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「どうして私の言うことは伝わらないのだろう」と思っているあなたへ

 「2・8の法則」というのがあります。随所にあります。
 飲食店の閑散期を言ったもの(2月8月は客が少ない)が有名だと思いますが、動物が好きな方は「アリの巣の中でまじめに働いているのは2割で、8割は怠けている」というお話を知っている方も多いと思います。まじめに働くアリだけ集めて新しい巣を作ると、働くアリだけのスーパーな巣ができるかと思いきや、やっぱりその集団の中でも8割が怠けてしまうことも合わせて知られていると思います。生物行動学の「2・8の法則」です。
 

 インターネット黎明期にも「2・8の法則」がありました。人の交流は主に掲示板で行われていましたが、「掲示板にされる書き込みの8割を、全体の2割の人が行っている」というもの。これは、高度成長期の企業において「2割の人が、会社全体の仕事の8割を行っている(残りの8割の人は2割の人にぶら下がって給料をもらっている)」と言われていたのと同列に語られることも多かったと思います。


 さて、助成金申請書の書き方にも「2・8の法則」があるような気がしています。ここでは、NPOなどボランティアに近いグループ(以下、”NPOなど”、と表記します)が、何らかの活動をしようとしたときに、行政や企業や財団(以下、”財団など”、と表記)からお金を支援していただくための助成金取得をテーマにしています。


 NPOなどが、なにかがやりたい、でもお金が無い、という時に頼りになるのが(クラウドファンディングを別にすれば)行政や企業からの助成金です。10万円程度のものから、大きいのは数百万円のものまであります。そこで、申請書を書いて、お金をもらって、自分たちのやりたいことをやろうとする。


 その時に、申請書に自分たちのやりたいことを10割書きたくなる。お金があったらやりたいことを、情熱を持って訴え、助成金を獲得しようとする。
 ええと、多分落ちます。申請書を見てもいないのに言ってしまいますが、落ちます、その申請。


 助成金を出す財団などは、NPOなどに、NPOなどがやりたいことをさせてあげるためにお金を出しているのではありません。


 財団などにはお金を出すことを通じて、社会でやってもらいたいこと(目的)があり、その提案、実務をNPOなどに任せることで、その目的を実現させようとしているのです。


 だから、助成金申請を行う時には、財団などが行いたいこと、行ってほしいことを(過去の被助成団体や世間的なトピックなどから)読み取り、それに沿って申請書を書く必要があると思います。といって、財団がやってほしいことを10割書き、10割行う必要はないと、私は思っています。8割は、財団などが行ってほしいと思っていることを書き、2割だけ自分たちNPOが行いたいことを入れる。そうすることによって、財団などが実現したい社会課題の解決と、楽しんで活動を行うという、財団などとNPOなどとの幸せな関係ができると思っています。


 2割は自分たちのやりたいことを入れないと、楽しくないし、自分たちの色(独自性)も出ないですしね。
 

 実はこれ、著名な小説家も同じようなことを言っています。8割は読者におもねり、2割で刺すのだ、と。そうしないと、読んでもらえないのだそうですよ。

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谷川勝彦(たにかつ)
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