見出し画像

ちょっと!お父さん!!②

父と姉


 私は小さい頃から、面白い人に惹かれる。


最近自分の今まで出会ってきた中で影響を受けた人物名を紙に書き出してみた。


その人達の何に惹かれるのか、


尊敬できる部分などを抽出すると、


面白いというワードが出てきた。


面白いにも種類があって、


尊敬に値しないただ面白いのではなく、尊敬に値する面白いの方だ。


テレビでもこの芸人さんって面白いなぁって思う人達は、やはり頭のキレ味が全然違う。


語彙力もあり、発想も豊か。


そんな感じだ。


前置きが長くなったが、私の姉はそんな感じで面白い。


尊敬している。


そんな姉と、破天荒な父とのやりとりはなかなか見ものだった。


残念ながら、姉は歳が離れていて 私が小3の時には大学進学で上京し、そのまま地元には帰ってこなかった。


私はそんな、破天荒な父と苦労人の母と3人でその後9年間すごす事になるのだが、その話はまたにして、


 その、面白い父と姉とのやりとりで忘れられないものがある。



父のIT革命


 世の中にi Phone が普及し始めた頃、私の姉が帰省してきた。


父はその魅力的な機械に興味深々である。


一緒に食事に行った時、姉が席を外した隙に 父は人差し指でチョイチョイと姉のスマホをいじっていた。


気になってしょうがないのだ。


今でこそ、高齢の方もスマホを持つ時代だが、その頃はまだ時代の最先端を行っている若者くらいしか持っていなかった印象だったので、父がスマホを持つなんて想像もつかなかった。


そして、お金にだらしない機械オンチの父がスマホなんて持ったら、知らず知らずのうちに課金とかして大変そうなのが想像つく。


頼むから持つとか言わないでくれと願っていたが、父の興味は止まらなかった。


ええのう。ええのう。



それ。なんちゅうんや?アイ、なんちゃら言うんやな? な? な?


私も姉も、出来るだけ興味を持って欲しくなかったので 話を逸らそうとしていた。


私はその頃地元を離れて、一人暮らしをしていたのだが、ある日父から電話がかかってきた。


父「アイホン契約したんや。


なんか、保証人がいるらしくてのぉ!


一筆サインしてくれ!!」


 私「いや、お父さん。使い方わかんの?」


使い方いちいち相談されても近くにすんでいるわけじゃないし、


いや、近くにいたとしてもいちいちあーだこーだしつこく使い方を聞かれるのはまっぴらごめんである。



 なぜ、そんなに冷たい事を言うのか?と思われたかもしれないが、それには今までの経緯がある。


父は以前パソコンにも手を出した。


何をやりたかったかというと、これもネタになるので後日書くとする。


とにかく、その時は趣味の範囲でワードが使いたくて私に使い方を聞いてきた。


恥ずかしながらその頃私は超アナログ人間で、ワードもエクセルも全くノータッチで教える事ができなかった。


わからないと伝えると〇〇くんはどうや!?と私の彼の名前を出してきた。


あー、😮‍💨やっかいだと思いつつもあんまりしつこいので彼に聞いてみると、快く教えに来てくれた。


その後も事あるごとに私が実家に帰ると彼を呼び出そうとする。


私はそれを、とても迷惑に感じていて その事を含めて姉に相談した。


姉は父に ガツンと言ってくれたらしい。


「お父さん!いい加減にしとかなあかん!
お父さんの趣味は勝手にしたらええけどな?(私)や〇〇くんまで巻き込んで迷惑甚だしい!!」


多分父にはこれくらいじゃ響かないと思ったのだろう。


「あんたが死ぬ前に言うとくけどな!!死んだら言えへんでな!!」


と言ったと言っていた。


私は、姉をさすがだと思った。


昭和のポジティブ男にはこれくらいのシュートが必要である。


その後父なりに考えたのか、娘はスマホの使い方を教えてくれないらしいと察して、i phoneを契約する会社に確認をとった。


一から十まで教えてくれるか?と。


なんと、ちゃんと教えると答えたそうだ。


アンビリーバボーだ。


そんな親切な業者が存在するのか!?



私はサインする前にその業者に確認した。


私 「めんどくさい事になりますよ!大丈夫ですか?!」
「きっとしょっちゅう電話かかってきてここはどーする!あれはどーなんだ!って聞かれますよ!」



その営業マンは電話ごしに、大丈夫ですよと言った。



それから数日後、我が家で父の友人と父2人を相手にi Phone 講習会が開かれた。


姉と、その営業マンの華麗な仕事のおかげで 父が私にi Phoneの使い方を聞いてくることは一度もなかった。


見事なゴールである。


ほぼほぼの機能を使いこなす事はなかったであろう父とi Phone との出会い。



しかし、父にとっての一番の宝物となった。


その話もまた後日。



追記



父が脳梗塞で救急車で運ばれた。


危険な状態だったので姉も家族と共に帰郷した。


なんとか一命をとりとめて、麻痺はあるものの、甥っ子や姉の顔を見れて父は嬉しそうにしていた。


大丈夫そうだなと姉も一安心したのだろう。


でも、それで終わらないのが私の姉だ。


「お父さん 元気そうやな。
元気そうやでもう帰るわな。」


父 頷く。


「また、死にそうになったら来るわな。」


父 2度ほど頷く



なんて酷いことを!!と思った方もいるだろう。


しばらくして、姉にそれを言ったら。


えっ、そんな酷いこと言うた?私?
と言っていた。本人もそれを聞いてそう思ったらしい。


父のキャラ、姉のキャラを知っている人に聞いてもらうと大爆笑な話なので心配ご無用。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?