REBEL IN THE RYE (映画漫評③)
JD・サリンジャーの『キャッチャー・イン・ザ・ライ」は、20世紀の文学で重要な小説である。日本では『ライ麦畑でつかまえて』で知られる本作だが、原作国のアメリカでは禁書として扱われた暗い歴史がある。禁書になるにあたってはいくつかの理由がある。日本の宗教書のひとつ『歎異抄』は、はじめ部外者が読むものではないとされ明治期まで禁書であった。それが時を経た近現代で注目され、多くの人々に読まれるようになった。『ライ麦畑…』もそれほど長い隔たりがあるわけではないが、電子書籍の現代であって