育休よりも大切なこと~男性で育休を取って分かったこと~
現在、育休取得中の限界コンサルタントです。
もうすぐ4歳になる男の子と最近うまれた0歳の男の子の父親をやってます。
コンサルティングファームに勤務しており、人事コンサルタントとして規模・業種問わず様々なお客様の人事制度をつくっています。
もともと、私自身のワンオペ育児の経験や育休取得して思ったこと、仕事をする中で男性の育児・家事への参画は女性活躍につながると感じた話など、どこかでまとめたいなと感じていました。
そんな中、最近、Twitterで夫の育休取得に奮闘されているている人を見かけ「おっ、これはいいタイミングだ!」と思い、筆をとった次第です。
ただ、このnoteは、男性の育休取得を後押しするようなものではなく、男性の(夫婦での)育休取得のハードルは低くないため夫婦でちゃんと話し合ったほうが良いという話です。
(夢が無くてすみません…)
そもそも育休よりも残業しない働き方が重要
家庭によるので何とも言えないですが、我が家では保育園に行き始めてからが大変でした。
正直、1人目がうまれたばかりの時は初めてだから分からないという不安はあったものの、寝てくれたらこっちのものといった感じで、そこまで大変ということはなかったです(妻談)。
実際、よく動き出すのも1歳を過ぎてからですし、そろそろ保育園に入る時期になっています。
それに対して、保育園に通い始めると
・送迎はどっちがするのか?
・保育園からめっちゃ呼び出し来るけど…
・子どもが熱を出した。どっちが面倒みる?
ということが日常茶飯事でした。
加えて、子どもが帰ってきてからも大変で、
・風呂に入れる
・料理をつくる、食べさせる
・明日の保育園の準備をする
・寝かしつけする など
の育児があり、戦場を駆け抜けるようです。
これに男性が参画するには、
仕事に都合をつけ残業せずに送迎する
ということが必要になります。
帰宅後すぐに、子どもをお風呂に入れて…と続きます。
もともと早出や残業が多い人は育休を取れても、復帰してからの働き方が変わらなければ、あまり育児・家事の戦力になりません。
そもそも、育休よりも普段の働き方が大切になります。
育休を取るだけじゃ意味がない
「旦那が育休を取ったけど、戦力どころか何もしてくれずストレス激増なんだけど…」
という話を聞くことがあります。ネットにもこれに関する記事がたくさん出ています。
当たり前ですが、
育休を取る≠育児・家事に参画している
です。
最近は、実績づくりのために男性に育休を取得させる企業もありますが、妻側からすると「何もしないなら、むしろ稼いで来い」という気持ちだそうです。
出産に関して夫側が知っておくべきことは、
・出産前後はホルモンバランスが崩れ、情緒不安定、攻撃的になる
・出産後の女性は心身ともに大ダメージを受ける
・女性はこの時期の恨みを一生忘れない
ということです。
そのため、育休を取得した男性は、
・基本的に自分のことは全部自分でする
・家事も全部自分でする
・できる限り子どもを抱っこする
です。
妻に育児と出産からの回復に集中してもらうためにも、周辺領域をちゃんとサポートすることが大切でしょう。
育休も時短勤務も会社の仕組み次第では不利に
ここは私の専門領域である人事制度の観点です。
日本の人事制度の特徴が男性の育児・家事への参画を難しくしているな…と日々感じています。
①会社の評価は累積する仕組み
日本の人事制度は欧米と違い「なんの仕事をやっているか」ではなく、「これまでどのような評価を受けてきたか?」で決まる仕組みとなっています。
長期雇用が前提のため、勤続期間における評価回数が多いほうが給与が高くなりやすい仕組みです。
例えば昇進に関しても「直近3回の評価がA以上の場合に昇進の機会がある」という仕組みにしている会社もあります。
そのため、育休を取得する=評価回数の減少となり、育休を有無で差がついてしまう場合があります…
(こんな感じ)
②評価をするのは、上司である
日本は評価が累積すると書きましたが、その評価をするのは上司になります。
上述していますが、なんの仕事をやっているかではなく、どんな評価を受けたかです。
育休取得や育児による残業の免除は法律により定められているため、申請すれば取得できますし、それにより不当な扱いをすればハラスメントに当たります。
ただ、上司も人間です。育休取得や残業の免除でこれまでの仕事に穴をあける可能性はあります。ちゃんと上司と良好な関係を構築できていないと、どうしても心証に影響してしまいます。
それを理由に育休を取るべきでないというつもりはありませんが、普段から「子どもがうまれたら育休を取りたい」「●月に子どもがうまれる予定です」ということを上司に伝えておくことは大切です。
③公平性という力が働く
これまで自分が担当していた仕事を育休の取得、残業の免除、時短勤務などで他のメンバーにお願いすることになります。
日本の会社は仕事の範囲が不明確で、良くも悪くもみんなで仕事を進める仕組みを取っている場合が少なくありません。
そのため、自分ができない分を他のメンバーが補うことになり、その貢献の差は残業代の差だけでなく、+αの負荷をかけたということで評価や給与そのものを調整する場合があります。
実際に、人事制度のコンサルティングをする中で、時短勤務の女性とそうじゃない女性の貢献の差をどうすべきか?という質問を受けることは少なくありません。
男性が育児・家事に参画するために必要なこと
ここまで書いてきたとおり、育休は取得すればOKではなく、取得するにもリスクがあり、取得しても育児・家事へ参画しなければ、まるで意味がありません。
そこで、ワンオペ育児、育休取得の経験者から男性が育児・家事に参画するために「会社の仕組み」と「個人の意識」の2つの面から必要なことを考えました。
①働く仕組みの変化
従来の人事の仕組み(人に評価が紐づく)の場合、どうしてもキャリアの影響が生じやすいです。
そのため、その人の貢献度と累積評価回数を切り離す必要があります。つまり、ペイ・フォー・パフォーマンス(実際の貢献により給与が決まる仕組み)への転換です。
実力があり、貢献できる確信があれば、育休を取ったとしても評価回数による影響を気にしなくてすみます。
また、育児・家事に参画するためには、働き方の自由度も大切になります。
子どもの迎えに行き、育児・家事の対応をした後でも働くことができれば、気兼ねなくお迎えに行くことができます。ユニリーバのWAA(Work from Anywhere and Anytime)のような仕組みです。
私はコンサルティングファーム勤務のため、
・すでにペイ・フォー・パフォーマンス
・裁量労働なのでWAAに近い働き方
となっていました。
(実際、育児・家事に参画している社員は多いです)
そのため、育休取得や送り迎え、ワンオペ育児も対応できました。
もし、そうじゃなかった場合、育休を取得していないでしょうし、ワンオペ育児には対応できなかった気がします(対応した場合、仕事を制限する)。
②意識の変化
まずは、夫婦ともに育児・家事の認識を変えていく必要があると思います。
男性が育児・家事への参画意識を持つこともそうですが、ちゃんと夫婦で育児・家事の分担、品質、頻度などをちゃんと話し合うことが必要です。
こういうことを記事を書くと「これまで何もしてこなかった男性がもっと頑張るべきだ」という論調になりがちですが、共働きの育児・家事は戦場なので、そもそも「ていねいな暮らし」みたいな生活を捨てるという話をすべきです。
例えば、
・そもそもやるべき育児・家事は何か?
・どの程度の品質でやるのか?(部屋にチリ一つ落とさずなのか?)
・どの程度の頻度でやるのか?
について話し合い、夫婦で合意してから分担を決めるのが良いでしょう。
「ていねいな暮らし」を押し付けるような分担は、サステイナブルではないと思っています。
また、夫婦ともに今後のキャリアについても共有しておくべきです。
男女問わずいつでも成果を出せるスキルと自信をつけておくと、育児・家事へ参画しやすくなります。
実力と自信をつけるには、自分なりのキャリアの方向性を意識しながら、自己研鑽を続けることが求められるでしょう。
ただ、この自己研鑽の時間を1人で捻出するのは難しいです。
そこで、夫婦でお互いのキャリアの方向性を話し、戦略的に夫婦の時間をやりくりすることで、双方がハッピーなキャリアを歩めるように協力するということが理想だと思います。
さいごに
「夫が全く育児も家事もしない」という家ほど夫婦の会話が少ない印象があります。
育児・家事を分担するにも、キャリアの方向性を話し合うにも、そもそも夫婦の信頼関係、家庭における心理的安全性が不可欠でしょう。
夫側、妻側という一方の努力ではなく、双方が互いに頑張って心理的に安全な家庭をつくっていけたら良いなと思っています。
自戒も込めて…
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