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「君にはもう新しい世界を作る力がある」の紹介

この物語の中では、聡、鉄平、健、碧(へき)を中心として小学四年生がのびのびと大きくなって行く。小学生が多数、登場するが、どこにでもいる普通の子のように見えるし、少し違うようにも見える。碧は小学一年生の頃から勉強せず、雀の子を育てることに熱中していた。皆は頭が弱い奴だと思いこんでいた。しかし、ときが経つにつれ、皆は人のことを気にしないで生きる碧を羨ましく思うようになった。あるとき、先生が詩を作ったことがある者はいるかと聞いた。碧だけが詩を作ったことがあると言い、生きることが詩を作っていることだと言った。そして、何を信じてよいのか、何のために勉強するのか分からないとも言った。鉄平と聡はこんなことを考えたこともなかったし、碧が何を言っているのか分からなかった。鉄平はすぐに碧のあだ名を天才君にした。天才君に刺激を受けて聡と鉄平は変わった。聡はいつしか自分が新しい世界を作り出す力を持っているのではないかと思い、自分がやりたいことは何かを真剣に考えるようになった。聡は鉄平を唯一無二の親友だと思っていた。鉄平は科学者というあだ名を聡から貰ってその名にふさわしく、直感と科学的な方法に磨きをかけていった。聡、鉄平の仲良し三人組の一人に健がいた。碧は早くから健がとんでもない能力の持ち主だと見抜いていた。健は両親のことを何も知らなかったし、自分が友達にはない超能力を持っていることに徐々に気づき始めていた。あるときおじいちゃんから、健は宇宙人の両親が地球に託した子供と言われた。信じられなかったが、それ以来「自分は一体何者か」という根源的な問題を背負いこんで生きなければならなくなった。もう一人、変わった同級生にノブがいた。ノブは目立たない存在だったが、小学五年生でありながら大学の物理数学を勉強していた。やがて、ノブが聡や鉄平を数学の力の凄さの世界に誘いこんでいった。この四人を中心に皆が広島の山間の小学校で、はしゃいだり、静かに思索にふけったり、何かが足りない気がするのに、それが何か分からず仲間にその疑問をぶっつけてみたりして元気よくどんどん変わっていった。そして生徒に好きなようにやりなさいと言う先生がいて、それを支援するための「のびっこルーム」という教室もあり、生徒は日々の生活の中で、先生の別の顔を発見し、自分たちの知識が曖昧なことに愕然とし、大人が自分たちを対等の相手として語りかけていることに気づき始める。そして家では家族が好きなようにやっていいよと言ってくれる。しかし、自分がやりたいことが何かが分からず堂々巡りする。やがて、健が台風被害を防ぐために何かをしたいと言い始めた。小学五年生に何ができるかと冷笑する者もいたが、聡、鉄平、健、碧、ノブは地球の自然現象を勉強し始め、新しい世界に触れていく。これに触発されて、他の子供たちも自分のやりたいことを発見していく。この物語は子供が四年生から五年生にかけてどんどん変わっていく一年間の日常生活を描写する。この物語を読めば、小学生は「俺は聡か、鉄平か、健か、碧か、古賀か、学か、守男か、それとも彼らの誰とも違う俺なのだろうか?」と思いめぐらすだろう、大人は自分の幼少の頃を懐かしく思い出し、「あの頃、もし碧のように生きていたら、今頃どんな人生を歩んでいるんだろう」と悔いるかもしれない。でも、大事なことは、これからでも遅すぎはしないということです。幾つになっても「君にはもう新しい世界を作る力がある」のです。

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