父殺し母殺し

母殺し父殺しは、子である以上、例外なく誰にでも必要なことです。要するに普遍的なテーマです。どんな親であろうと、どんな子であろうと、立派に反抗期を迎え、象徴的に父と母を完全に殺さなければ、父母の外に出ることはありません。母からまだ生まれておらず、母の腹の中で生きている人は、案外たくさんいるものです。では実際に父母が死ねば外に出れるのかといえば、死んで心に巣くう遍在化した父母こそ、殺すことが難しいものになります。生きていても殺せず、死んでいても殺せない、なかなか手こずるものです。

母の中に、あるいは父の中に何か意味を見出し、母あるいは父のために生きることが自分になっていると、父母が実際にいなくなったとき、外に出るタイミングを失い、その人自身が生きていくことが困難になるかもしれません。父母から自立していると思っていても、たとえば父母のことを思い浮かべただけで、何か特定のずしんとくる感情が生じるなら、外に出ているとは言えそうにありません。

「まだ色々厄介な存在だけど、自分の中では始末をつけた」のなら星に飛び出すことができます。しつこくしつこく、外に出ているか確認した方がよいです。

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