインは楽だったなぁ、と。
発展的に考えれば、病院からの配信とか、海外赴任中で帰りにくい時にむしろ現地の生活を披露しながら挙式するとかも、可能になりますね。
8,記録の容易さ
基本的に画面上ですべてが起こっているので、記録も容易です。Zoomならレコーディング機能を使えば良いし、画面収録という手もあります。
ちなみにZoomのクラウド記録は、「スピーカービュー」と「共有画面」と「ギャラリービュー」をそれぞれ別々で記録するように事前設定できます。平たく言えば、画面で新郎新婦が大写しになっている時間帯の、見ているゲストたちの顔も別々に記録できるということです。終わってから、ゲストがどんな顔をしていたか見るのはきっと楽しいので、事前によく確認しておきましょう(私は、設定ミスってみんなの顔を記録できず、ちょっとだけ心残りなんです)。
(「共有画面で…(中略)それぞれ録画」にチェックを入れる。ちょっと下の方に「保存」ボタンが出てくるので、忘れずに押しましょう)
オンラインメリットまとめ
ここまで挙げてきた要素って、おそらく、それぞれが関係しあっていて。
コスト(金銭、時間、労力、リスク)の低さと柔軟性が、ゲストの負担を軽減し、主催者をプレッシャーから解放する。参加形態の自由度が高く、距離感も意外と近く、結果としてみんなの日常が見えてきて、気楽ながらも温かな時間になったのかな、と。
生き方が多様化しつつ、みんな忙しくなってる現代社会において、この価値はとても大きいのではないかと思います。
裏表としてのデメリット
これらのオンラインの特性は、やりたいことによっては、デメリットにもなり得ます。思いつく限りで整理します。
まず、ハグや握手はできません。諦めポイントです。バージンロードも、ごめんなさい。
次に雰囲気。オンラインの「気楽さ」「柔軟性」は基本的に、「荘厳」「格式」「神聖」「特別感」の対極です。「日常から切り離して、緊張感を共有しながら、人生の節目の時間を過ごす」「特別な時しかできない体験に、みんなをご招待」を求めるなら、やっぱりリアルな式場やチャペル、神社などが良いと思います。
ドレスアップの楽しみも小さくなります。新婦の「お姫様」願望も、ゲストがおしゃれする楽しさも、諦めポイント。
コンテンツは、音や光の演出が制限されます。完全同期が前提となるバンド演奏や、胴上げのような身体性を伴ったアクション、アイテムなどの活用は難しい。手紙朗読の際のBGMも、オーディオ設定うまくやればできるんでしょうが、今回は断念しました。
ゲストにとっては、撮影の楽しみも少なくなります。
あとは、プライベートをあまり見せ合いたくない時は、オンラインは逆にアダになるかも。
将来的には、雰囲気や演出はVRやARが身近になることで、「リアルかオンラインの二者択一」ではなく、「良いとこ取り」ができるようになっていくのかもしれません。
進行中のゲストの会話は、大人数が一堂に会すると、現状のZoomではグループ雑談が成立しにくい。さりとてブレイクアウトしちゃうと、ほかの人とまったく別室で寂しい。Remoなんかをうまく使えばできるのかな(今回は試行時間がなくて断念)。あとは、仲間同士のLINEグループで盛り上がったりはできたので、ツールの併用もありかも。
祝儀や引き出物のやり取りは、諦めちゃったほうが楽でしょう。工夫次第でおもしろくできるのかなぁ。飲食物は、事前発送してみんなで同じもの食べるくらいはやっても良いかも。
さらに加えるなら、通信リスクでしょうか。通信不良でうまく届けられなかったり、参加できなかったり。でも、リアルの移動に伴うリスク(鉄道遅延や台風など)や、高齢の親族の感染リスクよりはずっと小さい気がします。
まとめ
ここまで書いてみて思うのは、オンラインの結婚式って、着飾ったり非日常感出したりに限界ある代わりに、人間そのものを見てもらいやすいのかなぁ、と。
日常の延長、気楽で柔軟、ゆるい双方向性、低コストあたりの特性が、
・所帯持ち、遠方、多忙な友人が多い
・特別感や神聖さよりも、等身大が嬉しい
・できれば、あまりお金を掛けたくない
私たちには、ちょうど良かったんだと思います。
結婚式だけでなくて、久々にあって近況報告する同窓会とか、事情があって移動が難しい人のイベントとか、いろんな可能性ありそうですね。
急な誘いにも関わらず、参加してくれたゲストの方々ありがとうございました。
5日間の準備も含めて、忘れ得ぬ思い出になりました。
(企画・運営メンバーで記念写真。ありがとうございました)
誰かの何かの参考になれば、またもうひとつ嬉しいです。
参加してくれた友人が記事にしてくれていた(ありがとう!)ので、それもシェア!