あたらしい古典を求めて
鷲田清一は「折々のことば」(朝日新聞 2020年10月15日)でイタロルヴィーノの「なぜ古典を読むのか」から「若いときに読んだ本のなかでももっとも重要なものを、人生のある時間に、もう一度読んでみることが大切だ」という一節をひき、古典は「集団や個人の無意識の記憶の襲の内にまでしみ込むことで時代を潜り抜けてきた」からこそ「読む人の経験を分類する枠、価値を測る尺度ともなってきた」とその役割について紹介している。だからその古典のもつ枠や尺度という絶対的、普遍的な基準と、時を経て経験