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マインドフルネスワークショップを開催しました!

こんにちは!株式会社NTTデータのデザイナー集団「Tangity」で、サービスデザイナーをやっていますGoroです。

今回の記事では、先日Tangity Tokyo内部で実施した「マインドフルネスワークショップ」についてご紹介します。

1. なぜこのようなワークショップを開催したのか

先日、デザイン思考のワークショップに参加しました。お題は「コロナ環境下における新規事業を考える」。ブレストセッションで「どんどん飛んだアイディアを出しましょう」の声に押されて提案したのが「コロナ環境下で不安を感じている人たちのためのマインドフルネスワークショップ」。

私としては「賑やかしのためのネタ枠」で提案したつもりでした。しかしその後にディスカッションするとこれがなかなかウケがよろしい。
人間の心の持ちようがどれだけ身体の健康に影響するか。
「楽観主義」がなぜよろしくないか。
などと驚くほどいろいろな話題が展開していきました。

これはワークショップとして成立するんじゃないだろうか?
Tangityが掲げているステートメントの1つに

”Together, we experiment, learn, act and transform.”

というのがあります。積極的に実験し、そこから学んでいこうという姿勢。
今こそこれを実践する時ではなかろうか。こういうのは勢いがあるうちにやらないと永遠に機会は訪れない!
というわけでさっそくTangity Tokyo内に「マインドフルネスワークショップやりまーす」と案内をだしたわけです。

2.ワークショップの工夫

マインドフルネスという言葉を聞いた人は多いと思います。Googleとか名だたる企業でも取り入れられているとかなんとか。しかしその内容についてはあまり知られていません。
そもそも「瞑想」という言葉を耳にすると「なんだかうさんくさい」と感じるかつての私のような人も多いのではないでしょうか。

加えて今回のワークショップはTangity Tokyo内部で行うもの。必然的に出席者には合理的な考え方をする人が多いです。下手なことを言うと一気に引かれてしまいます。そこでワークショップの内容にいくつか工夫をしました。

■最初にスタンスを宣言
ワークショップの冒頭「座禅もお香も特殊な手の組み方もでてきません。瞑想しても空中浮遊はできるようになりません。もしできたとしたら、それはこのワークショップのせいではなく他に原因をあたってください」と宣言します。ついでに「スピリチュアル」とか「ヒーリング」とか「癒し」とか「宗教」、とにかくそういったものとは無縁のワークショップであることを明確にしました。

■科学の裏づけを取り入れる
人間の意識というのは主観的なものです。それゆえマインドフルネスも「主観的なものであり、客観的な議論の俎上には載らない」という印象を持たれている方も多いのではないでしょうか。端的に言えば「気分の問題だよね」ということです。
事実はそうではありません。もちろん人間の意識の仕組みが科学で解明されるにはまだまだ長い道のりがあるでしょう(あるいは解明されないのかもしれません)。しかしいくつかの「意識のあり方」については科学の方法論で捉えることが可能になっています。

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例えば、瞑想の初心者と熟練者では瞑想中に脳が活発に活動する部位が異なるなど。本ワークショップでは退屈にならないように注意しながら、そうした科学的な裏づけについても紹介しました。

■実行の敷居を下げる
マインドフルネスが言葉や気分だけのものではないと納得してもらえたとしても、実行してもらうまでには高い壁があります。日常的に運動することが心身の健康に良い、と多くの人が知っていると思いますが、実行出来る人はほんのわずか。
人間は怠ける動物である。そうした現実から目を背けず、直視した上で解決案を考えるのは、サービスデザイナーの基本的な姿勢です。

ではどうするか?
例えばあるマインドフルネスの本には「1日30分以上は瞑想してほしい」と書いてあります。そう言われても、忙しい日常の中で30分黙って座ることができるだろうか?

というわけでこのワークショップで実践するのは「2分の瞑想を2回」だけにしました。しかもその2分の瞑想というのは紹介する方法の中で一番長いもの。一番短いのは「一呼吸」でそれより簡単なのは「頭の中で、自分の考えに一言付け加える」だけ。
とはいえ、ここまで敷居を下げてもおそらく実行してくれる人は少ないと思います。しかし「マインドフルネスってなんだか面白そうだし、そう難しくもないな」という印象を持ってもらえればワークショップとしては成功、と割り切りました。

3.ワークショップの流れ

ワークショプは参加者に対するこの質問から始めました。

「3連休明けの月曜日の午後3時から、ものすごく気の重い会議があります。今は木曜日の深夜でようやく仕事が終わったところです。月曜日の会議までできることは全て終え、明日からは休み。今は晴れ晴れした気分です。
さて問題です。月曜の会議のことを考えて憂鬱になりはじめるのはどの時点ですか?

これに対して参加者から回答が寄せられます。やはり日曜日の夕方という意見が多い。
しかしよく考えるとこれは変なことです。頭では、会議までできることはないと「理解」している。なのに無駄に会議のことをくよくよ考えて丸1日くらい憂鬱な気分で過ごす。なぜこんなことが起こるのでしょうか?

そこから、「意識」は自分の考え方をコントロールできるわけではないという説明をした上で、2分間ただ座ってもらうという体験をしてもらいました。

すると頭の中に次々と「雑念」が湧いてきます。今日の晩ご飯何にしようとか、そもそもなんでこんなことやってるのかとか。この「雑念」には「マインドワンダリング」という名前がついており、世界中で普遍的に見られる現象です。とはいえ「皆そうです」と言われたところで大して慰めにはなりません。ついつい嫌なことを考え消耗してしまいます。

ではこの「雑念」とどうやって向き合うべきでしょうか?考えられる対処方法は以下の3つです。

(1)ポジティブに行こう!
(2)考えるのが悪い
(3)感情と距離をとり、ただ観察する

(1)ポジティブに行こう!
大丈夫だよ、そんなひどいことにならないよ、と自分に言い聞かせる。楽観主義万歳!

(2)考えるのが悪い
不安とかいやな気持ちとか考えちゃいけない、と自分に言い聞かせる。

上記2つの方法はいずれも推奨しません。なぜならば、という説明を事例を元に行いました。特にベトナム戦争での8年間にわたる捕虜生活から導き出された

「生き残れなかったのは楽観主義者だ」

という「ストックデールの逆説」はコロナ環境下でも覚えておくべき言葉ではないでしょうか。

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ではどうすればいいのか。このワークショップで勧めたのは

(3)感情と距離をとり、ただ観察する

です。
外部からの刺激により、あるは刺激がなくても心の中に様々な感情が湧き起こることは避けようがありません。しかしその感情と距離をとることはできます。いたずらにその感情に振り回されるでもなく、否定するでもなく、「どんな感情かな」と静かに観察する。マインドフルネスの瞑想はそのためのものだとと説明し、再度2分間瞑想をしてもらいました。

個人的にはサボりながらも瞑想を続け少し変化がでてきたように思います。心の中にネガティブな予想や感情が湧くと「まったくあの●●はけしからん。そもそもいつも、」と囚われてしまいます。

しかしどこかで「おーおー、今日もはりきって怒ってるねえ。」と頭の中でその怒りと距離を取り観察すると、ネガティブな感情はいつの間にか消えます。瞑想を続けることでこのように「雑念」とうまく付き合えるようになったと思っています。

この「感情と距離を取る」ことは、ナチスの強制収容所を生き延びたヴィクトール・フランクルという精神科医が提唱した「自己距離化」に近い概念だと考えています。

4.開催しての気づき

この「自己距離化」を体験してもらうため、ワークショップの後半で「自分が大変と思っていることでも、他人にしてみればどうでもいい」事例を紹介しました。

「先日カレーを作った。ところが帰宅した奥様は礼の一言もいわずに”なぜジャガイモがはいっていないのか”と文句を言った。私はカレーにはジャガイモをいれないのが正しいと信じており、過去20年近くにわたる結婚生活においても一度もカレーにジャガイモをいれたことはない。なぜこの期に及んでこんな理不尽な非難を受けねばならぬのか」

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こちらとしては聞いた人に「そんなのどうでもいい」と思ってもらえればよかったわけです。私にとっていくら深刻な事態でも、他人事ならどうでもいい。「夫婦喧嘩は犬もくわない」ということわざの通り。だから自分の悩みも距離をとってちょっと他人事みたいに考えるといいですよ、と言いたかったのです。

ところが意外なことにここでチャットが一番盛り上がりました。

「じゃがいも入れないです」
「じゃがいもメイン!最初に入れて溶かすのと、後から入れるのと両方。」
「ジャガイモは別で添えるとどちらも満足するのではないでしょうか」

確かに最後の提案に従えば、私も奥様もそれぞれのカレーを食べて満足することができます。この「問題に対してポジティブな解決案を模索、提案する姿勢」。嗚呼、サービスデザイナーの集団相手にワークショップをするということはこういうことなのか、と思い知った次第でした。

今回実施した結果を踏まえワークショップを改善し、外部に向けて発信していきたいと考えております。

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