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#13 現代的な『速さ』から自由になる ➖ 遅さと向き合う哲学の旅【スナックひきだし】2025年1月10日 活動後記
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今回のジコリカラボでは、「現代的な『速さ』から自由になる ─ 遅さと向き合う哲学の旅」をテーマに開催しました。このテーマ設定には、時間論を探究する杉原学さんにご協力いただき、哲学的・歴史的視点やベルクソンの時間論を交えた、答えのない問いを探る時間となりました。
「遅さ」とは何か?
皆さんにとって「遅さ」とは何でしょうか?
杉原さんの話を通じて私が印象に残ったのは、人間の心はもともと存在したものではなく、“遅さ”があって初めて生まれた、という逆説的な考え方でした。
昆虫のように反射的に行動する生物には「心」が存在しないのに対し、人間は危機に直面した際、反射的に動くのではなく、「今何が起きているのか?」「これからどうすればよいのか?」と考えます。この“思考の時間”が人間の「心」を生み出すのだというのです。
「忙しい」と「心」の関係
日々の仕事に忙殺されているとき、私たちは半ば反射的に行動してしまいがちです。その状態では「心」が失われていると感じます。忙しいとは、言葉通り「心を亡くす」ことなのかもしれません。
一方で、スケジュールを詰め込みすぎず、余裕を持って行動すると、思考の余白が生まれます。その余白によって、「感謝」や「愛」、「悲哀」、「やるせなさ」、「危機感」や「ショック」といった感情を感じ取る力が芽生えます。
しかし、そのような感情を避けるため、あえて忙しくすることで自分の「心」を遠ざけている人もいるのではないでしょうか。それは無意識のうちに、心を守る手段になっているのかもしれません。
スピードと視野の関係:人生の速さを考える
杉原さんが以前、紹介してくださった興味深いエピソードがあります。それは、F1レーサーが時速300km以上のスピードで走行しているとき、視野が極端に狭まり、四方わずか15cm?程度に限定されてしまうという話です。このことから、人生もあまりに速いスピードで進むと、視野や視界が狭くなり、大切なものを感じにくくなるのではないかと考えられます。
とはいえ、私たちは「早く目的地に着きたい」と願うことが多いものです。そんなときに思い出したいのが、「ゆっくり急げ」という意味を持つラテン語の格言「Festina lente(フェスティナ・レンテ)」です。この表現が示すのは、ただ速さを追い求めるのではなく、適切なペースで進むことの重要性です。
皆さんにとって、人生のスピードは何キロメートルでしょうか? 自分にとって心地よい速さを見つけることが、豊かさにつながるのではないでしょうか。
余白を取り戻すために
このセッションを通じて、明日からはスケジュールを詰め込みすぎず、自分の「心」が感じられる日々を過ごしてみたいと思いました。
人生に余白を持たせること。それが、私が人間である証明になるのではないか――そんな思いを抱えながら、日常に立ち返ろうと思います。
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