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駅まで傘を。

梅雨入り。

雨は嫌いだ。ズボンの裾が濡れる。傘がなくて肩とかが濡れる事はまだ嫌ではないけれどズボンの裾が濡れるのがどうしても嫌だ。

子供の頃からジトジトじめじめするのが嫌で授業にも集中出来なかったな。

長靴に憧れた時期があったように思うけれど、何時だったろうか。子供の頃かと思う。雨の中でサッカーやドッヂボールをする同級生を完全に見下していた。同時に羨ましかった。泥遊びもしかりで汚れる事はしてはいけないと感じていたのかもしれない。親に服を汚して怒られたという経験は特にない。

傘をよく失くす。どうしようもない。

人に借りたビニル傘をなくしたことがある。相手はとても悲しんだ。ビニル傘でそんなに悲しめるのかと思ってしまった。なんならそういってしまった。相手はもっと怒った。そうじゃないでしょ。あのビニル傘はもう戻ってこないんだよと言われた。それでもまだわからなかったように思う。セブンイレブンに走り弁償して形としては許してもらえたけれど、信用はちゃんと失った。好意で貸してくれたのに好意も傘も返すことができなかった。もっと大事に失くさないようにしなきゃいけなかった。

雨は嫌いだけれど、部屋の中で聞く雨音は好きだ。東京に出るか悩んでいた時。それも何年前かの6月。記録的な豪雨。真っ暗な部屋。買ったばかりのソファに寝転んでこの雨が止むまでにどうするか決めようとしていた時の窓に打ち付ける荒々しい音は忘れられない。

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