TBSラジオ「トゥインクルのアタマ冷ヤセ」ラジオドラマ【一郎と一朗】脚本と告知
トゥインクル・コーポレーション所属のピン芸人たなしゅうです。
TBSラジオ『エレ片のケツビ!』Podcastの番外編!
「トゥインクルのアタマ冷ヤセ!」に後輩のピン芸人・ちびシャトルと二人で出させて頂きました(TBSラジオさんが謎の大勝負に出ました)
↓こちらで無料で聞けます!
後輩のフリップ芸人、ちびシャトルと一時間話しております(長ーーーーほぼノーカットーーTBSさん勇敢ーーーありがとうございますーーー!!!!!!)
『本当にやりたいことやりなさい』という事で僕は普段、小説や一人芝居の様なコントをしているので
「じゃあラジオドラマをしてTBSラジオでラジオドラマをしたという既成事実作らせてください!」と言ったらやらせてくださいました!(なんでやねん!!!)
是非お聴き頂きたい!(こんな機会ないで!!!!!)
折角なのでラジオドラマ【一朗と一郎】の脚本を公開させてもらいます。合わせてお楽しみ頂ければ幸いです。
TBSラジオ「トゥインクルのアタマ冷ヤセ」
ラジオドラマ【一郎と一朗】
《登場人物・役者》
百田…たなしゅう
一郎…ちびシャトル
先輩…ホシカワ
【1】
百田「大正11年11月11日生まれの九十九一朗(ツクモイチロー)さんは去年の11月11日で99歳になった。私は百田と言います。介護ヘルパーとしてお年寄りのお宅に伺ってサポートをしています。あ、こんにちは。」
一朗「…ん」
百田「初めまして、介護ヘルパーの百田です。百に田んぼと書いて百田。本日から担当になりました。一朗さん、宜しくお願いします!」
一朗「あぁ。はい」
百田「九十九一朗さんとの出会いはこんな感じ。まぁ、返事が返ってきただけいいかという印象でした」
一朗「お茶」
百田「はい!…一朗さんはずっと、この大きな御屋敷に一人で住まれています」
一郎「老人ホームには入りたくない。あんなとこに入るから老けてしまうんじゃ」
百田「というのが一朗さんの口癖。そしてある日」
一朗「ももちゃん」
百田「ももちゃん?!」
一朗「ももちゃんじゃろ?はい、ポッキー」
百田「え!ありがとうございます!」
一朗「お茶」
百田「あ、はい!お茶淹れて、食べましょう」
一朗「ポッキーの日に生まれたから、ポッキーが好きなんよ」
百田「あぁなるほど」
一朗「ワシの生まれた日にポッキーが生まれて来てくれて良かったわ」
百田「そ、そうなんですね。一郎さんって、ずっとこの家に一人で住んでるんですか?」
一朗「…いいや。あんたぐらいの年の時に死んだ双子の兄貴とな。住んでたよ」
百田「と言って、私におもむろにサイコロを三つ渡してきました」
一朗「ふってごらん」
百田「私が振ると…1。1。1。」
一朗「おお!凄い。ピンゾロだ」
百田「なんです?ピンゾロ?」
一朗「一番サイコロで凄い役じゃ。シシシ。凄い役出たから話たろ。ワシら兄弟はサイコロでどっちが兄で、どっちが弟か決めたんじゃよ」
【2】
百田「大正11年、九十九一朗さんは生まれた。大正11年というのは、ポッキーやキャラメルで有名な江崎グリコが2月22日に設立した年。一朗さんのお母様『数子さん』は未婚のまま、一朗さんとお兄様を産んだ。数子さんは双子の二人を『優劣つけることなく分け隔てなく愛されて育って欲しい。』との想いから【一郎】と【一朗】と名付けた。全く同じ字では役所から許可を貰えず、【新郎新婦の郎】と【ほがらかの朗】の字を変えて、二人にイチローの名を授けたらしい」
一朗「わしらは名前も顔も背丈も頭も全部一緒やった」
百田「双子ですもんね」
一朗「母さんは、ワシらが小さい時に早う死んでもうた。苦労かけた」
百田「そうなんですね」
一朗「1945年の8月、ワシらが22歳の時に戦争が終わった。何とか二人で生き延びられた喜びと誰にも頼れない不安が大きくなった。ワシらには母さんが住みたかった大きい家買うって夢があった」
百田「それがこの家?」
一朗「そう。沢山沢山二人で働いた。一緒に働けば働くだけワシはアイツと同じなのが嫌になっていった。違いが一つでええから、欲しくなった」
百田「違い…」
一朗「運だけは違う気がしてな。ほんなら、わかった、サイコロで決めようってアイツが言い出した」
百田「どうなったんです?」
一朗「アイツがな。その勝負三日待ってくれ!運貯めるから!ゆうてな」
百田「たまるんですかそれ」
一朗「さあ。そして三日後。サイコロをアイツが持ってきてな。」
百田「はい」
一朗「サイコロを三つ振って強い役が勝ちや!ってルールはアイツが決めて。アイツが『ほな、俺からいくぞー!ゆうて2.2.5わー!最悪やぁ!』って叫んで。ガクッとしてからワシにサイコロ渡してきよった。次によーし!ってワシがカロンコロン!1.1.1、ピンゾロ!いっちゃん強い役が出た!その日からワシが兄ということになった!」
百田「よかったですね」
一朗「あぁ嬉しかった。アイツはその後すぐ交通事故で死んでな」
百田「一朗さんが悲しそうに遠くをみながらサイコロを手の中でコロコロとさせている」
一朗「運ないやっちゃおもて、アイツの部屋片付けてたら出てきたのがこのサイコロ。ほれ。ほれ。ほれ。」
百田「一郎さんが何回振ってもピンゾロが出た」
一朗「イカサマじゃったんじゃよ」
百田「なんだ!私、ピンゾロ出たって驚いちゃいましたよ。でも、なんでそんなことを?」
一朗「ワシが。弟が兄貴になりたがったから、譲るためじゃないかなぁ」
百田「そのためにわざわざ?」
一朗「ははは。アイツの方がよっぽど、兄貴だったんじゃなぁ」
百田「といって、一郎さんはポッキーを齧った」
【3】
百田「家に帰っても、九十九一朗さんの話が頭から離れなかった私はホームヘルパーの先輩に電話をした』
先輩「サイコロ?ふらされた?」
百田「あ!はい!」
先輩「わ、百田どんな話された?九十九さん、出た目で話変えるのよ!」
百田「え!じゃあウソだったんですか?!」
先輩「ぜーんぶウソ!毎回違うそれっぽい話するんだから!それでいい加減本当の話聞かせてくださいよー!って言ったら『ピンゾロ出したら話たるわ』だって!無理に決まってんじゃん!」
百田「…え?あ!え?」
先輩「どうしたの?」
百田「あ。いえ。今回聞いた話…出た目は実は…。キィーキキキキキキ…百舌鳥の高い鳴く声が11月の空を覆った。」
おわり
ということで。台本いかがでしたでしょうか?
本当にTBSラジオで好きに一時間やれる日が来るとは思ってなかったんでめちゃくちゃ楽しかったです。
ラジオでも、再三出てくる【ニコジョッキー・たなしゅうの誰でも入れる企画室】で生まれた小説がまさか、TBSラジオさんで披露する事になるとは思わず。。
色々な方に感謝しかありません。ありがとうございました!!
↓そんなニコジョッキーの次回はこちら。
↓どんな番組?という方。
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最後に余談ですが、普段コントや芝居をしないのにラジオドラマに参加してくれて、トークをめちゃくちゃ頑張ってくれたちびシャトルありがとー。また機会あればいいなぁ!