良いデザイナーはベネフィットを見抜く
私はデザインとライターの仕事をしています。要はチラシを作ったり、名刺を作ったり、会社のロゴを作ったり、楽天の商品ページを作ったり…そういうお仕事です。今日はそんなときによく感じることのお話です。
「とにかく売れるチラシをひとつ、頼むよ!」
例えば打合せ段階でよくある話なのですが、チラシのオーダーを頂くときにクライアントから「弊社はAとBとCというサービスがあるので、それを一応全部載せたいんだよねー。」と言われることがあります。商品ページにしても、「これをめちゃくちゃ売りたいから、ページ作りヨロシク頼むね!!」と、率直にいただきます。
とてもシンプルなことです。当たり前です。全然問題ありません。
ただ、そのチラシが人に手にとってもらえるか、その商品ページが売れるかどうか…? ということになると少し話が違うと思うんです。
お客さんが例えば一般の主婦の場合、
・自分の目の前にある会社に、A・B・Cというサービスがあるかどうか
・自分の目の前にある商品を、店主が売りたいかどうか
これに興味のある人って、ほとんどいませんよね。それなのに、言われたことをそのまま形にするから、会社概要みたいなチラシや、「売れてます!」と根拠もなく言いきる怪しいチラシが出来上がってしまうわけなんですよ。売りたいかどうかは誰も知りたくありません。むしろ「絶対売りたくない」って言われたのほうが興味がわくのが人間なんです。
クライアントはご満悦…でも「なんで売れへんねん」
自分の会社のサービスをでかでかと書いて、俺、こんなかっこいい仕事してるんだぜ!!シャキーン!!とオシャレなチラシが出来上がると、クライアントはご満悦になります。でも、1か月後、2か月後、そのチラシは1枚も手にされることなく、風に吹かれて飛んでいく…。こんな悲しい光景が目に浮かびます。
その悲しい光景の原因がどこにあるのか、気付ける人は多くありません。
原因はデザイナーにあります。なぜなら、その会社・その商品のベネフィットに気付いてあげられなかったからです。表現すべきものを間違えているからです。
ベネフィットは自分では見つけにくい
自分の会社や、自社の商品のベネフィットを見つけることは意外に難しいことです。なぜなら、その業界やその仕事に染まりすぎて冷静な視点を失っているから。私だってデザイナーとしての私のベネフィットは、(わかっているつもりではありますが)たぶんわかってないと思います。そういうもんです。だからこそ、第三者の視点を持つ人(ここではデザイナー)が商品や会社の利点を見抜いて、それを表現に落とし込んであげなくてはならない。それが良いデザイナーってもんです。
1から10まで言わないと作業できないデザイナーはポンコツ
クライアントさんの愚痴としてよく耳にするのが、「バナーひとつを作るにしても、文字の大きさや色指定まで言わないと作業できないデザイナーが多すぎる!」と言うお悩みです。はあ…なんかすみません。私にもそういう時代がありました。不安なんですよね。好みにあうかどうか、怖いんです。でも実際そういうデザイナー、周りにいませんか?それって、使えるデザイナーですか?ぶっちゃけ使えなくないですか…?
「でも、デザインってフォトショやイラレを使う専門的な仕事のことであって、別に考えるのは仕事じゃないから。」
そんなこと言うデザイナーはすぐやめたほうがいいです。考えるのが仕事。生み出すのが仕事、クリエイターってそういうもんです。表現のまえには必ず「何を表現すべきか」があります。その目の付け所こそ、デザイナーの腕の見せ所なんです。
デザイナーに限らず、デキる人は見抜く力が高い
この話って、なにもデザイナーに限ったことではないと思うんです。良いSEOコンサルタントは検索されるべきワードを見抜くし、良い経営コンサルタントはその会社のどんなサービスがお客様に愛されているのかを見抜きます。いい経営者は「何が売れるか」を直感的に見抜く。この「見抜く力」って、今後どんなにAIが発達したとしてもAIには真似できない、人間の素晴らしい力なんですよね。問題解決能力だったり、論理的思考だったり、心理学や想像力が複雑に絡み合ってる。この思考をいかに得るかが、世の中に必要とされるかどうかだと思うんです。そう、みんなでどんどん見抜こうぜ。
見抜く力を養うには、好きな人と話そう。
見抜く力が人より少し不安だな…と感じる方は、ぜひ、お友達と話してみてください。それも、大好きなお友達と。そのお友達のことがなぜ好きなのか、どうしてその部分が好きなのか、とことん考えていくと見抜く力が養われます。なぜかというと、「好き」は「見抜く」の原動力だからです。
心の内側から湧き上がるような理由のない好きという感情も、突き詰めていけば必ず理由があります。自分の足りないところを補ってくれる存在だったり、自分と価値観が似ていたり。そういうところをていねいに掘り下げていくことで、見抜く力は育ちます。私はよくインタビューと称する飲み会で見抜く力を鍛えているのですが、基本的には好きな人にしかインタビューしません。嫌いな人にはそもそも興味が全くわかないからです。
まぁ、みんなそうですよね…(笑)
へぇ~、そんなことがあったんだ!どうして?どうして?といろんなことを話すことで、ああ、そうか、この人のこういうところってすごくいいところだな~!と、尊敬できたり、これは真似できないな~~!と素晴らしく思えたりする。それって、自分自身にとっても生きる力になっていくし、新しい発見が、また新しい好きを生んでいくんです。ああ、今、すごくいいこと言った。
デザイナーの話から気づけばとんでもない発展を見せましたが、こんなお話、いかがでしたでしょうか。もしよろしければ…お仕事お待ちしてます。(笑)