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【立春・雨水 2025】 秋田 茂良さん ー ひろにぃのあの人に会いたい vol.8
タネニハ不動産は「自然の癒しと人の温もりをまちいっぱいに」をビジョンとするまちづくり会社です。ここでは、“まちづくりは仲間づくり”を合言葉に、一緒にまちづくりをしていく仲間を紹介していきます。
旧正月を迎えた本年第一回目のタネニハ便りということで、タネニハのお父さん役とも言える存在、秋田緑花農園の秋田茂良さんをご紹介させていただきます。
Interview 008 SHIGEYOSHI AKITA
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秋田さんとは、私が前職の不動産会社で一担当者とオーナーという関係性から2023 年に一緒にまちづくり会社の「株式会社タネニハ」を立ち上げました。思い返せば、実に20 年来の付き合いです。一般的な地主さんのイ
メージとは異なった独特な感性や発想に無意識に惹かれ、気づけば自然と歩む関係になっていました(笑)。
秋田さんはいつも自然体で、常に本質を見抜く深い洞察力と、すべてを受け入れてくれそうな包容力を持った方です。また、無欲というか、強がりを見せることなく、本当に素直に生きる姿は、欲張りな私にとって昔からキ
ラキラして見えていました。同世代ながら学ぶことが多く、今では尊敬できる仲間であり、同志でもあります。
今更ながらですが、そんな秋田さんや秋田家のルーツについて、少し掘り下げてみたいと思います。
ひろにぃが秋田さんにインタビューしてきました!
ー その独特な感性や考え方はいかにして育まれたのですか?
父からは「畑は預かりものだから」とよく言われていました。
また、祖父は新しい技術やものを取り入れるのが好きな人で、そのDNA が受け継がれているのかもしれません。
農家として後継ぎになることがある程度決まっている中で、「なぜそれを自分がやるのか」を考え続けるうちに、自然と思考が本質的な方向に向かっていったのだと思います。
揺れ動いた時期もありましたが、最終的には、生き物はすべて動いて朽ち、土に還る営みなんだと思ったら、すべてが受け入れられるようになりました。
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ー 土地を守るという観点から、よそ者は入れないという考え方が
昔ながらの地主さんだと言われてきましたが、タネニハガーデンのように「地域に拓く」という発想はどのように生まれたのですか?
きっかけは、東日本大震災での支援活動の経験からですね。
震災が、いびつな都市の社会関係性の希薄さを浮き彫りにしたと感じました。人間関係はどこも分断されていて、生きていくために必要な場所や関係性ができていないことに気付かされました。もともと、防災拠点となることが農家、農地の役目だと思っていました。
この震災をきっかけに、単に防災の拠点を提供するだけでなく、本当に困った時に、共に助け合える良い関係性を普段から築いておくことが何よりも重要なのではないかと考えるようになりました。
この問題意識から、すべてが始まったような気がします。それが地域に開放する発想やコミュニティのある暮らし、空間づくりにつながっています。
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ー 今後の展望は?
農園のけやきの木が枝葉を広げている風景は残していきたいですね。そして、農園という場所をみんなの居場所にしたいです。
相続などで畑や緑が失われていく昨今、残していくだけでも簡単なことではありません。
しっかりと後世に受け継いでいくという観点で考えると、自分で所有することにこだわらず、みんなに公共的な財産だと思ってもらえるような空間を目指しています。
また、サービスを提供する側だけでなく、受ける側も一緒に参加して、それぞれが自分を活かし、役目を果たして活き活きと活動する。そんな風景を描いています。
ただ、あくまで自分は主役にはなりたくないんです(笑)。
空気のように存在感を消して、みんなが自然の中で幸せに暮らしている姿を眺めているのが好きですね。
実現するには課題も多いですが、ひとりではやりきれないので、そこは仲間に頼って、私は育種に集中したいです(笑)。花に水やりをしている時が幸せなんです。幼い頃から得意で無意識に夢中になれる場所、やっぱりここが私の居場所かもしれないですね。
Hiro’s Note
私は農園に来て、木々や植物、風景や人に触れあうようになったことで、自分の中で忘れかけていた感覚を取り戻すことができました。小さな幸せを日々感じながら生活することがいかに豊かなことか実感しています。
そういった意味でも秋田さんや秋田家にはとても深い感謝の念があります。秋田さんは私自身にはもちろん、まちにとってもなくてはならない存在です。本年も、秋田茂良とその仲間たちをよろしくお願いいたします(笑)。
タネニハ不動産
Hironori Arakawa