【白露・秋分2024】 Editor's Note
kinoneビルが完成した。前号から冒頭2ページにわたってkinoneビルの紹介をしているが、とても素晴らしいビルだ。
kinoneビルの計画が本格的に始まったのは、約5年前のこと。計画が一度白紙に戻ったこともあったし、コロナ禍での資材の高騰により予算を何度も練り直し。さらに、昨年、先代の会長が亡くなったこともあり、完成はどんどん遅れていった。
会長が所有していた駅前の土地にkinoneビルは建てられた。様々なご縁を経てその土地を引き継いだ会長は、駅前の土地を所有することに大きな責任を感じていた。
「人々が行き交い、駅を中心に営みが重ねられる。私欲のためではなく、東久留米市の発展のためにこの土地を使うんだ」と、会長は何度も話してくれていた。
その想いを受け継ぎ、私たちが構想したkinoneビル。1、2階には商業施設が入り、3階から8階までは住居スペースとなっている。駅前という利便性を持ちながらも、自然の心地よさを感じられ、人も動物も共に快適に暮らせる場を作りたいと、ベランダには150種類もの季節を感じる植栽を植え、ドッグランも完備した。
昼間は木々が風にそよぎ、気持ちが良い。そして、夜にはその木々を柔らかい光が照らし、人の精神を和らげ、のんびり過ごせる住まいを目指した。
1階には自社のコーヒー&フラワーショップを運営する。毎日顔を合わせる皆さんに「いってらっしゃい」「おかえりなさい」と声をかけるため、そして、日々移ろい続ける季節を感じてもらうために花を置く。
この建物は見た目も素敵だが、五感に働きかける、目に見えない美しさを十分に感じてもらえる場だ。
完成した建物を見れば、立派な建物が建ったと感じるだけかもしれない。しかし、kinoneビルからは何か「ワクワクする」感覚が溢れ出している。そのワクワクは、きっと会長の想い、そしてそれを引き継いだ私たちの想い、建設に関わってくれた仲間たちの熱意、この街を愛する人々の期待から生まれているのだろう。
今日は会長の誕生日。昨年の誕生日に、花束を抱えて見せてくれた会長の笑顔。その写真を眺めながら、会長に「おめでとう」、そして「ありがとう」と伝えようと思う。
タネニハプロジェクト
コーディーネーター
Myoka Komori