FFTS feel first think second グループリフレクションでは自分の感じたことから話そう
「考える」と「感じる」の違い
ジコリカラボでは、テーマに対して感想をグループで話し合う際に「考えた」ことからではなくて素直に「感じた」ことから話していただきます。
まずは「考える」と「感じる」の違いです。
この「意識的かつ論理的な判断を伴う思考(考える)」とは、認知の話です。例えば、比較、グループ化、マトリクス、俯瞰、類推、概念化などです。このように整理をして、発言をするのもいいのですが、その前に素直に感じたことから話すことによって、各人の独特な視点をシェアすることが可能になります。
考えた意見は、論理的な意見です。これは、法則性があるので、もし100人いたら、何人かの意見は重複するでしょう。
一方で、
感じた意見は、感覚的な意見です。法則性がないので、100人いたら、100通り意見になると推察しています。
まず、はじめに感じたことから話すことによって、話のどの部分に焦点を当てたのかをシュアできるようになります。そのことが周囲の方の新鮮な気づきにも繋がります。
上記の図表のように、人は何かを話すまでに「着目(見聞)」→「感じたこと」→「考えたこと」→「話す」の認知プロセスを経ていきます。ただし、多くの場合「何に着目して」「どんな事を感じたのか」は共有されません。
しかし、この「着目(見聞)」→「感じたこと」のプロセスは、ジコリカラボで深めていきたい自己覚知の部分です。「自分がどんなことに着目しているのか」「相手がどんなことに着目しているのか」がわかると深い視座の比較ができるようになります。この比較が自己理解や他者理解に大きな影響を及ぼします。
「着目点」「感じたこと」「考えたこと」をセットにして、お互い伝え合うことで、深い相互理解になると仮定をしています。それを数名のグループで行えば、複数の新鮮な気づきや深い学びにもつながるでしょう。
ここで、躓きやすいのが、私もそうであるように「感じたこと」を認識して、相手に伝えることです。
感じたことを話すのが苦手な人は、感情を知っていくことと普段から感情を意識してコミュニケーションをとることがキーになります。
感じたことの意見をアウトプットするためには、まず自分が感じたことがポジティブだったのか、ネガティブだったのか、を感じる必要があります。最初は「ポジティブな感情を抱いた」あるいは「ネガティブな感情を抱いた」という意見でもいいかもしれません。慣れてきたら、心理学の基本感情やブルチックの感情の輪から自分の感じたことを当てがうのがいいでしょう。
加えて、感じたことを伝える時に感情のオノマトペを使うのもいいかもしれません。
以下は、感情のオノマトペの一部です。
感情やそれに属したオノマトペを相手に伝えた際は、その理由も言った方がより解像度が上がるでしょう。
自分の感じていることが言語化できれば、相手の立場に立ち、他者の感じていることをより理解できるでしょう。
そして、当たり前の話ですが、感じたことを意識することにより、感じたことから話ができるようになります。
この感じたことを伝えるのに慣れてくると、最初は頭で考えて感じたことを伝えていたのが、徐々に身体的な感覚から言葉を生み、それを相手に伝えられるようになります。
それは独自の視点であり、相手からすれば認知していなかた気づきにも繋がります。ということは、感じたことから話すのは他者貢献にも繋がるのです。
評価コミュニケーション
「考える(意識的かつ論理的な判断を伴う思考)」とは、別の意味では何かを評価する言葉でもあります。
職場では評価のコミュニケーションが自然発生します。
例えば
「Aさんって、仕事が早くてすごい!」
「新しく入ってきたBさんには仕事を教えにくい…」
などです。
この評価コミュニケーションに「感じた」ことを簡単に付け加えたいと思います。
「Aさんと仕事ができると嬉しい。だって仕事が早いんだもん」
「Bさんと仕事をするとソワソワする。だってなかなか仕事を覚えてくれないから…」
感じたことを加えると、少し印象が変わりませんか。
一般論を語られているのではなくて「この人はこう感じるのね」と解釈できるからです。
評価コミュニケーションだけだと、受け手が受け止めにくい側面があります。
悪い評価は、受け止めにくいのはわかりますが、良い評価に対しても謙遜して「そんなことないです!!」と受け取ってもらえないことがあります。
最初に評価をしないコミュニケーション
私が就労移行支援事業所で利用者さんと関わった時のケースの話です。
1人、訓練をするための通所がままならない利用者さんがいました。
1週間のうち、1日通所できればいい方でした。
そこで支援員どうしで話し合い、あの手、この手のアプローチをかけていきました。
具体的なアプローチは書けませんが、その利用者さんは、結果的に週5日通所できるようになり、グループワークで自分の意見を言うのが苦手だったのですが、それもできるようになりました。
そこである日、私が意気揚々に「OOさん、色々なことができるようになってスゴイですね!!」と言いました。
その時の利用者さんの反応が以下の通りです。
「私なんか、すごくないんです」
「本当にできるようになっていますか?」
「支援員さんのお陰です」
そんな言葉が返ってきました。
私は自分の表現がよろしくなかったのだなと思いました。
そこで後日、
「私は、OOさんが色々なことができるようになって、とてつもなく嬉しい。この仕事をしていて良かったです」と伝えたところ。
「大袈裟ですよ…でも嬉しいです。ありがとうございます」と返してくれました。
なぜ、利用者さんは私の言葉を少し受け入れてくれるようになったのでしょうか。
一言で言えば、最初に評価をしなくなったからです。
そのために私は、アイメッセージ(I messege)を使いました。
グループリフレクションとFFTS
FFTS(feel first think second)とは、「最初に感じたことを話して、次に考えたことを話す」という意味です。これは、ありえる楽考というグループコーチングのコミュニケーション方法を模倣しています。
ピクサーに限らず、私たちは職場でコミュニケーションをとる時に多くの場合、より良い「アイデア」「品質」「サービス」を生むために話しあっています。
阻害要因を突破するために「率直で素直な意見を感じたことから、iメッセージで伝える」ことは、対人援助職が行うチーム支援でも大切にしたいことですね。
率直で素直な意見については、こちらの記事もご確認下さい↓
「ジコリカラボでは「呼ばれたい名前」を準備してきてね」
https://note.com/tanakeyni/n/na1c041d63a8b
この練習のためにジコリカラボのグループリフレクションでも、是非、感じたことから話して下さい。
そして、「感じたこと」と「考えたこと」を両方相手に伝えることによって、自己理解・他者理解・状況理解の促進に繋げていきましょう。
感じたことの対象は、話の内容だけではないです。その話している方の雰囲気や姿勢も感じたこととしてお伝え可能です。
五感を解放して、グループリフレクションを楽しみましょう。
初めは、感じたことと考えたことを分けて、意見を言うとだんだん慣れてくると思います。
まずは練習として、この記事の読んだ感想を「感じた」ことと「考えた」ことに分けて、言語化してみて下さい。
ジコリカラボの概要はこちら↓
ジコリカラボのHP
https://tanaka123456.my.canva.site/labo-jikorika
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