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【寒露・霜降 2024】 荒 昌史さん ー ひろにぃのあの人に会いたい vol.5
タネニハ不動産は「自然の癒しと人の温もりをまちいっぱいに」をビジョンとするまちづくり会社です。ここでは、“まちづくりは仲間づくり”を合言葉に、一緒にまちづくりをしていく仲間を紹介していきます。
今回は、まちを楽しみ、助け合う暮らしのコミュニティのつくり方を提案する『ネイバーフッドデザイン』という本を出版されていて、ひばりが丘団地の「まちにわ ひばりが丘」など、ディベロッパーや行政から委託を受け、全国各地で集合住宅やまちにおけるコミュニティデザインを行っている、HITOTOWA.INC 代表取締役の荒昌史さんをご紹介します。
Interview 005 MASAFUMI ARA
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荒さんは東久留米在住で、東京郊外の古き良き街並みや田園風景が失われている現状に警鐘を鳴らし、地主さんたちと共にこの課題に取り組む発信や活動を続けられています。また、自由学園で講師も務めるまちづくりの専門家です。
まちで暮らす人々のつながりを作る最大の目的は、助け合い「 共助」の関係性を築くことだと荒さんは語ります。それが地域課題の解決や有事の際に大きな力を発揮すると強調しており、それをデザインするのが「ネイバーフッドデザイン」です。
ぜひこの機会にネイバーフッドデザインの考え方に触れて、興味を持っていただけたら嬉しいです。
ひろにぃが荒さんにインタビューしてきました!
ー ネイバーフッドデザインに目覚めたきっかけは?
最初からコミュニティのある暮らしを創っていたわけではありません。
デベロッパー在籍時、スクラップ&ビルドで建て替えを提案している中で、畑のままでいいのでは?と思うことがあったり、希薄な人間関係のマンションを作っていて、単純に寂しさを感じたりしたことがきっかけです。
「ちょうど良い人間関係を育む住宅のデザインはないのか」という考えから、ネイバーフッドデザインが始まりました。
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ー 書籍に「まちに暮らす人々と助け合える関係性があることで、救える命がある」という言葉が印象的ですが、この言葉への想いはありますか?
会社設立の3か月後に東日本大震災が発生し、復興支援を続ける中で、被災地の方々との関係が深まりました。
そこで、子どもを亡くされた方から「後悔の念しかない。災害が起きてから助け合う関係の重要性に気付いても遅い。荒くんが広めているネイバーフッドデザインを頑張って広めてほしい。何でも話をするから役立ててほしい。」と言われ、この時にネイバーフットデザインをしていくことに使命感が生まれました。
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ー ネイバーフッドデザインをやっていて良かったと感じることは?
人生の変化に立ち会えることですね。
認知症になりかけていたおばあちゃんが活動に参加しているうちに元気を取り戻したり、一人で寂しそうに宿題していた子が高校生になって、小学生に教えるようになる姿に出会えたり。
ネイバーフッドデザインは、平面的なつながりだけでなく、時間を超えたつながりも生むのだと学びました。そこで暮らす人々から多くのことを教わってきたという感覚です。
ー 今後、東久留米でやりたいことは?
土地が本来持っていたアイデンティティが失われつつあることに危機感を抱いています。東京郊外には独自の役割があり、東久留米のような多摩エリアは、自然のエントランス機能を担うべきだと考えています。
都市の人たちが農村を感じられるところに東久留米の価値があります。ここにしかない風景を守り、東京郊外を森に戻すような活動をしていきたいです。
また、究極は一人一人の幸せが重要だと思っています。まちにとってのネイバーフッドデザインの重要性を訴えながら、一人一人の幸福度を高めることにつながれば嬉しいですね。
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Editor’s Note
荒さんが、まちづくりの仕組みを提供するだけでなく、一人一人の人生に寄り添う姿勢にとても感銘を受けました。タネニハのビジョンとも多くの共通点があり、地元に荒さんがいらっしゃることは本当に心強い。私たちも学びながら、共に仲間として、まちの価値を本質的に高める活動を進めていければと思います。(荒川)
書籍『ネイバーフッドデザイン』
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荒さんが代表を務めるHITOTOWAが11年間に数々のまちに関わるなかで培ってきたネイバーフッドデザインの手法を事例を交えてまとめた
初の単著です。
「こういう暮らしがしたいな」と自分の住むまちを良くしたいと考えるすべての方に、きっかけを与えてくれる渾身の一冊になっています。
荒昌史(著), HITOTOWA INC.(編) 発行 英治出版
タネニハ不動産
Hironori Arakawa