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たぴにつき ♯16

7時くらいからかな、珈琲店に入りまして。
相馬さんを待つことに。

こぼしちゃって、見苦しいですが、お店のせいじゃありません。
わたしのせいです。

旅のまとめなどをノートしながら待つ。

こういう「空白」の時間、好きなんですよね。
旅であれ、日常であれ、なにかと埋まってるでしょ。
目的のために動いてる、動かされているというか。
常に因果の中に身を置かれているというか。
そういうのから切り離された時空っていいですよね。

その時に書いたノートを、今、日本で見る。

【自分が44歳だということが信じられない。20代は言い過ぎかもしれないけれど、30代くらいの気しかしていない。
顔だけ(身体も)は老けてるのは認めざるをえないけれど、
それ以外、、気持ちなどは、昔とかわらない、、、】

そうそう、そんなこと思ってた。

【なんだか「お金持ってないとダサいな」とちょっとだけ思った。
↑若いカップルにタクシー代出してもらうとか、安いホテルを聞くとか、、】

とも。

「売れたい」とか「認められたい」とか、
「良い思いをしたい」とか、そういうのとは違うんですよね。
なんだろう。余裕が欲しいというか。

携帯を見ると、相馬さんからメールが来ていた。
返信すると、送れない。

電話をしてみる。
コールはしたような気がするけど、繋がらない。
不安しかない。

そもそも、相馬さんが何時の飛行機なのかもメモってこなかった。
どこのホテルなのか、そのホテルの場所(駅)さえ書いてこなかった。

だいじょうぶか、、、、。

ノートを見ると、韓国人の昔の恋人のことが書いてある。
【あれは封印していた記憶。生まれて初めて「ウソ」の自分で相手とつきあった、、、】

そう、多かれ少なかれ、人は演技をしながら生きているけれど、その恋人との関係はそれが極まっていた。

相手が立派な人だったのもあると思う。
「自分も立派にならなければ」と背伸びをしていたというか、
そういう自分を演じていた。
でも、ホントの自分は、ダメダメで、しょうもない人間だらか、
それがバレた瞬間に別れを告げられた。

とはいえ、その人に聞いたら「それが理由じゃない」と言われそうな気もする。思い当たることは、他にもいくつかあるし。書かないけど。

「物語」というのは、いつだって自分勝手なのです。
個人史も、大きな歴史も。
立場が変われば、見える景色はぜんぜん違う。

そして、いろんな因果の糸が綱引きをしながら「ひとつの結論」だけが導かれ、それを元に、それまでの歴史もすべて書き換えられる。
加害だろうが、被害だろうが、皆、等しくこの力学を行使している。
だから対立やケンカ、戦争が終わることはない。

ただ、そういう自己正当化があるからこそ、人は生きられるのも事実。
今の自分を肯定することができれば、それ以前のすべての苦しみも哀しみも「あのことがあって、今がある」と思えるのだし。

もう時効というか、今だから書けることだけど(書くかかなり迷った)、
その恋人には、姉妹のように仲良くしている友人がいた。
わたしは正直に言うと、最初、そっちの子の方が心の奥では気になっていた。
のに、その子が宗教徒だったり、将来のことを考えて、そういう条件みたいなものを考慮してしまって、もう一人の子と付き合うことになった。
ズルい言い方だれど、付き合った子も、もちろん、本当に好きだったんですよ。
わたしは浮気をしたことはないけれど、これは本質的には浮気みたいなものでもあり、浮気をする人をまったく責められるような人間ではないとも思う。
何が書きたかったかと言えば、そういうちょっとした条件みたいなものによって、物語の軌道は、人生の道は大きく別れていくということ。

逆に、心の声に素直に従ってもう一人の子と付き合っていたら、うまく行ったかもしれないし、やっぱり想定していた問題が起こったかもしれないし。
そっちの子には、そもそもフラれるという可能性だってあるけど。

その後、わたしは結婚もし、離婚もしたけれど、それだっていろんな因果が糸を引いた結果で、振り返ってみれば必然なんだけど、すべては偶然の集積による成り行きとも言えなくもない。

この旅がそうであるように。

わたしの作品づくりもそうだ。
「こうしたい」と思って撮影をはじめて「思ったようになった」ことなんて1度もない。
だいたい「思い通りならない」撮影の結果を、編集でこじつけているようなもので。

そういう創作にウンザリしている自分もいる反面、
「それこそが面白い」と思ってやっていた自分もいる。
そのことを痛烈に感じているこの旅。

なんて夢想していると、
「店、閉めますよ」と9時に言われてしまう。

仕方ないから、近くの別の喫茶店(チェーン店)に。

そう、わたし、ガラケーなもので、スマフォ的な自動翻訳とか使えないし、
だから、相馬さんに連絡つかないのが恐怖の部分があるんですよね。

こっちでも、小さいトラブルもあったし、考えたこともいっぱいあったけど、重いやつ書いちゃったから、もういいや。ということで、この辺で。

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