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【立春・雨水2025】 Letter from farm -農便り-
温室の外に吊り下げられている温度計は、夜のうちの最低気温も記録される。
農園の冬は寒い。冷え込みの厳しい日は-6℃まで下がっていた。東京でも郊外は冷える。都心から比べ5℃くらい低く、東久留米の駅前からでも2℃~3℃くらいは下がる。温度が下がる理由として、畑が広がり緑が多いこと、そして冷気がたまりやすい地形になっている。
さて、冬場の温室の中に話を移す。温室の中では、春に出荷する植物のために暖房を焚いて温度を保っている。ハウスごとに設定温度は違うが、最も設定温度の高い育苗ハウスは16℃。中に入るとメガネが曇るほど暖かい。育てている植物は様々だが、15℃を切らないよう管理すると大体の植物は種から育つ。
全部のハウスを温めるのは環境にもコスト的にも良くない。そのため、無加温のビニールハウスも結構な割合を占めている。実は、今年から温度帯を15℃から7℃に下げた温室もある。
その温室は、昨年までゼラニウムを生産していたが、今年の冬は生産をしなかった。代わりに、低温でも生長するラナンキュラス、プリムラ、チューリップやムスカリなどの球根植物を育て
ている。
ゼラニウムを辞める選択も大きな方向転換だった。でも、この選択で暖房に使用する重油の量が12月から1月だけで2000リットルから1000リットルへと減った。確実に環境への負荷は減った。とはいえ、利益も同時に減ることが予想される。
真っ直ぐに考える。自然環境のために。そしてお客様のために。もちろん、僕たち生産者が生きていくことも。
秋田緑花農園
Shigeyoshi Akita