コント台本｜エガオホリック｜伝説の観光地

⭐︎エガオホリック


『コント:伝説の観光地』

《登場人物》
のぞみ（N）　　　村人
たなしゅう（T）　導かれし者

《あらすじ》
ドラクエみたいな世界。
伝説の剣があるだけの村。
その、伝説の剣を求めて来る人向けに観光地として発展した村。
そこに導かれ者が現れて？





以下、台本


（N登場、その後ろにTがついていく。舞台袖からセンター後方まで歩く。センター後方に着いたら、Nが、Tの方を振り返る）

N  どうぞ…こちらへ…導かれ者よ…

T  コレが伝説の剣…

N  えぇ…この岩に刺さっている剣こそが千年
前…勇者トト様が魔王を倒したという剣です

T  この剣を抜いたものこそがトト様の生まれ変わり…

N  はい…そう、この村では千年間、言い伝えられております…さぁ！

T   …やぁ！

（T、剣を抜くマイム、剣が抜ける）
（驚く二人）

N  おお…貴方がトト様の生まれ変わり…。

T  これで復活した魔王を倒せる！行ってきます！

N  あ…ちょっと待ってもらえませんか？

T え？

N  あ、一度岩に、さしなおして、さしなおして。さしなおして！

T は？え？は？

N ゆっくり…そう、ゆっくり…はい元通り。

T  え？なんですか？

N  えっと…千年間…誰も抜かなかったもので村としての対応の仕方がわからない…

T  何言ってるの？

N  なんか…袋とかいります？

T  あ、いらないです

N  あの…伝説の剣…持ってくのやめません？

T  なんで？？

N （小声で）観光資源だから…

Tえ？何？

N  観光資源だから！

T 観光資源！？

N  うちの村、これしかないんですよ！大きな船が手に入る港とか、カジノがある街だとか！強いアイテムが手に入る道具屋とかないんですよこれだけなんですよ！《伝説の剣がある村》として1000年食ってきたんですよ！

T  何言ってるんですか！

N  インバウンドの話だよ！

T  経済の話！やめてくださいよ！

N  この剣持ってかれたら…観光資源がなくなるわけでしょ？

T  いやまぁ…

N  誰も来なくなって飲食店も宿もガラガラになるでしょ？

T  確かに…

N  村滅びるじゃん

T  飛躍しすぎでしょ

N  誰も来なくなる…世界が救われる頃に村が滅びる…不自由な二択だ！

T  不自由な二択？

N  魔物がいるけど観光地として生きていける未来…魔物がいなくなるけど村が滅びる未来の不自由な二択！この悪魔！

T  酷い言われようだな！

N  じゃあ来月末まで待って！

T  待ってどうなるんですか？

N  お祭り！毎年やってる勇者の復活祭のお祭りやってて、準備もうしちゃってるから！宿満席！食材とか発注しちゃったもん！グッズ在庫抱えたく無いもん！

T  そっちの事情すぎるでしょ

N  あ！なんなら！お祭り出てよ！そこで剣を抜くイベントやろ！ココに椅子並べてさ、屈強な男達用意するからさ！で…抜けない、抜けない、抜けない…最後にあなたが抜く！めっちゃ盛り上がるぞ！

T  いや盛り上がるとかじゃなくて！

Nなんか岩に剣が刺さった感じのキーホルダーめっちゃ売れるぞ！

T  そんな変なグッズ作るなよ！そんな祭りやらなくていいでしょ！

N  利権絡みまくってんの！

T  利権！？

N  利権！利権！利権なんですよ！だいたいなに本当に抜いてるの！？

T  こわ！この村こわ！

N  え？ちょっと待って？

T え？へ？

N  お祭りで剣抜いたらさぁ…え？お祭り執行委員の奴らの手柄になるくない？

T  ん？まぁ、なんかそうかも

N  そしたら…私じゃなくて…アイツらの手柄じゃん…私の村長になる夢は遠のく…

T  村長ですらなかったんだこの人…

N  そうよね…世界平和大事…え？村？え？でも自分大事…世界？村？自分？世界？村？自分…

T  葛藤？頑張れ頑張れ…！

N  よし！もういい！今、抜きましょう、そして私が立ち会ったって事実残しましょう！私が凄いって事にして！これだ！

（T 、ゆっくり剣を抜いてNに向ける）

T  このモンスターめ…

N  誰がモンスターだ！！

（N、客席に怖い顔して、決めて）


おわり

10月18日
ワチャチャ寄席にて