鶏をたべる

ちょっと血なまぐさい話。怖い方は読まないで。
わが家に、郵便やさんは来ません。
夏でもこない。冬は来客もないので、常につないでいるけれど、たまに敷地内目の届く範囲で犬を思いきり走らせてやりたいなってどうしても思う。
で、失敗。
換気で鶏舎を開けてたことを忘れてた。
あっと思ったときには遅く、あちこちに羽が散乱。血なまぐさい。傷ついた鶏がいました。みんなを守ってくれるよと、引き取った唯一のオスは遥か遠くに逃げ、雪の上で寒くて動けなくなってた。
私が悪い。完全に不注意。
落ち込みつつ、興奮する犬を繋ぎ。学校から帰ってきた子供たちにあやまる。
「ごめんね。」
「いいよ。大丈夫。じゃあ今日食べるんでしょ?」
「今からトトと捌いてくる。見たかったら見て、怖かったらやめな。」
「はーい!後で見に行く。」
「あんまり、ショック受けてないね?」
「うん!だって今ショック受けたら、あと12回悲しまなきゃいけないから。」
うちには12羽いるからね。
そう考えるのか。鶏を頂いた農家さんも冬は、餌を確保するのが難しく全部食べちゃうって言ってた。でも結構卵を産むから、うちは春まで食べないでおこうって決めてたのだけど。
数えたら3羽が怪我してた。もっとかと思った。しばらくしたら傷口が治るのではと思ったけど無理そう。理由は書くとちょっと気分が悪くなりそうだからやめておきます。
鶏をさばくのは2回目、頸椎は外す。血抜き羽むしりはしない方法。鶏を飼うと決めた時からちゃんと手早く上手にさばいて、ちゃんと食べてあげななきゃと思っていた。けどいざとなると首を外すのは怖い。手が震え結局3羽ともやってもらう。力かげんが難しいので次回から吊るしてしめることにする。
私は魚も、さばくときはゴム手袋をします。ある程度ちゃんと切り身になって内臓や血が処理できたら手袋を外す。鶏もいっしょ。
当たり前だけど、さっきまでちゃんと生きていた肉は温かい。寒い外気で湯気が立つほど。ちゃんと…ちゃんと…って思っても、手は脂であっという間に汚れるからスマホで手順を調べられない。関節や筋を意識しながらなんとか包丁をいれる。お腹からまだフヨフヨの卵がでてきた。
さばく時は生き物の死から、食べ物の調理に気持ちが切り替わる瞬間が明確にあるんだけど、今回はそれがなかなか来なかった。ごめんねってずっと思ってた。
焼き鳥、カレー、鶏ガラで出汁をとってラーメンにした。肉も出汁も食べきれない分は冷凍。たぶん骨付き肉は鍋、小分けにしたスープは小籠包、肉まんになる。
育てて食べる。自分で割り切って考えられているつもりだったけど、やっぱり大切に思っていて、感情移入していた。
わたしはそこを無には一生できないから、やっぱり命と食べることと真面目に向き合うことしかできない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?